米国証券取引委員会が調査中のEVスタートアップLordstown Motorsを米司法省も調査開始

Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)は迷走し続けている。米国証券取引委員会(SEC)による継続的な調査に加え、苦境に立たされているEVスタートアップに対して、米国司法省(DOJ)も調査を開始したのである。

ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が米国時間7月2日に最初に報じたこの調査は、匿名の情報筋によるとまだ初期段階にあるとのこと。マンハッタン地区連邦検事庁によって行われているという。

同社の広報担当者はTechCrunchに対し「Lordstown Motorsは、規制当局や政府によるあらゆる調査や問い合わせに協力することにコミットしています」と述べている。「当社の新しいリーダーシップと献身的なチーム全体が、最初で最高のフルサイズ全電動ピックアップトラックである『Lordstown Endurance』の生産に専念できるよう、この章を閉じることを待望しています」とも。

今回の調査は、Lordstown Motorsの一連の苦境の中での最新の出来事だ。同社は先日、電動ピックアップトラックのデビューモデルである「Endurance」の生産台数を約2200台から1000台へと半減させたと発表した。この発表からわずか数週間後の6月14日、創業者兼CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏とCFOのJulio Rodriguez(フリオ・ロドリゲス)氏が辞任するという経営陣刷新のニュースが飛び込んできた。バーンズ氏は、以前に同氏が創業したスタートアップであるWorkhorse Groupの子会社としてLordstown Motorsを設立した。

LordstownはGeneral Motors(GE、ゼネラルモーターズ)からの投資により、2019年末に大手自動車メーカーから620万平方フィート(約57.6ヘクタール)の工場を購入し、好調なスタートを切っていた。Lordstownは2020年8月、特別目的買収会社(SPAC)との合併による株式公開を発表し、ポジティブな見出しを作った。この取引により同社は約6億7500万ドル(約749億円)の総収入を得て、時価総額は16億ドル(約1776億円)にまで急上昇した。しかし、それから1年も経たないうちに、Lordstownは米国証券取引委員会(SEC)に対し、Enduranceを製造するための十分な資本がないことを報告した。

さらに2021年3月にはショートセラー会社のHindenburg Researchが、Lordstownの電動ピックアップトラックの予約注文が10万台に達したという同社の主張に異議を唱えるレポートを発表した。レポートには「広範な調査の結果、同社の注文はほとんどが架空のものであり、資本調達と正当性の付与のための小道具として使われているようだ」と書かれている。これらの告発を受けて、SECは調査を開始した。

WSJの記事ではDOJ調査の範囲は不明で、同社は詳細の説明を拒否している。TechCrunchがさらに情報を得られた場合、記事を更新していく。

関連記事
Lordstown Motorsが電動ピックアップトラックの生産見通しを大幅に下方修正、それでもさらに現金が必要か
2020年に再び盛り上がる特別買収目的会社上場、今度はEVメーカーLordstown Motorsが株式公開
ローズタウン・モーターズのEVトラック予約受注台数偽装を投資会社ヒンデンブルグ・リサーチが指摘

カテゴリー:モビリティ
タグ:Lordstown Motors米国証券取引委員会(SEC)電気自動車米国司法省(DOJ)

画像クレジット:Lordstown Motors

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。