転職に積極的でない人を見分けて企業を支援する「HireSweet」

いい採用候補者がいると思っても、その人は実は今すぐ転職したいわけではないかもしれない。フランス・パリを拠点とし、Y Combinatorの現在のスタートアップクラスに参加しているHireSweet(ハイヤースイート)は、ぴったりの人材であっても積極的に職を探してはいない人を見分けることで企業を支援しようとしている。

ほかの多くの採用プラットフォームと同様に、HireSweetも最初は評価ツールに取り組んでいた。しかし、企業が直面している問題は実は評価ではなく、適切な候補者の洗い出しだと気づいた。

同社の共同創業者でCEOのRobin Choy(ロビン・チョイ)氏は筆者に対し「そこで我々はバリューチェーンを少し進化させ、エンジニア採用を支援することにした。エンジニアの市場では興味深いことに、多くの人は積極的には仕事を探していない。プログラミングに関するQ&AサイトのStack Overflowの数字によれば、候補者のうち応募後に転職するのは15%で、60%は新しいチャンスに関心はあるものの積極的に仕事を求めてはいない」と述べた。

こうした候補者の採用活動には、企業はまず消極的な人を見分け、それから候補者に対して働きかけることが不可欠だ。これは、候補者が採用に応募するのと同じだ。これまでリクルーターは、LinkedInGitHubを見て、このようなことを人力でやっていた。あるいは社外のエージェントに依頼していた。

HireSweetはこのプロセスを自動化している。候補者になるかもしれない人がウェブで公開しているプロフィールをシステムが検索し、その情報を採用する企業に送る。これはチョイ氏が言うように、単に時間を節約するだけではない。「情報がたくさんあるおかげで、我々は人間なら見逃してしまうようなパターンを検出することができる。例えば、誰かがLinkedInで経歴を更新したことや、LinkedInの経歴とGitHubでの活動に齟齬があることを検出できる。こうしたことは、その人が転職に興味を示している可能性があることを表している」と同氏。

HireSweetは、競合他社と比べてずっと精度が高いことを誇っている。チョイ氏によれば、同社の顧客の一部は80%の精度があると見ており、これによりHireSweetは候補者の接触率が80%と定義している。機械学習の技術を取り入れているが、古き良き正規表現も多く活用している。履歴書に「フリーランス」と書いてあれば、その人が本当にフリーランスであることを予測するアルゴリズムを構築する必要はないのだ。

HireSweetは新規顧客が利用を開始する際にきめ細かい対応をしている。チョイ氏は次のように説明する。「我々はしょっちゅう企業と電話で話している。その企業が何を求めているかを真に理解したいからだ。それに、公開されている職務内容が、採用しようとしている人の実際の職務内容と一致していることはきわめて稀だ。このことを我々はここ数年で具体的に学んだ。だから、企業とたくさん話すようにしている」。

多くの企業がすでに採用ツールを提供しているため、HireSweetはそうしたツールとの統合手段を多数用意している。チョイ氏が筆者に語ったところによれば、さらに多く、そして深く統合できるように機能を拡張する計画だという。

HireSweetは3年半ほど前からこのプロダクトに取り組んでいる。2年前には150万ユーロ(約1億8000万円)を調達した。現在の社員数は30人で、BlaBlaCar、Dashlane、Nokiaなどを顧客として獲得している。ヨーロッパの市場に集中していたが、現在は米国に進出し、約100社の顧客を獲得した。これは、米国企業の採用方法や働く人の転職方法にシステムを対応させるということでもある。採用や転職の方法や国によってかなり異なる。チョイ氏は、これからは米国でのロードマップに集中し、そのイノベーションを将来的にヨーロッパに持ち込む可能性が高いと述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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