蜘蛛の糸を作るBoltが5000万ドルを調達、Patagoniaと製品開発を開始

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蜘蛛の糸でできた洋服を着るのが面白いアイディアだと思うなら、蜘蛛を大量に飼うことになるだろう。 Bolt Threadsという名のスタートアップは蜘蛛や他の昆虫が作る繊維を生成し、アパレルメーカーや内装関連の企業が利用できるよう、その繊維で糸を紡ぐ方法を開発した。

2009年にCEOのDan Widmaier、Chief Scientific OfficerのDavid Breslauer、Vice President of OperationsのEthan Mirskyが共同創業したBolt ThreadsはシリーズCラウンドで5000万ドルを調達したとTechCrunch Disrupt NYのステージで公表した。

「今日は大きなニュースが2つあります。1つは、シリーズCラウンドで5000万ドルを調達したことです」とWidmaierは言う。「私たちはスケールする段階にいます。市場にプロダクトを投入するため、サプライチェームを複数確保しました」と彼はインタビューで答えた。

2つ目の発表は、SF映画に出てきそうなこの新たな糸で製品開発とデザインをPatagoniaと行う契約を交わしたことだ。「まだ何をするかは公表できませんが、Patagoniaと協力していることを発表したいと思います」とWidmaierは言う。

Boltは製造パートナーにアウトソースすることで、すでにEngineered Silk(遺伝子操作シルク)のタンパク質を大量生産しているとCEOのDan Widmaierは言う。そして、今年の夏には糸の製造も行うと話す。

Formation8が調達ラウンドのリードを務め、香港に拠点を置くNan FungとInnovation Endeavorsが参加した。Boltの以前の出資者であるAlafi Capital、East West Capital、Foundation Capital、Founders Fundも今回のラウンドに参加している。

Formation 8のファウンダーでジェネラルパートナーのJim Kimは、Boltに投資したのは、彼らのシルクには素晴らしい特徴があるからだという。蜘蛛のシルクでは、ケブラーより強い素材を生成することができ、耐久性がありながらもライクラほどの柔軟性を持つと彼は説明する。

それに加えBolt Threadsは、天然のシルクの製造よりはるかに簡単にこの繊維を製造する方法を開発した。絹の場合、蚕と大量の桑の葉が必要だが、この葉は気候の変化により脅かされていて、絹業界もその影響を受けている。

Kimは「多くの人は次のUber風サービスに投資しますが、テキスタイル業界周りのテクノロジーを理解している人は少ないのです。Boltは何兆ドル市場に影響を与えます」。

投資に関してKimは、2018年までにBolt Threadsの生物が作り出す繊維がメインストリームのプロダクトとなることを期待しているとした。

Modern Meadowも着実に成長

一緒に登壇したModern MeadowのCEOを務めるAndras Forgacsも自社について話をした。Modern Meadowは、バイオプリントで皮革を製作している。

「私たちの場合は皮革を製作していて、この皮革は本物です。生物学的に同じ構造のものです。動物を殺さなくてもそれができます」とForgacsは言う。

もちろん、新しい素材を製作する会社を築くには多くの時間が必要だ。しかし、Modern Meadowはこの先一年で規模を倍にしたい考えだと示した。Forgacsは会社のミッションを心に刻んでいる。「皮革は1000億ドル市場です」と指摘し、「各製造工程の中で多くの化学品が使い、大量の無駄があります」と話す。

Bolt Threadsのニュースに対して Forgacsは、Modern MeadowとBolt Threadsには多くの共通点があると話す。「私たちの事業を行っている企業は多くありません。だからこそ私たちが目立つのです」と言う。

Modern Meadowは累計でおよそ1350万ドル を調達している。スタートアップはいつも新しいことに取り組んでいるものだが、Forgacsは今日はニュースを持ってこなかったと話した。「今の段階で発表できることは何も持ち合わせていません」と笑った。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

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TechCrunch Japan

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