老舗VCのNorwestが過去最大の2000億円超のファンドを設立

Norwest Venture Partnersは、設立58年のベンチャーキャピタルでWells Fargoが支援している。このたび同社は15回目となる20億ドル(約2170億円)のファンドを完了した。前回は2018年初めに設立した15億ドル(約1630億円)のファンドだった。現在同社は全ファンド合わせて95億ドルの資金を管理している。

TechCrunchは数日前にマネージングパートナーであるJeff Crowe(ジェフ・クロウ)氏をインタビューし、同社の大胆なファンド形成のスピードについて話を聞いた。同社は業界では標準的な3~4年ごとではなく、ほぼ2年サイクルで新たなファンドを形成しているが、その2年よりも早く15億ドルを投じたことは注目に値する。

クロウ氏は同社のグロース・エクイティ・チーム(500万~1000万ドルの小切手を発行できる)が非常に活発であり、ここ数年の間にCority、Vuori、SmartSignなどに高額の小切手を書いてきたことを説明した。Corityは、カナダ、トロント拠点のEHSQ(環境、健康、安全、品質)ソフトウェアを開発する会社だ。Vuori(ビュオーリ)はロサンゼルス発のアパレルブランドで環境保護に力を入れている。SmartSignはデジタルサイネージを作っている。

グロース・エクイティー・チームは、自己資金で会社を立ち上げた創業者に注目することが多い。これは伝統的な民間投資会社のやり方でもある。同社は「後期ステージベンチャー」と彼らが呼ぶ投資も行っており、伝統的なシリーズB、C、Dやそれ以降のラウンドに参加している。

Norwestの最近のファンドでは、パーソナル融資アプリのDave、スマートホーム製品のWyze(家庭用防犯カメラを作っている)、住宅購入のOpenDoor、コワーキングスペースのKnotelなど、多岐にわたる消費者向けブランドに投資している。

この数年、同社の投資先が「イグジット」を果たした例も数多い。ユタ州ソルトレイクシティの分析会社であるHealth Catalystは今年の夏に上場した。カリフォルニア州サニーベール拠点の医療機器スタートアップで、経頸動脈血行再建術に使用される神経保護およびステントシステムを開発するSilk Road Medicalもそのひとつだ。

NorwestはUberとSpotifyの投資家でもあった(ただしクロウ氏はその後Norwestが両社の株をどれだけ売却したかは明かさなかった)。

同社の投資先企業の中には比較的最近買収されたところもある。例えば、今年6月に上場企業のWorkDayは、ビジネスプランニング向けクラウドベースプラットフォームのAdaptive Insightsを15億ドルで買収したと発表した。従業員エンゲージメント・プラットフォームのGlintは、約1年前に金額非公開でLinkedInに買収された

この新ファンドに関してもチーム(パートナーのPriti Choksiが昨年加わった)は変わらない、とクロウ氏は言った。消費者、大企業、医療などさまざまな分野のさまざまなステージの企業を支援していくというミッションも変わらない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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