自分そっくりのアバターでVRを楽しむ「EmbodyMe」が本日ローンチ、9000万円の資金調達も

今あるVRコンテンツは1人で楽しむゲームや動画といったコンテンツが多いが、他人とコミュニケーションを楽しむソーシャルVRのコンテンツも少しづつ出てきているようだ。本日Paneoは顔写真から3Dモデルのアバターを作成して、他のユーザーと交流できるアプリ「EmbodyMe」をSteamOculus Storeで無料配信を開始した。また、本日インキュベイトファンドから9000万円の第三者割当増資を行ったことを発表している。

EmbodyMeはスマホで顔写真を撮影して取り込むと、数十秒ほどでVR空間で動く3Dモデルのアバターを作成でき、VR空間内で他のユーザーとコミュニケーションが取れるアプリだ。このアバターはユーザーの実際の動きや表情も反映し、現実に近いコミュニケーションが取れるという。ただ、表情の部分はカメラで読み取っているのではなく、手の動きから推測して笑顔や怒っている顔をアバターに反映させているのだそうだ。現状では体型の3Dモデルまでは作成できないが、サービス内で体格を変えることはでき、洋服も男女それぞれ数十種類から選ぶことができる。「ユーザーはなりたい自分になれ、その人が本当にその場にいるかのようにコミュニケーションが取れます」とPaneoの代表取締役を務める吉田一星氏は説明する。

EmbodyMeのVR空間は「孤島の研究室」をイメージしているのだそうだ。室内には積み木やダーツがあり、それを使って遊ぶことができる。これらは現実世界にもあるものだが、EmbodyMeではVRならではの体験も用意しているという。例えば、VR空間の薬を使うと顔が不細工になったり、矢を取って投げるとユーザーのアバターに刺さったりする。今は数種類の体験しか用意していないが今後「現実にある体験とともに現実にないコミュニケーションのあり方も追求していく」と吉田氏は話す。

他にもVR空間で友人と写真や動画を撮影してそれをFacebookやTwitterでシェアできる機能がある。EmbodyMeで撮影した写真や動画は専用ページにもまとめている。

吉田氏はヤフーの出身で、Paneoを2016年6月に創業した。ヤフーでは、スマホのインカメラでキャラクターや他の人物になりきれるアプリ「怪人百面相」を開発していたという。これはSnowやSnapchatで使えるようなフィルターに近いもので、吉田氏はVRでもこうした技術を活かせると考えPaneoを創業するに至ったと話す。

今回調達した資金は、プロダクト開発と人材採用に充てる予定だという。今後の展開としてはアバターのSDKを提供し、ソーシャルサービスやビジネスで使えるプラットフォームを目指す考えだ。例えば、ゲームで自分のアバターが使えたり、会社のミーティングをVR空間で行えるようにしていくことを考えていると吉田氏は話している。

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TechCrunch Japan

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