自転車シェアのJUMPが米国の複数の都市でサービスを中止

Uberが所有するシェアリングサービスのJUMPがここ数カ月、自転車やスクーターをいくつかのマーケットから引き上げている。直近でこの影響を受けた都市はサンディエゴで、同市では海軍基地2カ所を除き9月19日をもって利用できなくなる。

「日々の通勤や通学にかなり大きな影響を及ぼすことは承知している。サービスをこれ以上提供できないことを申し訳なく思う」とサンディエゴの顧客にあてた電子メールに書いている。

この決断は、財政的に責任を持てる方策を見出せるまでサンディエゴ市におけるスクーターサービスを凍結することを市評議員Barbara Bry(バーバラ・ブライ)氏が要求したことを受けた措置だ。

「我々は、現在のマイクロモビリティ規則では運営環境を持続できないとするサンディエゴの当局に同意する。この指摘が、今日サービス提供をやめるとした理由だ」とUberの広報はTechCrunchに対し語った。「より良い規制の検討で市当局に協力したい」。

今週はじめ、JUMPは破壊行為や誤使用にかかる条例を受け、ロードアイランド州プロビデンスから自転車を撤去した。JUMPはまた今月、9カ月しかサービスを展開していなかったアトランタからも自転車を撤去した。しかしスクーターはまだ残されている。

「我々はアトランタで展開している電動自転車サービスを終わらせつつある」とUberの広報はTechCrunchに語った。「スクーターは今後も展開し、市のトップと我々がいかに交通の選択肢を広げていけるか対話を続けることを楽しみにしている」。

アトランタでのサービス中止は、市当局がドックレス自転車に関する許可プロセスを中止し、夜間の使用中止を実施したことを受けてのものだ。一方、JUMPはダラスサンアントニオからも何の説明もなしに自転車を引き上げた。スタテン島では、当局がJUMPに自転車を撤去するよう命じた。6月以来、JUMPは少なくとも6つのマーケットで自転車サービスを取りやめている。

「我々のゴールはJUMPの電動自転車とスクーターを交通エコシステムにおける持続可能な選択肢にすることだ」とUberの広報は語った。「現在、世界25都市でJUMPを展開していて、それぞれの状況に応じて運営を判断している」。

そうしたケースバイケースの決断は、少なくとも部分的には利用状況や破壊行為、盗難などそれそれの点を鑑みてのことのはずだ。

一方、サンフランシスコはJUMPの自転車事業にとっていいマーケットのようだ。8月、JUMPのサンフランシスコにおける利用が100万回を達成した。サンフランシスコでは2018年1月に自転車500台でサービスが始まった。今年はじめ、JUMPは他のドック型自転車サービスのプロバイダーに比べて高い利用率であることをアピールした。ただ、他の自転車シェアプロバイダーの展開を阻止しようと、つい最近裁判所がLyftの試験展開を承認したことを考えると、そうした状況はすぐに変わるかもしれない。

もちろん、マイクロモビリティの運営で問題に直面しているのはUberのJUMPだけではない。7月、Lyftはバッテリー火災を受けてサンフランシスコから電動自転車を引き上げなければならなかった。そして8月、Limeの自転車がシアトルで火災を起こした。Uberにとって、自転車やスクーターの火災を起こしていないのは少なくとも前向きなことといえる。

言いたいのは、マイクロモビリティは手軽なビジネスではないということだ。法規制、破壊行為の可能性、不全バッテリーなど、成功に向け多くの要因が立ちはだかっている。

画像クレジット: PHILIPPE LOPEZ/AFP/Getty Images / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。