米FCCが生活困窮者に対し緊急時にブロードバンド接続を提供する補助事業を起案

FCCが、パンデミックの間にブロードバンドの料金を払えない人々を経済的に支援する大きな一歩を踏み出した。Emergency Broadband Benefit Program(EBBP)と呼ばれる施策は、承認されれば数百万の世帯に月額50ドル(約5200円)を助成し、部族の所有地にはさらに多くの助成を行う。

EBBPは2021年初めに議会を通過した予算の中にあり、困窮世帯のブロードバンド費用を補うために32億ドル(約3358億6000万円)を割り当てている。

FCCの委員長代理であるJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)氏は、次のように声明で述べている。「この度の危機で、インターネット接続がなければ、多くの世帯が仕事や医療、教育をはじめとした現代の生活から締め出されてしまうということが明らかになりました。ブロードバンドがもはや便利なだけのものでないことは、これまで以上に明らかです。必要不可欠なものです。しかし、米国民の多くは、この重要なサービスを利用できるだけの費用を用意することができないでいます」。

EBBPの全体的なところはすでに知られているが、2020年に議会が提案して以来、実際の形状を決めるのはFCCに任されている。ローゼンウォーセル氏が米国時間2月22日に内部的に回覧した規則は、それをアイデアから現実のものにするための重要な一歩となっている。

その重要な点は、誰がその恩恵を受ける資格があるのかを正確に説明するところにある。

  • FCCの既存のライフライン接続性補助プログラムの対象
  • 給食や朝食の助成を受けている人
  • 政府の返還不要奨学金の受給者
  • インターネップロバイダーの既存の低所得者補助やパンデミック関連事業の受給資格を満たす者
  • 2020年2月29日以降、大幅な損失を計上した者

最後の項は少々曖昧であるため、FCCに詳細を確認している(提案された規則はまだ公表されていない)。失業保険の受給者や、所得の減少率を文書で示せる者が対象になるのだろうか。その定義によっては、プログラムの対象は相当な数になるだろう。その点も現在、FCCに問い合わせている。

有資格世帯の多くが月額50ドルを受給し、部族所有地の住民は月額75ドル(約7900円)を受け取る。またデバイスの購入費用補助として、特定の業者から買った者には100ドル(約1万500円)が、1回限り提供される可能性もある。

この補助制度は、ルールからも想像できるように、実際に受給できるまでの手順が面倒なことになりそうだ。何よりもまずFCCのルールを議会が承認しなければならず、それは最速で進んでも2カ月はかかるだろう。その後、プロバイダーからのリクエストの検討にさらに時間を要する。あらゆる処理が最速で行われたとしても、最低で3カ月、問題が起きればさらにそれ以上を要するだろう。

ルールができた以上は、あとは時間の問題となる。低所得者はホッとしたかもしれないが、まだ先が長い。

カテゴリー:その他
タグ:FCC新型コロナウイルス

画像クレジット:John Lamb/Getty Images

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。