電動スクーターの台湾Gogoroが世界最大規模のインド二輪メーカーHero MotoCorpと提携

Gogoro(ゴゴロ)の交換・再充電可能なバッテリーで動く電動スクーターは現在、同社のホームマーケットである台湾の月間販売の約4分の1を占めている。しかし共同創業者でCEOのHorace Luke(ホレイス・ルーク)氏が頻繁に聞かれる質問の1つが、Gogoroがいつ他国でスクーターを展開するのか、というものだ。

「私はいつも『準備してます、準備してます、準備してます』と言ってきました」とTechCrunchに語った。そしてGogoroは現地時間4月21日、世界最大の二輪車メーカーの1社で、本社を置くインドでマーケットリーダーであるHero MotoCorpとの戦略的提携を発表することでその質問に答えた。

GogoroとHero MotoCorpの提携にはインドにおけるバッテリー交換ネットワークを構築する合弁会社の設立が含まれる。Hero MotoCorpはまた、Gogoroのテクノロジーをベースとする電動二輪車をHero MotoCorpブランドで立ち上げる。これはHero MotoCorpにとって初の電動車両となる(この提携はHero Electricとではない。Hero ElectricはHero MotoCorpの創業者の親戚が運営している別会社だ)。

提携では、Hero MotoCorpの他のマーケットに拡大する前にまずインドにフォーカスする(同社は世界40マーケットで事業を展開している)。初の車両がどのようなものになるのか、立ち上げ都市、価格など詳細は今後発表されるが、ルーク氏はGogoroとMotoCorpが「かなり急速に準備中」だと述べた。

ルーク氏は戦略的提携を、エネルギー効率のい車両を生産したい企業にとってのターンキーソリューションとして、バッテリー交換とスマートモビリティプラットフォームになるというGogoroの目標の認証だと表現した。

「当社は、いつかHeroのような大手企業を誘うことができると期待してテクノロジー、能力、ビジネスモデルをデザインしました」とルーク氏は語った。

最初のGogoroスマートスクーターは2015年に立ち上げられた。以来、提携企業が電動スクーターを自前のブランドで生産できるようヤマハ、PGO、A-Motorなどのメーカーと提携を結んだが、Gogoroの海外展開はかなり遅々としたものだった。例えば韓国での納車すでに廃止となった欧州のシェアリングサービスCoupとの提携などだ。米国での初の製品展開はスクーターではなく、電動自転車Eeyoだった。

GogoroとMotoCorpは1年以上協議してきた。ルーク氏は戦略的提携を同社がこれまでに結んだ契約の中で最も重要なものの1つだとした。

「大きな変化を起こすために、我々は本当に大規模な採用を必要としています。軽量のパーソナルモビリティを発進させるために、台湾は当社にとってテクノロジーを開発して改良し、プラグをつなげて充電するのではなく交換して乗車するテクノロジーが可能であることを世界に示すための最高のパイロットマーケットでした」とルーク氏は話した。

しかしインドは明らかに、地理的、そして人口という点でも台湾よりかなり大きなマーケットだ。インド政府は補助金プログラムで電動車両を推進したいと考えており、人々にとって同国の燃料コストの高さもガソリンから電気へと切り替えるインセンティブとなっている。しかしながら、多くの消費者にとって大きな障害は「航続距離の心配」、つまり1回のフル充電でどのくらい長く走行できるかについての懸念だ。

だからこそGogoroとMotoCorpの交換ステーション合弁会社は重要だ。台湾ではGogoroは37万5000人超のライダーを抱え、バッテリー交換・充電ステーション2000カ所で1日あたり26万5000回のバッテリー交換が行われる。この割合は鍵を握るセールスポイントだ。というのも、ライダーはGogoroのスマホアプリを通じてすばやく近くの交換ステーションを探し出せる。

Gogoroのバッテリー交換ステーションの1つ

Gogoroのバッテリーと充電ステーションはGogoroのネットワーククラウドサービスにつながっていて、バッテリーの状態を監視し、いかに早くバッテリーが充電されるかを管理している。これにより、バッテリーは長持ちする。立ち上げ後の6年間でスマートバッテリーをまだ1つもリタイアさせていない、とルーク氏は話した。Gogoroネットワークのデータはまた、どこにステーションを設置すべきかも示す。インドではGogoroとMotoCorpは人口密度の高いエリアでまず事業を開始し、その需要に基づいてステーションを加える。台湾のネットワークで取ったアプローチに似ている。

インドの後、GogoroとMotoCorpは他のマーケットへの進出も計画しており、Gogoroの海外展開を一層促進する。

「この提携で本当に重要なことは、二輪マーケットにおけるMotoCorpの影響力、そして新興マーケットにおける二輪マーケットの重要性です」とルー氏は話した。

報道機関向けのリリースの中で、MotoCorpの会長兼CEOのPawan Munjal(パーワン・ムンジャル)博士は戦略的提携は研究の延長であり、開発によってすでに電動車両のポートフォリオが作られつつある、と述べた。

「二輪におけるHeroのリーダーシップ、グローバル展開、イノベーションの原動力、そして台湾と世界で過去数年にわたって展開されてきた交換ビジネスモデルにおけるGogoroのリーダーシップを持ち寄り、今日は我々の旅におけるもう1つの大きなマイルストーンです」とムンジャル氏は付け加えた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GogoroHero MotoCorp台湾インドバッテリー電動バイク

画像クレジット:Gogoro

原文へ

(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。