超抜ハエ技術のムスカが新生銀行と戦略的パートナーシップ、丸紅・伊藤忠に続き3社目

イエバエの幼虫を活用して畜糞を1週間程度で肥料化できる技術を擁するムスカは6月25日、新生銀行との戦略的パートナーシップを締結した。新生銀行のCVCである新生企業投資ではなく、本体との締結だ。つまり、新生銀行自体がムスカに出資する。出資金額は非公開。

ムスカは2016年12月設立のスタートアップ。同社は現在、約100トンの家畜排せつ物や食品残渣といった有機廃棄物を、45年1100世代の選別交配を経たイエバエの幼虫を使って1週間で肥料化し、そのイエバエの幼虫を飼料化する、100%バイオマスリサイクルシステム「ムスカプラント」の建設に向けて全力で動き出しており、今年度中に着工を予定。ちなみに畜糞を肥料化する際、通常のイエバエを利用した場合は3〜4週間、イエバエを使わずに畜糞を発酵させた場合は数カ月かかる。

新生銀行は、同行グループが制定した「グループESG経営ポリシー」のもと、持続可能な社会の形成を目指しつつ、同グループの収益成長機会の可能性を高めていくことを目標としている。中期経営戦略ではSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)への貢献も目標の1つ。ムスカとの戦略的パートナーシップは同行のこのような経営方針と合致しており、ムスカとの協業を通じて循環型社会の実現に向けたエコシステムの創造に取り組んでいくとしている。

同行としては、強みである金融ノウハウと、同行やその顧客が有するネットワークを活用した金融ソリューションをムスカに提供し、ムスカプラントの展開や事業拡大に向けたサポートを進めていくという。

新生銀行といえば、もとは長期信用銀行(長銀)。顧客には一次産業も多い。同行はムスカのソリューションを、これらの顧客に紹介することも視野入れている。ネット(SaaS)系ビジネスとは異なり、ムスカプラントを建設して利益を生み出すには長い期間を要する。長期資金の安定供給を目的として設立された長銀の系譜を受け継ぐ新生銀行としては、原点回帰とも言える出資となる。

新生銀行からのコメントが到着次第、記事をアップデートする予定だ。

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TechCrunch Japan

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