組織や企業の教育コンテンツに特化したAIビデオ生成プラットフォームSynthesiaが13.5億円調達

Alが進歩し、テクノロジーを活用して私たちにできることは急激に増えている(良くも悪くも)。Alビデオ生成プラットフォームのSynthesiaは、動画コンテンツ制作をできるだけシンプルに効率良くすることを目指している。そしてFirstMark Capitalは、Synthesiaが世の中を悪くするのではなく良くすることに賭けている。

SynthesiaはFirstMark Capitalが主導したシリーズAを1250万ドル(約13億5000万円)で完了したと発表した。このラウンドにはNetlifyのCEOであるChristian Bach(クリスチャン・バッハ)氏やTwilioのVPでコミュニケーション担当のMichael Buckley(マイケル・バックリー)氏といったエンジェル投資家、そしてこれまでにも投資してきたLDV CapitalMMC VenturesSeedcamp、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Taavet Hinrikus(ターベット・ヒンリクス)氏、Martin Varsavsky(マーティン・バルサフスキー)氏、TinyVCも参加した。

Synthesiaのテクノロジーには多くの使い道があるが、同社は今のところ組織や企業の教育コンテンツに特化している。トレーニングビデオや、企業や部署の最新情報を伝えるビデオを制作するようなケースだ。

使い方はこんな感じだ。ユーザーは、用意されている俳優から登場人物を選んだり(俳優には登場するビデオに応じてギャラが支払われる)、自身のビデオをアップロードしてアバターを作ったりする。ユーザー自身の声やアバターを使うにはどのようなビデオやオーディオを送信すればいいか、ユーザーに対して手順が示される。

その後、ユーザーは台本を入力し、テキストや画像、図形などのコンポーネントを追加する。すると最終的にはビデオ制作や編集のスキルをまったく使わずに、ビデオが生成される。ビデオのアップデートや編集も従来のようなビデオ編集の作業をする必要はなく、とても簡単だ。

Synthesiaはこのプラットフォームが悪用されかねないことを十分に承知した上で、セキュリティと認証のレイヤーを複数組み込み、自分のアバターがビデオ内でどのように使われるのかをユーザーが確認し、生成や公開の前に台本やビデオをチェックできるようにしている。

このプラットフォームは企業が毎年提供するトレーニングや教育用のビデオに使うだけでなく、もっとクリエイティブな用途で使うこともできる。一般に、ビデオコンテンツはテキストやその他のコンテンツよりも説得力と魅力がある。そこで、上司やCEOから最新情報を知らせる毎週のメールがビデオのかたちで送られてくるとしたらどうだろうか。Synthesiaを使えば、そのようなビデオをとても簡単に安いコストで迅速に制作することができる。

Synthesiaには1シートで1カ月30ドル(約3200円)のエントリーレベルプランがあり、1カ月に10分間のビデオを作ることができる。1カ月500ドル(約5万4000円)からのエンタープライズレベルプランも用意され、もっと長時間のビデオを作ることができて追加の機能もある。

同社は調達した資金で顧客獲得と製品開発を加速させる計画だ。

Synthesiaはエンタープライズビデオプラットフォームからさらに拡張して、組織がSynthesiaのテクノロジーを自社のシステムに組み込み、さらにビデオの配布もできるようにするAPIも開発している。共同創業者でCEOのVictor Riparbelli(ビクター・リパーベル)氏は、ユーザーが株式の銘柄を選択して自分の電話番号を関連づけると、自動で毎日の株価情報を示すビデオが作られて指定した電話番号に送られるという例を示した。

エンタープライズ向け製品のSTUDIOは2020年夏にパブリックベータが公開され、それ以降1000社を超える企業に使用されている。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Synthesia動画制作資金調達

画像クレジット:Synthesia

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(文:Jordan Crook、翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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