米食品医薬品局が15分で結果が出る新型コロナ用検査を複数承認、ただし留意点あり

米食品医薬品局(FDA)は3月26日、新型コロナウイルス(COVID-19)であるSARS-CoV-2の診断検査に関する緊急ポリシーを修正した。FDAは3月16日に行われた変更に続き、多くの民間企業や検査機関が15分程度という短時間で結果を出せる検査方法を開発・提供するための扉を開いた。ただし、検査方法が市場に出回る前に覚えておくべき非常に重要な留意事項が数点ある。

検査方法は「血清学的」で、人の血液中の抗体の存在を特定する方法だ。これは、FDAが承認した検査機関やドライブスルー検査会場で、緊急使用許可(EUA)に基づき実施されているPCR検査(分子検査)とはかなり異なり、血清学的検査では人がSARS-CoV-2に対して抗体を作ったかがわかる。抗体が作られていればSARS-CoV-2と接触した可能性が非常に高いことを意味する。そして感染しているか、感染後すでに回復しているかもわかる。一方、PCR検査は実際には血流中のウイルスDNAの存在を検出する。検出されれば、少なくとも綿棒で採取した時点で実際に感染していたことを示し、血清学的検査による結果よりはるかに決定的な指標となる。

中国、台湾、シンガポールなど、新型コロナウイルスのパンデミックへの対応の有効性を示した国では、血清学的検査が依然広く利用されている。米国のさまざまなコミュニティでも採用されている方法で、民間検査機関での診断に関する従前のガイドラインに基づいている。FDAは3月26日、必要な通知をFDAに対して行った29の法人を指定し、血清学的検査が実施できるようにした。

FDAの緊急使用カテゴリに含まれている分子検査とは異なり、血清学的検査はFDAによるレビューや検証を受けていないことに注意することが重要だ。その代わり、検査結果に以下の情報を付すことなど、所定の基準を満たす限り、FDAは血清学的検査の「民間製造業者による開発および配布に反対しない」ことを表明している。

  • この検査はFDAのレビューを受けていません。
  • 陰性の結果が出たとしてもSARS-CoV-2への感染の可能性がないわけではありません。 特にウイルスに接触したことがある人はそうです。感染の可能性を排除するためには、PCR診断による追加検査を検討すべきです。
  • 抗体検査の結果を、SARS-CoV-2への感染に関する診断や可能性の排除、または感染状態を通知する際の唯一の基礎にすべきではありません。
  • 陽性の結果は、コロナウイルスHKU1、NL63、OC43、229Eなどの非SARS-CoV-2コロナウイルス株による過去または現在の感染が原因である可能性があります。

FDAは緊急使用に関するFAQの中で、指定法人が血清学的検査を独自に検証していること、指定法人がEUAを求めているわけではない点を断っている。とはいえ、これは指定法人による検査実施を妨げるものではない。つまり、米国人の検査に使用して新型コロナ蔓延の全体像をより的確に描けるようになる。ただし上述したとおり、FDAはSARS-CoV-2に感染したことを確定するため、逆の言い方をすればウイルスに感染していないことを示す確かな指標を得るために、血清学的検査を単独で使うつもりはない。

それでも、EUAのもとで承認された検査が広く利用可能になるなど、もっといい選択肢がない現状では、血清学的検査(その多くは、ほんの少しの血液があれば現場で結果がわかる)が新型コロナの拡散と到達範囲に関する正確な全体像を描くのに役立つ。特に分子検査に必要な機器と備品へ優先的にアクセスできない小規模なクリニック、総合診療医のクリニック、地域の検査機関にとって有用だ。

例えば、今回のリストにある検査の1つ「Healgen Scientific COVID-19 IgG / IgM(全血/血清/血漿)Rapid Test Device」は、機器を必要とせず、わずか15分で結果が出る。ディストリビューターのIdeal Rehab Careは、法定代理人であるFox Rothschildと協力して、「できるだけ早く」使用するためにシンガポールから検査方法を輸入することにした。

FDAが更新したウェブサイトに血清学的検査を使用する意向を通知した法人の1つとしてHealgenが載ったことで、同社は検査方法の販売が可能になった。今回のリストにない法人が検査を実施・販売することは依然として違法だ。FDAはまた、公式ガイドラインに基づき在宅での血清学的検査の使用を引き続き明確に禁止している。

画像クレジット:Pedro Vilela / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)