買収意欲旺盛な宇宙インフラ企業RedwireがSPAC経由で株式公開へ

2021年に発表された一連の宇宙スタートアップSPACに最も新しく仲間入りするのは、2020年にPE会社によって立ち上げられたRedwireだ。同社はここ1年ほどの間に、Adcole Space、Roccor、Made in Space、LoadPath、Oakman Aerospace、Deployable Space Systemsなど、数多くの小規模企業を買収している。Redwireは、SPAC(特別買収目的会社)であるGenesis Park Acquisition Corp.との合併により株式公開し、合併後の会社はニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場すると発表した。

この合併により、Redwireのプロフォーマ企業価値は6億1500万ドル(約671億5000万円)となり、合併後のRedwireの資金には、1億ドル(約109億円)以上のPIPE(上場企業の私募増資)を含め、1億7000万ドル(約185億6000万円)が追加されると予想される。驚くことではないだろうが、Redwireが考えている資金使途の1つは、宇宙分野でのサービス提供を強化するための継続的なM&A活動だ。

Redwireのマンデートは特に新しい宇宙関連企業を狙うことではなく、混み合った宇宙市場の中でも、特定の狭い範囲の専門知識を持つ企業をターゲットとすることだ。軌道上での製造・サービス、衛星の設計・製造・組立、ペイロードの統合、センサーの設計・開発など、同社はさまざまな能力を持っている。アイデアとしては、打上げと地上局のコンポーネントを除く宇宙技術サービスを先端から末端まで提供できる、複数の技術に精通しているインフラ企業を構築しようとしているように見える。

関連記事:ロケット打ち上げのRocket LabがSPAC合併で上場へ、企業価値4370億円に

急速に発展している宇宙経済に向けて、これはスマートなアプローチといえる。宇宙で事業を展開したいと考えているテック企業は、自社のユニークな価値提案に集中したいと考えており、実際に宇宙に行って活動するという、複雑ではあるがほとんど解決済みのビジネスを外注したいと考えている。他社も同様の方法で市場に対応しており、ロケットメーカーがプロセスの一部を内製化することで、比較的近い将来、ペイロードの顧客は基本的に宇宙に送りたいセンサーや通信機器を持ってくるだけでよく、ロケットメーカーは衛星も含めてその他のすべてを提供することになるだろう。

Redwireは2021年に1億6300万ドル(約177億9000万円)の収益を見込んでおり、収益を生み出す力があることが証明されている。また、現在Redwireの傘下で事業を展開している企業の多くはかなり成熟しており、何年にもわたって営業キャッシュフローが黒字の場合も多い。こうしたことから、公開市場への道としてのSPACは、このような場合には意味があると思われる。しかし、このルートを選択する宇宙企業の頻度と量が増えていることから、全体的には健全な懐疑心を持って見守るべきトレンドである。

関連記事:衛星コンステレーションのSpire Globalが約1712億万円のSPACを通じて上場へ

カテゴリー:宇宙
タグ:RedwireSPAC

画像クレジット:NASA

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。