米国内での存在感を増すポルシェデジタルの本当の狙い

自動車メーカーPorsche(ポルシェ)の子会社であるPorsche Digital(ポルシェデジタル)は、2017年にシリコンバレーに最初のオフィスを設けたのに続き、北米では2番めとなる拠点を開設する。このPorscheの機動部隊は、ソフトウェアとデジタル製品の開発に注力している。今回、北米に置く2つめのオフィスの場所として選んだのは、アトランタだ。すでにPorscheの北米におけるカービジネスの中枢となっている地域だ。Porsche Digitalは、アトランタを選んだ理由の1つとして、親会社の自動車事業の本社に近いことを挙げている。しかし、それに加えて、アトランタの「地元の技術人材」と「堅実で、常に成長を続けているスタートアップやハイテク企業」も、今回の選択のキーとなる要素だと示唆している。

2つめのオフィスの必要性は、具体的には米国市場をまかなうことにあると、Porsche Digitalは述べている。同社は、来年中に2つのオフィスで合計45人の従業員を確保する予定だという。また同社は、米国以外にもベルリン、上海、テルアビブにオフィスを構え、世界中に120人の従業員を擁している。

Porsche Digitalは、Porscheの顧客向けに、ソフトウェアとデジタル製品を開発することに注力している。しかし本当は、親会社にとって、もっと重要な役割を果たしているようだ。それは、世界中から有能な技術人材をスカウトしたり、Porscheの新規ビジネス開拓の戦略的拠点として機能すること。ハイテク業種のスタートアップという話になれば、同社のオフィスの位置は、世界的に見ても、ホットスポットをしっかりと押さえていることになる。また、そのような場所に常駐しているという存在感を示すことは、才能あるエンジニアを勧誘したり、まだ初期段階にある有望な会社を買収するという点で、有利に働くことは間違いない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)