論議呼ぶ防犯アプリ「Vigilante(自警団員)」改め「Citizen」が月額約2180円のProtectサービスを開始

10万人以上のベータテスターによる数カ月間のテストを経て「Citizen(シチズン)」アプリは米国時間8月3日、プレミアム版「Protect(プロテクト)」の提供をすべてのユーザーに向けて開始する。このサブスクリプションサービスは月額20ドル(約2180円)で、アプリ上の多くの機能を利用することができる。

有料の新機能の中で最も重要なのは「Get Agent」ボタンで、これはさまざまなシナリオでCitizenのオペレーターへのアクセスを提供する。同社によると、このボタンは「911(日本の110番に相当する緊急番号)に電話するところを見られたくない」場合に利用できるという。それが身の安全の問題なのか、あるいは警察に電話することについての他の問題なのかは、間違いなくユーザーと状況の両方により異なるだろう。同社のエージェントは事実上、緊急通報のオペレーターとのパイプ役として機能する。

多くの人にとってCitizenアプリの機能は近年、さまざまな論争の影に隠れがちだった。当初は「Vigilante(自警団員)」という名称でスタートしたこのアプリは、2021年初めに「Personal Rapid Response Service(個人向け緊急対応サービス)」という私有のフリートを立ち上げたことや、ロサンゼルスの山火事を起こしたと濡れ衣を着せられた人物を捕らえる報奨金を提供したことでニュースになった。

「当社のProtectエージェントたちは、高度な訓練を受けた安全エキスパートであり、ストレスや不安を感じるさまざまな状況に対応できる能力を備えています」と同社は新サービスについて書いている。「彼らは、あなたの状況に合わせてエクスペリエンスをパーソナライズします。必要に応じて911コールにエスカレートしたり、ファーストレスポンダーにあなたの正確な位置を伝えたり、指定された緊急連絡先に通知したり、安全な場所に誘導したり、あるいはあなたが再び安全だと感じるまで、単に通話を続けてあなたをモニターすることもできます」。

もう1つの重要な機能は新しい「Protect Mode(プロテクトモード)」で、これもまた、前述のエージェントにすばやくアクセスできることを意味する。不審な状況で有効にすると、アプリはユーザーの音声フィードをライブモニターし、AIを使い叫び声などを検知し、エージェントへの接続を提供する。ユーザーが応答しない場合は、自動的に接続される。また、ユーザーは電話を2回振ることで、エージェントに直接アクセスすることができる。

最近の同社の求人情報には下記のように記されていた。

この役割では、危険となり得る状況下で支援を必要としているユーザーとのコミュニケーションを行います。難しい会話を導き、最善の判断に基づいてこれらの状況の重大性をリアルタイムで判断する責任があります。あなたは、周囲に危険を感じているユーザーを助ける最前線に立ち、直接支援や911へのエスカレーションを行います。

これは、Noonlightのようなパニックボタンアプリを探している人にとっては有用なサービスになる可能性がある。しかし、Citizenの歴史にある危険信号を考えると、同アプリがそのようなサービスを提供するのに最適な立場にあるかどうかは疑問が残る。

2016年にリリースされたこのアプリは当初、自警主義(vigilantism)への懸念からApp Storeから追放された(もともとの名前や位置づけからして、無理もないことかもしれない)。ニューヨーク以外にも拡大していく中でリブランディングされたこのアプリは、全米レベルで懸念を生み続けている。

2021年5月には、同社は犯罪発見のためのクラウドソーシングをブランディングされた車両にまで拡大し、ロサンゼルスをパトロールし始めた。当時、ある情報筋はViceのテックニュース部門であるMotherboardに「大規模なマスタープランは、民営化された補助的な緊急時対応ネットワークを作ることだった」と語っている。同社は後に、初期パイロットの後にサービスを拡大する予定はないと付け加えた。

それと同月、CitizenサービスのCEOは、ロサンゼルスの山火事を起こした疑いのある人物を捕らえるために3万ドル(約327万円)の報奨金を出した。その後、同サービスは誤った人物の写真を配信し、それが80万回以上の動画ビューを記録したことを謝罪した。「深く反省し、二度とこのようなことが起こらないよう、内部プロセスの改善に取り組んでいます」と同社は声明で述べた

Citizenは現在、米国の20都市でサービスを提供している。新しいProtect Modeサービスは、米国時間8月3日よりiOS向けに提供を開始する。Android版の開発も進行中だという。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:CitizenアプリサブスクリプションiOSApp Store防犯

画像クレジット:Citizen

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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