自然の中にあるセカンドホームに好きな時に定額で泊まれる「SANU 2nd Home」、SANUが先行申込みの受付開始

環境配慮型の宿泊施設「SANU CABIN」、人と自然の共生を

セカンドホーム・サブスクリプションサービス「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」を運営するSANUは4月15日、初期会員の先行申込みの受け付けを始めた。会員になれば、環境配慮型の宿泊施設「SANU CABIN」に定額で好きな時に宿泊できるようになる。宿泊予約は2021年夏頃を予定し、宿泊開始は2021年秋からとなる。

自然の中で生活を営むもう1つの家「SANU 2nd Home」

候補地の1つ、白樺湖(長野)の雄大な自然

SANUは「人と自然が共生する社会の実現に寄与する」をミッションに掲げるライフスタイルブランド。自然の中に繰り返し通うことができるライフスタイルを提案していく。SANUのFounder / Brand Directorの本間貴裕氏は「SANU 2nd Homeは都市で溜まったストレスを発散して帰るといった自然を消費するスタイルではありません。海、山、川など好きな自然の中に、無理をせず定期的に足を運べるサービスです」と語る。

SANU 2nd Homeは、都市に生活拠点を持ちながらも「自然の中で生活を営むためのもう1つの家」を提供する。会員登録制で月額税込5万5000円となり、初期費用は0円とした。会員が1カ月に数泊、定期的にサービスを使う想定で、生活の大部分を過ごすサブスク型の生活拠点サービスとは異なるという。

SANUは2021年内に、5拠点でSANUキャビン計40棟を同時オープンする予定だ。2022年夏頃までには、さらに5拠点を追加して計10拠点で90棟を建てる計画で進めている。土地取得などを含めた総開発費用は約20億円に上るという。すでに着工している拠点もあるというが、その地域は公表していない。

SANU CABINを拠点に何棟か建てていく

拠点候補地は東京都心からクルマで片道約1時間半~3時間の距離で、自然が豊かな場所を選んだ。具体的には白樺湖(長野)、みなかみ(群馬)、北軽井沢(群馬)、山中湖(山梨)、河口湖(山梨)、八ヶ岳南麓(山梨)、白馬(長野)、熱海(静岡)、那須(栃木)、館山(千葉)、いすみ(千葉)、一宮(千葉)、鴨川(千葉)などとなる。1拠点に少なくて2、3棟、多ければ15棟ほどのSANU CAVINを建てていく。

また、SANUは会員専用のウェブアプリも開発した。事前に発行されたパスワードをSANU CABINのドアキーに入力するだけで、スマートチェックインができる。チェックアウトもアプリ上で完結する。この他、拠点にいくつかあるSANU CABINを、海側や山側といったように立地を選んで予約することも可能だ。自然を中心に据えたサービスだが、テクノロジーも駆使してシームレスな滞在体験を提供していく。

サステナブルな「SANU CABIN」

3.5メートルの高窓から借景を楽しむ

「SANU CABINにはこだわりました」と本間氏は自信を見せる。SANU CABINはサステナブルな建築に強みを持つ建築設計・施工のパートナー企業のADXとともに、一から独自開発した。

SANU CABINは天井高が4メートルで、室内は60平方メートルある。さらに3.5メートルの高窓から大自然の借景を楽しめるようにした。1人の会員がいれば最大4人まで、友人や家族と一緒に泊まることができる。生活に必要な冷蔵庫やキッチン、調理器具、洗濯機なども用意している。

SANU CABINの平面図

SANU CABINは国産木材やリサイクルコンクリートを使用するなど、サステナブルな建築だ。本間氏は「僕らは自然の中にお邪魔する身です。候補地ではどんな木々が植生しているのかなど、一帯をドローンで調べています。そしてどこに建物を配置したら最小限の伐採で済むのかなどを考え、自然へのダメージを最小化するように取り組んでいます」と説明する。

SANU CABINは基礎杭工法により高床式の構造になっている。地中に打ち込んだ柱6本で、地面から建物を浮かせている。これにより、直接地面にコンクリートを流すベタ基礎と比べ、コンクリート使用量を80%近く削減している。

さらに、SANU CABINの建築パーツは、プラモデルのように1つ1つ外れるようになっている。パーツをデータ化して管理することで、SANU CABINは解体して組み直すことができる。

土地の使用期限による移動や稼働率の低下などさまざまな理由で、その場所で使わなくなったとしても、SANU CABINを取り壊して廃材にはしない。新たな場所で再利用を可能にするなど、環境への配慮は特に力を入れている。

SANUのさらなる展開

SANUのメンバー、左から6番目がFounder / Brand Directorの本間貴裕氏

SANUは2019年11月に設立した。本間氏は立ち上げ当初、ホテル事業を進める考えだったが、新型コロナの影響などからホテル投資は難しいと考え、サブスク型のセカンドホームという事業にピボットした。

本間氏は「コロナ禍で人が『自然に触れたい』と考える傾向が顕著になったかもしれません。しかし、コロナ禍をきっかけにSANU 2nd Homeを作ったわけではありません。SANUが元々構想していた『Live with nature』という考えが後押しされたかたちです」と語った。

SANUがセカンドホーム事業を発表したのは2020年7月、翌月の8月には累計1億円の資金調達を実施している。そして2021年4月までに約20億円を不動産投資用に調達し、サービスの骨子を固めて初期会員の募集を始めるなど、スピード感と規模感をもって事業を展開している。

本間氏は今後について「将来的にはホテルや住居に関するサービス展開も含めて、人と自然が共生する社会の実現を目指します。その上で、環境問題を声高に叫ぶのではなく、むしろ『自然とともに生きることは豊かで楽しくていいよね』と、前向きな姿勢で事業を拡大していきたいと考えています」と語った。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Sanuサブスクリプション日本ホテルセカンドハウス

画像クレジット:Sanu

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TechCrunch Japan

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