調査報告:数学関連業務の採用活動では、男女ともに男性を採用する率が2倍程度

女性がガラスの天井を打ち破れない理由について、新たな研究結果が発表された。意思決定者が男性である場合のみならず、女性であっても、数学の関係する仕事については、2倍の確率で男性の方を雇うことにする傾向があるようなのだ。

紹介する内容はコロンビア大学、ノースウェスタン大学、およびシカゴ大学が共同して行った調査によるものだ。数学能力を必要とする(架空の)人材採用活動について、被験者の先入観をはかるものだ。

「応募者の性別のみを明らかにした場合、採用担当者が男性であっても、あるいは女性であっても、男性を採用する率が女性を採用する率にくらべて2倍ほども高い」と、報告書には記されている。シリコンバレーにおける男女アンバランスについえてはいろいろと言われているところだ。National Center for Women and Information Technologyによる調査で、女性ソフトウェアエンジニアの率が22%であったことを裏付けるものと言うこともできる。

調査は採用にあたって差別的意識が混入することを明らかにしている。まず被験者に、数学に関連する仕事について、求職者の中から適当な人材を採用するように命じる。的確な人材を採用することができたかどうかで、被験者は評価されることになる。そして、面接者について全く情報を与えずに実験を行ったところでは、被験者(採用担当者)たちは、男性の方を2倍の割合で選んだのだそうだ。求職者グループが数学能力に低い場合でも同様な結果だった。

これは、一般的に男性の方が理系科目に強いという先入観のせいであるとも考えられる。そうした先入観が思い込みに過ぎないと考えてはいても、他に区別要因がなければ採用担当者(被験者)は男性を選びがちであるということがわかる。

この「先入観」は、他の評価基準が不明な場合にのみ発動されるものではないらしい。たとえば被験者たちに求職者たちの能力について正しく説明しておいても、依然として差別的な採用スタイルが現れるのだとのことだ。「性別についての情報しかない場合(女性が採用される率は33.9%)よりは低くなるものの、求職者たちの実績について客観的事実を伝えておいても、それでも女性が選ばれる割合は大幅に低くなってしまう(このケースでは女性が選ばれる率が39.1%)」ということである様子。

「数学関連」の仕事についての「自己評価」が影響している面もある様子。「数学を必要とする仕事に対して、男性は自分の脳力を過大気味に評価する傾向があり、女性の方はむしろ控えめに評価する傾向がある」とのことだ。

テック業界にては給与面の男女平等が進んでいるという話もあるが、しかしそもそも雇われにくい傾向があるわけだ。こうした傾向の中、業界における女性率を高めようとするプロジェクトもいろいろと進行中だ。Googleも、まずは女性の比率を25%にまで高めようとするインキュベーションプログラムを支援している。

今回の調査結果はこちらから購入することができる(PDFアイコンをクリックすると会員ログイン画面やレポート購入画面が表示される)。

[Image Credit: Flickr User brewbooks]

原文へ

(翻訳:Maeda, H


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。