視覚障がい者支援技術を考えるバーチャルイベント「Sight Tech Global」のブレイクアウトセッションを紹介

Sight Tech Globalの開催まであと2週間となり、12月2〜3日の詳しいアジェンダを公開した。このイベントは米国太平洋時間の午前8時から昼ごろまで(日本時間午前1時から午前5時ごろまで)配信される。無料で参加できるこの100%バーチャルなイベントにまだ申し込んでいない人は、今すぐ申し込もう

Sight Tech Globalでは15のセッションに35人のスピーカーが登場し、視覚障がい者を対象とした最先端のAI関連技術とアクセシビリティを語る。OrCam創業者のAmnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏、Seeing AI共同創始者のSaqib Shaikh(サーキブ・シャイフ)氏、人権問題を専門とする弁護士のHaben Girma(ハーベン・ギルマ)氏、コンピュータビジョン研究者のDanna Gurari(ダナ・グラリ)氏、Amazon(アマゾン)のL126研究者のJosh Miele(ジョシュ・ミーレ)氏、AIのエキスパートで投資家のKai-Fu Lee(李開復)氏など、この分野の第一人者の方々がスピーカーとして登場する

メインステージのセッションと並行して10のブレイクアウトセッション(分科会)も開催する。Sight Tech Globalの参加登録者数がこれまでに1200人を超えたことをたいへん喜んでいるパートナーが、30分間のブレイクアウトセッションを提供する。セッションの詳細を後述する。

これまでにも述べているが、Sight Tech Globalの素晴らしいスポンサーであるWaymo、Salesforce、Mojo Vision、Ford、Vispero、Google、Microsoft、Amazon、Wells Fargo、Comcast、accessiBe、Eyedaptic、APH、HumanWare、Verizon Media、Verizon 5G、TechCrunchに感謝している。スポンサーからの収益は、シリコンバレーで75年にわたって活動しているNPOのVista Center for the Blind and Visually Impairedの収入となる。

引き続き、スポンサーシップに関するお問い合わせをお待ちしている

イベントの詳しいアジェンダはウェブページでご覧いただきたい。この記事ではブレイクアウトセッションを紹介しよう。

Perkins Access: Users aren’t an add-on – Building the user perspective into the design process(Perkins Access:ユーザーはアドオンではない – ユーザーの視点を設計プロセスに組み込む)

ComcastとPerkins Access(Perkins School for the Blindのデジタルアクセシビリティに関するコンサルティング部門)が、アクセシブルなエクスペリエンスを実現するための考察、特にユーザーの視点を設計プロセスに組み込むことについて共有する。視覚障がい者に固有の課題とニーズを理解できるセッションだ。Sight Techからのダウンロード配布を予定しているPerkins Accessの「Inclusive Design Guide」の著者たちがパネリストとして参加する。

  • Gary Aussant(ゲイリー・オーサン、Perkins Access、デジタルアクセシビリティ担当ディレクター)
  • Geoff Freed(ジェフ・フリード、 Perkins Access、コンサルティング担当ディレクター)
  • Jerry Berrier(ジェリー・ベリア、Perkins School for the Blind、教育テクノロジー担当ディレクター)
  • Karyn Georgilis(カリン・ジョージリス、ハーバードビジネススクール、MBA取得予定者)
  • Tom Wlodkowski(トム・ウラッドコウスキー、Comcast、アクセシビリティ&多文化・テクノロジー・プロダクト担当バイスプレジデント)

American Council of the Blind: Get Up & get moving – A call for leveraging technology to improve health and wellness(米国視覚障害者委員会:立ち上がり動き出そう – 健康と幸福を向上させるためにテクノロジーを活用する)

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大し、限界が訪れたときにテクノロジーが直面するグローバルな課題が示された。この現実は、視覚障がい者にとって不当に重い負担となっただけでなく、長年にわたって物理的、社会的、心理的な健康を害する障壁がコミュニティに存在していたことをも明らかにした。American Council of the Blind(米国視覚障害者委員会)が運営するセッションに参加して、障壁を取り払って豊かな生活を実現するためにテクノロジーに何ができるか、健康と幸福における完全な平等に向けて我々に何ができるかを考えよう。

  • Clark Rachfal(クラーク・ラクファル、American Council of the Blind、アドボカシー担当ディレクター)
  • Eric Bridges(エリック・ブリッジズ、American Council of the Blind、エグゼクティブディレクター)
  • Brian Charlson(ブライアン・チャールソン、American Council of the Blind、会員)

Benetech: Using artificial intelligence to unlock STE(A)M education(Benetech:AIでSTE(A)M教育を解放する)

人工知能は何十年にもわたって使われてきた言葉で、AIのアプリや技術は人事からヘルスケア、eコマースまであらゆるところですでに使われている。しかしAIは今後、アクセシビリティやインクルーシブ教育をどう支援していくだろうか。このセッションでは、機械学習やコンピュータビジョンといったさまざまなAI技術の基本を理解し、Benetechがそうした技術をどのように活用して複雑な書籍を変換しているかを知ることができる。アクセシブルなフォーマットにするにあたって、テキストは簡単だが、数式や画像などテキスト以外のコンテンツは簡単にはいかない。支援テクノロジーの未来と、テクノロジーが視覚障がい者のために開く新しい世界をこのセッションで紹介する。

  • Brad Turner(ブラッド・ターナー、Benetech、グローバル教育&リテラシー担当バイスプレジデント兼GM)

Salesforce: The new Office of Accessibility – Explained(Salesforce:新しいOffice of Accessibilityを語る)

SalesforceがOffice of Accessibilityの立ち上げを発表したのは1年前だった。Office of Accessibilityは、社内の利害関係者と協力してアクセシビリティのニーズを明らかにして改善計画を立て、社員教育プログラムを構築し、Salesforceとその社員、顧客、業界全体の重要な役割に広めるといったことを一手に引き受けている、新しいチームだ。

このセッションでは、グローバルアクセシビリティコンプライアンス担当シニアマネージャーのKristian Burch(クリスチャン・バーチ)氏と、UXエンジニアリング・アクセシビリティ担当シニアディレクターのRichard Boardman(リチャード・ボードマン)氏が、この革新的な動きの原動力や、プロダクトアクセシビリティなど他のチームとの関わり、成果や変化を論じる。

  • クリスチャン・バーチ(Salesforce、グローバルアクセシビリティコンプライアンス担当シニアマネージャー)
  • リチャード・ボードマン(Salesforce、UXエンジニアリング・アクセシビリティ担当シニアディレクター)

Fable: The barriers to Utopia – Why feedback comes first(Fable:ユートピアへの障壁 – なぜフィードバックが重要なのか)

最新テクノロジーについて、またテクノロジーが問題をどう解決するかについては多くのことが議論されている。しかし人についてはどうだろうか。FableのCEOであるAlwar Pillai(アルウォー・ピライ)氏、同社コミュニティリードであるSamuel Proulx(サミュエル・プルー)氏とともに、障がいのある人々から確実なフィードバックを集める方法を考えよう。

  • アルウォー・ピライ(Fable、CEO)
  • サミュエル・プルー(Fable、コミュニティリード)

Eyedaptic: Simulated natural vision technology & one user’s low-vision journey(Eyedaptic:自然な視覚をシミュレーションする技術と、あるロービジョンユーザーの経緯)

EyedapticはARによる視覚支援企業で、加齢黄斑変性など網膜に関連する視覚障がい者に対して自然な視覚をシミュレーションする。Eyedapticの新しいソフトウェアはユーザーの視覚と環境、習慣に応じて、ユーザーがまだ持っている視覚を最適化する。Samuel Newman(サミュエル・ニューマン)氏が克服した自身のロービジョンの課題や、これまでに試行したロービジョン技術を語る。

  • Jay Cormier(ジェイ・コーミエ、Eyedaptic、創業者兼CEO)
  • サミュエル・ニューマン(医療従事者、ロービジョン技術ユーザー)

Vispero: The engineering experience of adding a voice assistant to ZoomText and JAWS(Vispero:音声アシスタントをZoomTextやJAWSに追加したエンジニアリングの体験)

Sriram Ramanathan(スリラム・ラマナサン)氏とRoxana Fischer(ロクサナ・フィッシャー)氏が、音声アシスタントをWindowsで広く使われているスクリーンリーダーと拡大機能に追加した体験を語る。新しい入力メカニズムの利点と限界や、最初のコマンドセットを作る際の道しるべを考える。また、音声アシスタントのデータと会話のプライバシーや、これに関するVisperoのアプローチについても取り上げる。

  • スリラム・ラマナサン(Vispero、シニアソフトウェアエンジニア)
  • ロクサナ・フィッシャー(Vispero、ソフトウェア開発者)

Humanware: Plotting the course – delving into the past, present and future of assistive technology for the visually impaired community through the lens of artificial intelligence(Humanware:軌跡をたどる – AIのレンズを通して視覚障がい者向け支援技術の過去、現在、未来を掘り下げる)

このセッションではHumanWareの軌跡にスポットライトを当て、現在のテクノロジーの動向がプロダクト開発の将来に与える影響を考える。Eric Beauchamp(エリック・ボーシャン)氏、François Boutrouille(フランソワ・ブトルイユ)氏、Peter Tucic(ペーター・トゥッチ)氏が、これまで32年間にわたってHumanWareが視覚障がい者のための技術を開発し、今後もAIや機械学習を活用して開発を続けていくことについて話し合う。1つのタスクを解決するプロダクトを提供するという課題は、現在では複雑なディープラーニング技術を統合して動的な対象とリアルタイムでやりとりすることへと移行している。このセッションに参加すれば、その動向を深く理解できるだろう。

  • ペーター・トゥッチ(HumanWare、視覚障がい者向け製品ブランドアンバサダー)
  • エリック・ボーシャン(HumanWare、プロダクトマネジメント担当ディレクター)
  • フランソワ・ブトルイユ(HumanWare、先進技術リーダー)

Teach Access: Teaching accessibility to tomorrow’s builders(Teach Access:明日の開発者たちに対するアクセシビリティ教育)

Teach Accessは、高等教育機関、(主にテクノロジーを中心とする)企業、障がい者支援団体が集まる全国的な組織で、大学生を集めた会議を今後開催する。この会議では、新しいデジタルエコノミーの中で今後台頭する世代にとって、アクセシブルデザインと開発に関する大学での教育はアクセシビリティのスキルのギャップを埋めることにどう寄与するかを議論する。

    • Kate Sonka(ケイト・ソンカ、Teach Accessエグゼクティブディレクター、ミシガン州立大学アカデミックテクノロジー担当アシスタントディレクター)
    • Larry Goldberg(ラリー・ゴールドバーグ、Teach Access共同創業者、Verizon Mediaアクセシビリティ責任者)

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カテゴリー:イベント情報
タグ:Sight Tech Globalアクセシビリティ

原文へ

(翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

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