面倒な日程調整はチャットボットが代行——「オートーク」運営元が数千万円の資金調達

「人手のかかる機械的な作業をテクノロジーで代替・最適化できないか」、AIやチャットボットといった最新の技術を活用しながらこの課題に取り組むスタートアップが増えている。日程調整をチャットボットで代行する「オートーク」を手がける、RegulusTechnologies(レグルステクノロジーズ)その1社だ。同社は8月31日、500 Startups JapanとKLab Venture Partnersから数千万円規模の資金調達を実施したことを明らかにした。

RegulusTechnologiesが手がけるのは、個人向けのオートークと企業向けの「オートークビズ」。このどちらにも共通するのが「手間のかかる作業をオートメーション化することで、人間の生産性を高める」というテーマだ。

個人向けのオートークは、チャットボット型のパーソナルアシスタントのような位置付けのサービス。GoogleカレンダーやOutlookカレンダーと連携しておくだけでチャットボットがユーザーの予定を把握し、日程調整する。ユーザーがやることはメールやDMで専用URLを相手に共有することだけだ。

企業向けのオートークビズはアルバイト採用時などに、担当者が応募者と日程調整をする際の手間を削減するもの。7月のリリース以降すでに複数の上場企業への導入実績があるという。

「ある企業の方から『アルバイトの応募があっても、面接まで来てくれない人が多くて困っている』という課題を聞いたことがきっかけ。通常は採用担当者が電話やメールで面接日の調整をするが、ここに時間がかかっている。チャットボットで代行できれば、応募後すぐにコミュニケーションがとれると考えた。応募者の熱量が高ければ面接に来てくれる確率もあがるし、チャットボットであれば採用担当者の負担も抑えられるのではないかと」(RegulusTechnologies代表取締役・伊藤 翼氏)

伊藤氏によると、たとえば飲食店では店長がアルバイトの面接を担当することも多く、すぐに連絡をとりたくても本来の業務が忙しく対応に時間がかかってしまうケースもあるそう。大量の応募があれば面接日程の調整だけで膨大な工数が割かれ、担当者の大きな負担になってしまう。

その課題を解決するべく、オートークビズでは担当者はカレンダーの更新と確認をするだけ。日程調整から当日のリマインドまではチャットボットが代行する。

「自動化とはいってもどこかの段階で人手がかかるサービスも多い。オートークビズの場合は面接を実際に行うまで、応募者と担当者が直接やりとりをすることは一切ないというのが特徴」(伊藤氏)

RegulusTechnologiesでは今回調達した資金をもとに人材採用やサービスの改善を進めていく。オートークについては日程調整時にレストランへの送客などを行う機能や、社内外の日程調整に使えるビジネス版の展開についても検討しているという。

写真左から、RegulusTechnologies共同創業者の塚由 恵介氏と伊藤 翼氏

RegulusTechnologiesはエンジニアの伊藤氏と、デザイナーの塚由恵介氏によって2016年に創業されたスタートアップ。伊藤氏は過去に複数のスタートアップに参画し、その際にチャットボットの開発にも携わった経験を持つ人物。塚由氏もFablic在籍時にフリマアプリ「フリル」のデザイナーを務めるなど、様々なプロダクトをデザインしてきた。

「自動化を意識しすぎるとコミュニケーションがドライになるので、キャラクターを用いるなどドライにならないように設計している。今後も気軽に使えて、面倒な作業も自動化されるサービスを目指していく」(伊藤氏)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。