電子たばこ関連疾患の致命的な犯人はビタミンEアセテートか

米当局の公式発表によれば、電子たばこの使用者に見られる謎の疾患の原因はビタミンEアセテートだ。電子たばこ製品に共通して含まれる化学物質で、喫煙後も長期間肺に留まることがわかった。今回の発見は「突破口」だと言われているが、事態の完全な解決にはほど遠い。

悲しいことに、この疾患によりすでに少なくとも39人の命が奪われ、アラスカを除くすべての州から2000人以上の症例が報告されている。現在出ている唯一の勧告は電子たばこを完全に止めることだ。

メディア向け会見で、米疾病予防管理センター(CDC)の調査責任者らはビタミンEアセテートが原因と考えられる理由を説明した。この物質は早い段階から問題がある可能性が指摘されていたが、ようやく最近のテストで本当に疑わしいと結論づけたと説明した。

死亡した患者29人の肺から採取したサンプルが10の州から送られ、全員からビタミンEアセテートが発見された。「この発見は、ビタミンEアセテートが肺の主要な損傷部位に存在する直接的な証拠となる」とCDCの主席副所長のAnne Schuchat(アン・シュチャト)氏は述べた。

シュチャト氏はこの証拠が「突破口」になることに同意したものの、現時点では相関関係を示すにすぎず、因果関係、すなわち疾患に至るメカニズムを究明するにはさらに研究が必要になると述べた。引き続き研究が進められている。

「他の研究機関による過去の研究では、ビタミンEアセテートを吸入すると、正常な肺機能が妨げられる可能性が示唆されていた」と同氏は説明した。

シュチャト氏は続けて「今回の発見は、肺損傷を引き起こす他の化合物や成分の可能性を排除するものではない点に留意することが重要だ。発生の原因は複数あり得る」と述べた。

同様に重要なのは、問題物質の発生源に関する統計だ。調査の早い段階で明らかになったように、この症状に苦しんでいる人々の大半がTHC(大麻に含まれる有害成分)製品を使用しており、路上の売人のような違法ルートから購入している。

シュチャト氏は電話での質問に答えて「ビタミンEアセテートは製品を改変する目的で追加された可能性がある」と述べた。

「違法に利益を上げるため、原材料を薄め、見栄えを良くし、THCや他の有効成分の使用量をおさえる点から加えられた可能性がある」とシュチャト氏は言う。

加熱やエアロゾル化によって有毒になる他の化学物質も電子たばこ製品で見つかっており、製造元が想定していなかった物質も多い。

犯人を割り出しても問題の核心には迫れない。本当の問題は、有害な化学物質が電子たばこ常習者の肺に数カ月または数年にわたってすでに蓄積していることだ。治療は研究のもう片方の柱で、原因物質が1つでもわかれば前進する。

当局は、CDCの以前の勧告はいまなお有効だと言う。CDCは、電子たばこを一切吸わないことを推奨している。電子たばこ製品に許可される成分、製品パッケージに表示すべき警告、その警告の正確性のいずれをとってもきちんと管理されているとは言い難いからだ。

画像クレジット:Rapeepong Puttakumwong / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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