資金不足のクリエーターが資金援助してもらえるプラットフォーム、Patreon Capital設立

クリエーターがファンから金銭的援助を受けられるプラットフォームPatreon(パトレオン)は、気前よく小切手帳を開いた。このスタートアップは、新たにローンチしたPatreon Capital(パトレオン・キャピタル)でベンチャー投資家になろうなどとは、まだ考えていない。自己資本を要求しないキャッシングサービス(つまりローン)を、大きな創作活動のための資金が不足しているPatreon会員に提供する。Patreonはすでに、クリエーターへの小規模融資を12件ほど行っていると、Hot Podは伝えている。

1億6500万ドル(約182億円)の資金調達を行ったPatreonは、反発を恐れて、今あるユーザーベースの料金体系を抜本的に変更することはないだろう。そのため、前に進むための最良の選択肢が、顧客ネットワークを利用して付加的なサービスを売り込むことだ。融資部門の設立は、理に適っている。

野心的なクリエーターにとって、Patreonを通した独自の加入者ネットワークの構築は、もうひとつのサービスとなる。その一方でPatreonにとっては、自力で冒険したい誘惑に駆られるであろう成功したクリエーターををつなぎとめておく手段にもなる。クリエーターの活動は、ベンチャー規模のリターンを生み出すまでに成長することはまずないが、そんな小さな存在でもローンは返済できる。問題は、もちろん確実な返済だ。

Patreonは、新進気鋭のクリエーターに関する利用せずにはいられないほどのデータにアクセスできる。YouTubeやFacebookなら、特に悩むこともなくインフルエンサーに投資できるだろうが、返済を確保しながらプラットフォーム上で顧客をサポートできるという、スタートアップへのおもしろい提案になる理由は容易に理解できる。

Patreonがこのキャッシングサービスでどのようなリターンを期待しているのかははっきりわからないが、条件は、Patreonでの収入に対する割り戻し額の引き上げを中心に組み立てられているようだ。

 Hot Podの記事にはこうある。

Patreonは、Next Stopでの今後2年間におけるPanteonの収入から、Mutitudeがやや多めの金額を戻すことを期待して、チームに対して、シリーズの制作予算をカバーできるおよそ7万5000ドル(約830万円)のキャッシングを行った(Mutitudeがどれほどの金額を戻さなければならないか、その正確な数字はどちらの側も公表していない)。リスク軽減に関しては、もしNext Stopが2年の期限が過ぎたときにPatreonに完済できるだけの収入が得られなかった場合、別のMutitudeのショー「Join the Party」からのPatreonの収入が担保になる。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。