米国連邦航空局がスペースXのStarshipのテストを3回分承認、早ければ今週打ち上げ

SpaceX(スペースX)はStarship宇宙船のテストと開発プログラムのペースを順調に維持しているが、米国時間4月29日午後、米国連邦航空局(FAA)よりテキサス州ボカチカの発射場から3回のテスト飛行を行う許可を得た。これまでの打ち上げテストの承認は単発的なものだったが、FAAは声明の中で「スペースXはロケットにほとんど変更を加えておらず、FAAが承認した一般の人々のリスクを計算する方法論にもとづいている」ため、一括して承認すると述べている。

スペースXは早ければ今週にも試験用StarshipのSN15を打ち上げる予定だが、その際にはFAAの検査官がボカチカの施設に立ち会うことが条件となる。FAAは米国時間4月29日到着予定の検査官を派遣したと述べており、今後数日のうちに打ち上げを試みる可能性が開けるかもしれない。

スペースXがボカチカから最後に試験飛行を試みたのは、2021年3月末に行われたSN11の打ち上げだった。約3万フィート(約9キロメートル)の高度までの最初の上昇とフリップマヌーバに成功した後、動力着陸を制御するラプターエンジンの1つにエラーが発生して爆発するという最悪の結末を迎えた。

FAAは次の3回のテストの認可に関する声明の中で、SN11で起きたこととその不幸な結末についての調査はまだ進行中であると指摘したが、それでもFAAは問題に関連する公共の安全上の懸念が緩和されたと判断したと付け加えた。

3回の打ち上げ許可にはSN15に加えてSN16、SN17の飛行が含まれているが、FAAはSN15の打ち上げで新たな「災難」が発生した場合には、次の2回の飛行では実際に離陸する前に追加の「修正措置」が必要になる可能性があると指摘している。

スペースXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、Starshipの開発で同社が追求している反復とテストの迅速なペースに対して、FAAが十分な柔軟性と対応力を持っていないと批判していた。一方で米連邦議会の議員らは、FAAがStarshipの初期のテスト事故を独自に調査するにあたって、必要なほど徹底していなかった可能性があると示唆している。しかし、最終的に公共の安全に対する影響がないことは、これまでの同計画が成功していることを示していると政府は主張している。

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カテゴリー:宇宙
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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

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