車椅子型パーソナルモビリティのWHILLが50億円調達、B向け新事業や自動運転機能を準備中

車椅子型のパーソナルモビリティ(個人向け移動デバイス)を開発するWHILLは9月18日、SBIインベストメント、大和証券グループ、ウィズ・パートナーズ、および既存投資家から約50億円を調達したと発表した。2016年5月に調達した約20億円など過去のラウンドを合わせると、累計調達金額は約80億円となる。

WHILLは「すべての人の移動を楽しくスマートにする」ことをミッションに、車椅子型のパーソナルモビリティを開発する日本のスタートアップだ。同社は2014年9月にフラグシップモデルである「WHILL Model A」の販売を開始。つづく2017年4月にはModel Aよりも価格を抑えた普及価格帯モデルの「Model C」を発表している。それぞれの販売数などは非公開だが、WHILL代表取締役の杉江理氏によれば、「Model Aの販売台数は『1000台以上』というところだが、Model Cの販売台数は近い将来1万台に届く勢いだ」と語る。

WHILLにとってメインの販売チャネルは、医療機器などを取り扱う販売代理店経由でのセールスだ。創業当初より日本とアメリカにオフィスを構えていたWHILLは、2018年1月より日本に加えて北米でもWHILLの販売を開始。2018年6月にはイギリス、イタリアなどヨーロッパ地域にも進出している。

このように、これまでは個人に向けてパーソナルモビリティを販売してきたWHILLだが、同社は今後、移動をサービスとして展開するMaaS(Mobility as a Service)事業を新たに立ち上げることによってBtoBの領域にも注力する。空港、商業施設、スポーツ施設などの施設を通して、長距離の移動が困難な人たちに向けてWHILLを貸し出すというサービスだ。また、そのために必要な「自動停止機能」や「自動運転・自動追従機能」などの実装に向けてパートナー企業らと研究を進めている最中だという。

現時点では具体的な導入先、料金プラン、そしてWHILLに搭載される新機能などの詳細は明らかにされていない。しかし、杉江氏によれば、WHILLは2019年に開催するCESへの出展を予定しており、その場でこのMaaS事業の詳細を発表するとしている。

WHILL代表取締役の杉江理氏

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TechCrunch Japan

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