送料負担で新製品をお試し ― LOCARI運営のWondershakeがサンプリングサービス開始

17015357_1307210896011489_1284804943_o

トライアルマーケティング事業責任者の徳留智矢氏

ライフスタイル・メディアの「LOCARI」、DIYレシピ共有サービスの「Creon」など、女性向けサービスを展開してきた日本のWondershakeは2月28日、20〜30代の女性をターゲットにしたサンプリングサービス「milcoco(ミルココ)」のβ版を公開する。

milcocoは、送料関係費を負担することで、新製品(化粧品、食品、日用品など)を格安で試すことができるサービスだ。企業はmilcocoのターゲットとなる20〜30代女性を対象にしたテストマーケティングを行うことができ、milcocoに投稿されたレビューを無料で2次利用して広告などに記載することもできる。

17015503_1307224032676842_455136805_o

画像は開発中のイメージ

企業へフィードバックする仕組みは今のところ任意のレビュー機能だけだが、今後はアンケート機能も追加することで企業側のニーズも満たしていく。また、milcoco独自のメールマガジンを経由して、ECや実店舗への誘導も無料で行うという。企業側に必要なのはトライアル商品の提供のみで、サンプリングの実施に費用はかからない。

β版ではモバイルWeb版の提供のみとなるが、今年6〜7月公開予定の正式版までにはアプリもリリースできればとのこと。

Wondershakeはこれまでに、女性向けメディアのLOCARIとDIYレシピ共有アプリのCreonを提供してきた。昨年11月にβ版をリリースしたCreonは先月までに4万人のユーザーを獲得。LOCARIのMAU(月間アクティブユーザー)は1000万人で、これまでに450万回のダウンロード数を記録している。

前サービスのCreon同様、milcocoが生まれたきっかけはユーザーからの声だった。事業責任者の徳留智矢氏は、「私たちは毎日のようにLOCARIユーザーに対してヒアリングをしています。グループミーティングもしますが、基本は1日に3〜4人を対象にした個別ヒアリングが中心で、多い時には1カ月で100人以上のユーザーと話をすることもあります。そこから分かったのが、『失敗したくない。損したくない。でも新しいことも体験したい』という20〜30代女性のニーズでした」とmilcoco誕生の背景について語る。

また、WondershakeはLOCARIを通して「少なくとも100人以上」(徳留氏)のインスタグラマーを抱えている。そのため、milcocoでは彼女たちを活用したマーケティング施策を数十万円の費用で提供することが可能だ。milcocoはまだ生まれたばかりのサービスだが、同じ女性をターゲットとするLOCARIから一定のユーザー流入も見込めるだろう。

LOCARIユーザーは新規事業が誕生するきっかけであり、さらには新サービスへのユーザー流入源でもある。彼女たちを中心として形成されたエコシステムを活用して、Wondershakeは今後も新サービスの創出を続けていくそうだ。

ただ、サンプリングサービス自体は新しいものではない。ビジネスモデルは多少違うものの、海外ではインフルエンサーを有効活用する「Influenster」があるし、日本でもNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供する「Potora」や、マーシュが提供する「シェアビュー」なども同様のサービスを提供している。

この分野に新しく参入するWondershakeの勝算はなんだろうか。徳留氏は「同様のサービスを見てみても、20〜30代の女性にリーチできるものは少ないと感じた。その点、WondershakeにはLOCARIをはじめとする顧客ベースがある。また、この手のサービスには珍しく、送料関係費をユーザーが負担する仕組みなので企業側の負担が少ないことも特徴だ」と話している。

milcocoのβ版では、10社程度の企業から約20のサンプルが用意される予定だ。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。