米国消費者委員会がPeloton製トレッドミルの危険性を警告、メーカーはこれに反発

Peloton(ペロトン)のCEOであるJohn Foley(ジョン・フォーリー)氏が、同社のトレッドミルに関する公開書簡を書いたのは、ちょうど1カ月ほど前のことだった。この手紙の冒頭には「最近、子どもとTread+(トレッド・プラス)に関わる悲劇的な事故が発生し、あろうことか死者まで出てしまったことを知ったため、本日みなさまにご連絡を差し上げることにしました」と書かれている。「Tread+を使用して子どもが怪我をしたという事故はごく少数しか耳にしていないものの、そのすべてがペロトンのスタッフ全員に大きな衝撃を与えるものでした。関係者のご家族には心から同情致します」。

米国消費者製品安全委員会(CPSC)は、現地時間4月17日、Tread+の使用を中止するよう警告を発した。CPSCは前述の死亡事故を含む39件の事故を挙げ「当委員会は公衆の健康と安全のために、人々に危険性を迅速に警告する通知が必要であると判断しました」と記している。

Pelotonはこれに対し「Peloton Tread+に関する米国消費者製品安全委員会(CPSC)の一方的なプレスリリースは、不正確で誤解を招くものであり、当社は困惑しています」と、強い言葉で声明を発表。「取扱説明書に記載されているすべての警告と安全指示に従っている限り、Tread+の使用を止める理由はありません」と述べている。

CPSCの警告には、小さな子どもやペットが巻き込まれて怪我を負った複数の事故が関係しており、子どもがいる家庭では製品の使用を中止するよう明確に求めている。これは、2021年3月にフォーリー氏がユーザーに呼びかけた「子どもやペットをシステムに近づけない」「使用後は子どもの手が届かない場所に保管する」という注意内容よりも厳しい警告となっている。Pelotonによると、同社の器具では、これまでに子どもが巻き込まれた事故が23件、モノが巻き込まれた事故が15件、そしてCPSCが指摘したようにペットが巻き込まれた事故が1件発生しているという。これまでプライバシー保護の観点から、詳細を明らかにしなかったことを、同社は付け加えている。

「どうしてもこの製品を使い続けなければならない場合、トレッドミル使用中に子どもやペットが近づかないように、鍵のかかる部屋でのみ使用することを、CPSCは強く勧めます。また、エクササイズボールなどの器具を含むすべての物体をトレッドミルに近づけないでください」と、同委員会は注意を促している。

これに対し、Pelotonは次のように述べている。

Pelotonは、Tread+の取扱説明に書かれた警告と安全指示に従わない場合の危険性について共同発表するようにCPSCに呼びかけ、フォーリーCEOがCPSCと直接面会することを求めました。しかし、当社がCPSCに協力してプレスリリースの誤りを正そうとしたことを、CPSCは発表を遅らせるための試みであると不当に見做しています。これは事実とは大きく異なります。Pelotonはすでに、会員のみなさまにすべての警告と安全上の指示に従うようにと強く勧告しています。Pelotonが協力を申し出たにもかかわらず、またTread+が適用されるすべての安全基準に準拠している事実にもかかわらず、CPSCが不正確で誤解を招くようなプレスリリースを発表する前に、Pelotonと有意義な話し合いを持とうとしなかったことを、私たちは大変残念に思います。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:Pelotonフィットネス米国消費者製品安全委員会

画像クレジット:Peloton

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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