配送サービスの急増で混雑する道路の路肩スペース管理を請け負うスタートアップAutomotusに投資家も注目

荷物の積み下ろしをする商用車やギグ・エコノミー・ワーカーの配達業務によって、道路の路肩スペースはますます狭くなっている。この問題は、新型コロナウイルスの影響でオンデマンドの配送サービスが増えたことで、さらに深刻化している。

この需要と供給の問題を解決するため、近年はCoord(コード)やcurbflow(カーブフロー)などのスタートアップ企業が続々と登場している。3年前に創業したAutomotus(オートモータス)もその1つだ。同社はサンタモニカ、ピッツバーグ、ワシントン州ベルビュー、イタリアのトリノなどの都市で事業を展開し始めており、ロサンゼルスでもプロジェクトが進行中だ。

投資家もそれに注目している。都市の路肩を監視・管理するためのビデオ解析技術を開発したこの会社は、2021年2月にQuake Capital(クウェーク・キャピタル)、Techstars Ventures(テックスターズ・ベンチャーズ)、Passport(パスポート)に買収されたNuPark(ニューパーク)の共同創業者でCEOのKevin Uhlenhaker(ケビン・ウーレンヘイカー)氏、Baron Davis(バロン・デイビス)氏らが主導するシードラウンドで、120万ドル(約1億3000万円)を調達したと発表した。同社CEOのJordan Justus(ジョーダン・ジャスタス)氏は、総調達額が230万ドル(約2億5000万円)になったと、TechCrunchに語った。新たな投資家には、Ben Bear(ベン・ベア)氏、Derrick Ko(デリック・コー)氏、マイクロモビリティ企業Spin(スピン)のZaizhuang Cheng(ツァイツァン・チェン)氏などがいる。

このスタートアップはまだ小さく、フルタイムの従業員はわずか11人。しかし、ジャスタス氏は新たに調達した資金を、新しい市場への進出や従業員の増員に充てると述べている。

Automotusは、コンピュータビジョン技術を用いて、ゼロエミッション車や商業配送車専用に指定されている駐車スペースの映像を記録する。同社のソフトウェアは、リアルタイムで路肩の使用状況を分析したり、違反駐車している車両があれば取締担当者に通報するなど、さまざまな機能を備えている。都市の職員はウェブアプリケーションを使ってこれらの分析結果にアクセスできる。その一方で、事業者の商用車は、オープンAPIやモバイルアプリを利用して、駐車可能なスペースの情報を得ることができるという。

画像クレジット:Automotus

例えば、新たに発表されたサンタモニカ市とLos Angels Cleantech Incubator(ロサンゼルス・クリーンテック・インキュベーター)によるパイロットプロジェクトでは、同市の1平方マイル(約2.59平方キロメートル)のゼロエミッション配送区域を監視する。Automotusは、配送効率、安全性、混雑、排出量について、ゾーンの影響を評価するための匿名データを提供し、ゼロエミッション配送区域のドライバー全員がリアルタイムで駐車可能なスペースの空き状況データを利用できるようにする。

2017年末に設立され、Techstarsの卒業生でもあるこのスタートアップは、主にそのエンフォースメント機能の収入分配で収益を上げている。つまり、商用車が特定の区域に駐車する際に自動的に請求される支払いの一部や、駐車違反の罰金の一部を得ているわけだ。分析機能は、都市が政策を設定したり送迎ゾーンを指定する際には役立つかもしれないが、ジャスタス氏のいう「最大の機会」はエンフォースメント機能から提供される。

ロサンゼルスのLoyola Marymount University(ロヨラ・メリーマウント大学)は、Automotusの技術を使って、駐車場の取締りを完全に自動化した。Automotusによると、これによって取締りの効率と収益は500%以上向上し、さらに駐車場の回転率が24%向上、交通量は20%減少したという。

「商用車のオペレーターにとって、エンフォースメントの要素は非常に重要です。なぜなら、路肩の駐車可能なスペースが効率的にうまく管理されていればこそ、彼らの本来の目的である商業での利用が可能になるからです」と、ジャスタス氏は語っている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Automotus交通資金調達

画像クレジット:Automotus

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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