米議会襲撃の暴徒に「顔を使って」ノートPCのロック解除を裁判所が命令、生体認証に黙秘権使えず

ワシントンD.C.の連邦判事は、米国連邦議会議事堂で2021年1月6日に起きた暴動に参加した罪に問われている男性に対し、彼のノートパソコンに反政府暴動未遂の罪を明らかにするビデオ映像が入っている可能性が高いと検察側が主張したため、「顔により」ノートパソコンのロックを解除するよう命じた。

Guy Reffitt(ガイ・リフィット)容疑者は、暴動に参加してから3週間後の2021年1月下旬に逮捕され、以来、刑務所に収監されている。彼は、国会議事堂敷地内への銃器の持ち込みや司法妨害罪など、5つの連邦容疑に対して無罪を主張している。WindowsノートPCはFBIが押収した複数のデバイスのうちの1つで、パスワードで保護されていたが、レフィット容疑者の顔を使ってロックを解除できたと捜査当局は述べている。

検察によると、このノートパソコンには、暴動の一部を記録するために使用したとされるレフィット容疑者のヘルメット装着型カメラの映像が数GB単位で入っていたことが、科学捜査の結果から判明したという。検察側は、パソコンのロックを解除するために、レフィット容疑者がパソコンの前に座ることを強要できるかどうか裁判所に尋ねていた。

レフィット容疑者の弁護士は、依頼人はパスワードを「覚えていない」と裁判所に伝えていたが、裁判所は検察を支持し、容疑者の生体認証を強要する申し立てを認めた。レフィット容疑者の弁護士は、裁判所の命令を最初に報じたCNNに対し、ノートパソコンのロックが解除されたことを明らかにした。

政府は、憲法修正第5条の抜け穴を利用したことになる。憲法修正第5条は、米国内の誰にでも黙秘権を認めており、パスワードなど、自己負罪となるおそれがある情報を提供しない権利もそれに含まれている。しかし、一部の裁判所は、これらの保護はパスワードの代わりに使用できる人の身体的属性、例えば顔面スキャンや指紋などには及ばないと判断している。

レフィット容疑者の起訴状では、FBIはそのように述べており、コンピュータの前に座ることで同氏にコンピュータのロックを解除することを強要しても、「被告人の自己負罪に対する憲法修正第5条の権利には抵触しない」と主張している。

全米各地の裁判所は、修正第5条の解釈と、それが個人のバイオメトリクスの強制使用に適用されるかどうかについて、まだ意見が分かれている。米国最高裁がこの問題をすぐに取り上げることはないだろう。最高裁は、この問題を裁定するための請願をここ2年の間に2度却下しており、その結果、適用は各州の判断に委ねられている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ワシントンD.C.顔認証アメリカノートパソコン生体認証

画像クレジット:U.S. Courts / supplied

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)

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