聴覚障害者と会話ができるアプリ。手話は不要

Transcenseは、会話をリアルタイムでテキスト化し、聴覚障害者が会議やプレゼンテーション、会話等に参加できるようにする新しいアプリだ。

ファウンダーの、Thibault Duchemin、Pieter Doevendans、Skinner Chengの3人は、聴覚障害者にとって1対1の会話は難しくないと言う。手話のできる人と話すか、相手の唇を読むことができるからだ。しかし、何人かが同時に話すグループの会話についていくことは非常に難しい。このため、手話のできない人とのグループでの食事や会議で会話を理解することは難しく、重要なことを聞き逃がすことがある。このアプリは、ファウンダー3人のうち2人にとって個人的思い入れがある。Chengは2歳の時から聴覚障害を持ち、Ducheminは聾者の家族と共に育った。

Transcenseは、アクセラレータプログラムのBoostVCを通じて、最初のアプリを開発している。複数の人の会話を、違う色の吹き出しに表示することによって、聴覚障害者は誰が何をしゃべっているのかがわかる。アプリは分散型マイクロフォンシステムを使って、個人を判別し、リアルタイムで会話をテキスト化する。聴覚障害者はそれを読んで会話の内容を理解する。短いデモビデオを下に貼ってある。

ファウンダーらは、Indiegogoで、2万5000ドルの資金調達を目指している。集めたお金を使ってプロジェクトを広く世に知らせたいと彼らは考えている。

実はTranscenseは2つの問題を解決しようとしている。一つはもちろん聾者がグループ会話に参加できるようにすること。もう一つは聾者や難聴者に必要な費用を減らすことだ。手話通訳は非常に高額で、1時間当たり70~120ドルかかる。Transcenseの料金は年間360ドルで、キャンペーンで150ドル払った場合は年間150ドルだ。

同じように聴覚障害者を支援するテクノロジーは他にもいくつかある。それぞれ方法は異なる。Transsenseは、私が見た初めてのスマートフォンを使ったリアルタイム会話システムだ。MotionSavvyは、LeapMotionタブレットを使って手話を解釈し、相手に伝える。Mimic Mouthは、Indiegogoキャンペーンを達成できなかったが、読唇術を使う人を支援して会話に参加できるようにするための優れたアイデアを持っていた。どのテクノロジーもまだごく初期段階にある(私が何かを見逃がしていたら是非教えてほしい)。

Transcenseもまだ始まったばかりである。現在プライベートベータでテスト中だ。テストに参加したい方、詳しい情報が知りたい方は、Transcenseのウェブサイトへ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


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TechCrunch Japan

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