自宅でペットを観察しながら飼い主が医師と病状などを話し合えるプラットフォームThe Vetsが約46.1億調達

在宅医療を提供するテクノロジーを活用したペットヘルスケアプラットフォームThe Vets(ザ・ベッツ)が、Target Global(ターゲット・グローバル)、PICO Venture Partners(PICO・ベンチャー・パートナーズ)、Bolt Ventures(ボルト・ベンチャーズ)を中心としたシード資金として4000万ドル(約46億1900万円)を調達したことが明らかになった。共同創業者であるTarget Globalのベンチャー構築プログラムの一環として2021年設立された、CEOのDaniel Sagis(ダニエル・サギス)氏、COOのDori Fussmann(ドリ・フスマン)氏、Target Globalらによるチームは、技術革新と在宅ケアの融合によりペットケアを変革することを目指している。

同社は、ペットの飼い主と医師が、自宅の環境でペットを観察しながら病状や予防医療について話し合うことができる機能を提供する。訪問診療では、血液検査やバイタル測定など、完全な診断が行われる。このような訪問診療のデータを集約することで、より正確な診断や健康状態の予測、品種ごとの傾向の分析が可能になるという。

設立以来、マイアミ、タンパ、ダラス、オースティン、ヒューストン、ポートランド、シアトル、ラスベガス、デンバーの9都市で展開している。そして米国時間1月27日より、ニューヨークでもThe Vetsのサービスを利用できるようになった。同社は、年内に25都市でサービスを提供する予定だ。The Vetsは、これまでに7000匹以上のペットにサービスを提供してきた。

また、このスタートアップは、獣医師の間で深刻化している燃え尽き症候群の問題に対処することも目的としている。そのために、The Vetsは獣医師の週4日勤務制の推進と1日の予約数を制限し、獣医師が過労にならないように配慮している。

「獣医師はあまりにも長い間、過労と低賃金、そして低評価を受けてきました。私たちは、幸せで健康なペットは、幸せで健康な獣医師から生まれると信じています」と、CEO兼共同創設者であるダニエル・サギス氏は声明で述べている。「この資金調達ラウンドは、先制技術を活用した次世代のペット医療としてThe Vetsを位置づけ、当社の足跡を強化し、新しい市場にはるかに効率的かつ効果的に浸透させることを可能にします」と述べる。

このプラットフォームで顧客は、自宅訪問を依頼し、健康診断、自宅ラボ検査、マイクロチップ、予防接種、健康旅行証明書など、ペットのための多くのサービスを受けるためのスケジュールを立てることができる。また、医師は、顧客教育や栄養情報などを提供することができる。同社は、ペット医療を顧客の自宅で行うことで、獣医師がペットとより強い関係を築き、また快適でストレスのない環境でペットに医療を提供することができるという。

The Vetsの会長でTarget Globalの共同設立者であるShmuel Chafets(シュムエル・チャフェツ)氏は、TechCrunchに対し、このシード資金により、同社のチームを惹きつけ、訓練し、成長させる力が拡大されると語っている。また、この資金は、カスタマー・エクスペリエンスを構築し、2022年中に新しい市場に進出するためのイニシアチブをサポートするものだとも述べている。

「獣医師、ソフトウェア開発者、データサイエンティスト、アナリストで構成される研究開発部門が確立されています」とチャフェツ氏はいう。「私たちは、お客様とそのペットのためにパーソナライズされた医学的洞察を導き出すために、私たちのデータサイエンス能力を有効活用する計画です。これにより、当社の獣医師は、ケースバイケースで最適な治療を提供するだけでなく、病気の傾向や発生、発生原因も検出できるようになり、米国におけるペット予防医療の新しいスタンダードを作り上げることができるのです」と語っている。

画像クレジット:The Vets

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(文:Aisha Malik、翻訳:Akihito Mizukoshi)

投稿者:

TechCrunch Japan

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