自転車カフェのWheelysがクラウドファンディングで35万ドルを調達

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Wheelys Caféがスウェーデンのクラウドファンディング・プラットフォームであるFundedByMe大型の資金調達を完了した。この資金により同社はさらなるビジネス拡大を目指す。

創立からまだ間もない同社はすでに華々しい経歴をもっている。Y Combinator出身であり、Indiegogoのキャンペーンで素晴らしい成果を上げ、そして今回クラウドファンディングのキャンペーンで巨額の資金調達を完了したのがWheelysなのだ。

今月始めに行われたインタビューのなかで、Wheelys CEO兼共同創業者のMaria De La Croixは「かつては就職活動をしていましたが、それには失敗しました」と語った。De La Croixが考えるに、彼女が就職活動に失敗したのは彼女の奇抜なヘアスタイルが原因だ。その当時の彼女の髪は明るい青色をしていた。「なので、私は”どーにでもなれ”と開き直り、自分で会社を立ち上げたのです。当時はすぐにグローバル展開するなどとは考えていませんでした。しかし、すぐにヨルダンやチリで顧客を獲得し、大きく物事を考えようと決めたのです」。

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Wheelys Caféの最新モデルには、ベルから笛まで、ありとあらゆる機能が備わっている。

彼女のアイデアは完全オーガニックのコーヒーを自転車式のカフェで提供するというもので、De La Croixの出身地であるスウェーデンの街Malmöで第一号カフェをオープンすることからビジネスが始まった。彼女の言葉を借りて言えば、その第一号店では「めちゃくちゃ大量のコーヒーが売れた」。そこで彼女は、もっと多くの人もこのビジネスに関わるべきだと考えた。

「今でも時々、自転車でコーヒーを淹れていますよ」とDe La Croixはニヤリと笑って話し、いまだにラテを作るときに失敗してしまうと告白した。だが最近は「CEO的」な仕事が忙しすぎる、と漏らしたのはその後のことだ。「カフェを経営するのも楽しいですが、今の仕事も楽しいです」と彼女は冷ややかに話した。

WheelysはIndiegogoで「A café in a bike, Deal With it.」というタイトルのキャンペーンをローンチし、初めてのキャンペーンで15万ドルを調達した。その時、自転車カフェの販売価格が製作と発送にかかるコストを下回っていることにも気がついた。しかし、それは同時に自転車カフェには大きな需要があることも示していた。WheelysがY Combinatorに参加したのは、そのすぐ後のことだ。

「Wheelysのアイデアはシンプルなものです」とDe La Croixは話す。「Wheelysのカフェは自転車でできています。ですから、どんな場所でもカフェを開けます。初期コストが低いので、誰でも簡単にカフェ・ビジネスを始めることができるのです」。

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共同創業者兼CEOの Maria De La Croix。朝一番のコーヒーの前に撮影された写真だろうか。

このビジネスモデルは上手くいっているようだ。新品の自転車は5400ドル(約54万円)、月額の使用料は1年間の契約で月199ドルだ。500台以上のWheelys Caféが65ヵ国ですでに稼働済みだ。同社は大規模生産の取り組みもすでに始めており、それにより素早いビジネス拡大が可能となっている。

「私たちのビジネスモデルが上手くいくかどうか確信がもてませんでした。でも、上手くいっているように見えたので、ビジネスを拡大することにしたのです。グローバル展開のプランはありませんでしたが、すぐにヨルダンやチリにもWheelysが広まるのを見て、私たちにはもっと大きな選択肢があるのだと気がついたのです」とDe La Croixは語る。

次に同社が手掛けるのはスマートフォンアプリだ。このアプリでは自分の近くのWheelysを探すことができ、アプリで事前予約したコーヒーをWheelysでピックアップすることも可能だ。

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Starbucksが競合のWheelysでは、一度に淹れられるコーヒーは1杯だけだ。

同社はエクイティ・クラウドファンディングのキャンペーンを実施し、167名の投資家から合計74万ユーロ(約8400万円)を調達した。これは同社が目標に定めた金額の4倍以上に相当し、FundedByMeのレコード記録にもなった。

編集:実のところ、同社は100万ドルに相当する資金を調達していたことが後で分かった。しかし、同社はその出資金の多くを返却し、その3分の1にあたる35万ドルの出資金だけを受け取ることにしたのだという。

「クラウドファンディングのキャンペーンは、Wheelys caféのオーナーにも投資のチャンスを与えることが目的でした」とMaria De La CroixはEメールで話してくれた。「予想以上の速さで出資金が集まったため、開始から数日後にはキャンペーンを終了することに決めたのです」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

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TechCrunch Japan

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