電池切れ直前のスマホでないと使えないチャットアプリDie With Meはデジタルアートだった

【抄訳】
今人類は、過度のスマートフォン中毒だろうか? その疑問はとりあえず置いておき、ここではチャットアプリの形をしたアート、Die With Me(一緒に死んで)をご紹介しよう。この有料アプリは、お互いのスマートフォンの電池残量が5%以下になると、チャットができる。

作者の一人Dries Depoorterによると、このアプリは“アートのプロジェクト”だ。アートの部分を担当したのが彼で、もう一人の作者David SurprenantはWeb開発を担当した。

ペアの二人がどちらもたまたま、テクノロジー中毒者のためのソリューションに出くわすことがありえる。それがたとえば、非常に限られた時間内にしか使えないアプリだ。

特定のアプリにアクセスできる時間帯を制限することは、たとえば子どもに勉強をさせたい親がOSの設定でできる。

でも、なぜ電池がチャットアプリを制限するのか? Die With Meのアイデアは一体どこから出てきたのか?

Depoorterはこう言う: “ぼくはテクノロジーを使うアーチストなんだ。ぼくの作品は、ネット上の監視やソーシャルメディアやプライバシーに関するものが多い。こういうテーマについて何かを語りかけているような、オリジナルなアイデアをひねり出そうと、いつも努力している”。彼が成功作のひとつと言う、もうひとつの作品は、宝くじの自動販売機で、くじに当たるとその人のInstagramやTwitterのアカウントに最大25000の偽造フォロワーができる。

彼によると、よく知らない都市にいるときスマートフォンの電池が切れてホテルへの帰り方が分らず途方に暮れたことが何度もある。“スマートフォンを使ってる人は誰もが、そんな状況になったことがあると思う。ぼくにとってそれは、作品のアイデアのひらめきだったけど”、と彼は言う。

“ぼくはアーチストだから、この感覚はアートになる、と思った。電池が5%以下になったときだけ使えるアプリ、というアートのアイデアをこれまでずっと追ってきた”。

“でも、おもしろいアプリのアイデアがなかった。そして最近、一般公開のチャットルームがおもしろそうだ、と思えてきた”。

なぜそのアイデアがスマートフォンユーザーに受ける、と思えたのか。彼曰く、“そんなアプリはこれまでなかったし、だれもが知ってるけど新しい感覚でもある。電池があと少ししかない、という感覚。自分たちがテクノロジーに依存している、という感覚だ”。

iOSでもAndroidでも0.99ドルと有料ダウンロードなのは、チャットサーバーの費用を捻出するためだ。電池が5%以下になったら、ニックネームでアクセスして、あと数分、という同じ感覚を共有する。お話できる時間はだいたい4分ぐらいだが、残量が5%弱のバッテリーパックを用意しておくと、もっとお話できる。

【中略】

彼のお気に入りの会話の例が、これだ:

– Malk (4%): ほんと、ちょっと悲しいね。朝の目ざましをセットしてあるんだけど、電池が死んだら自力で起きて充電してセットしないといけない。

– Pablo(3%): 忘れるなよ!

– Malk(4%): うん

– Pablo(3%): 明日(あした)仕事をクビになるぞ!

– Malk(4%): 仕事はしてないよ

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

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