韓国がAI半導体の生産を推進、2030年までに50タイプを開発へ

韓国政府は世界のAI産業において主要プレイヤーになるという野心を明らかにしてきた。ここにはAIの機能性を支える半導体の製造も含まれている。

10月12日の週に韓国の情報通信テクノロジー当局はAIにフォーカスしたシステム半導体50タイプを2030年までに開発する計画を発表した、と聯合ニュースが報じた。韓国政府はこの新たなイノベーションを率いる専門家を何千人と募集することになる。

同国はこのところ、次世代チップ企業をサポートしようといくつかの約束をしてきた。例えば2020年初めに同国は、2029年までのAIチップ商業化と生産に約1兆ウォン(約920億円)を拠出する計画( BusinessKorea記事)を明らかにした。2019年、文在寅大統領はこの業界への注意を喚起しようと「大統領AIイニシアチブ」を発表している

こうした取り組みはAI関連チップに対する需要の高まりを受けてのものだ。マッキンゼーの予測では、半導体需要の約20%を占め、2025年までに670億ドル(約7兆700億円)の売上を生み出す。

韓国は世界最大のメモリチップメーカーであるSamsung(サムスン)とSK hynix(SKハイニックス)が拠点を置いている国だ。儲かる産業である一方で、独立したIT業界専門家Seewan Toong(シーワン・トング)氏は「コアなテクノロジーよりも製造プロセス」により大きく頼っている産業だとみている。

「これまでのものより小型で密、そして効率的なチップを製造することに主眼を置いていて、1つのチップに多くの資金を投じています」と付け加えた。

聯合ニュースによると、韓国政府は半導体を一層スマートなものにし、2030年までに世界のAIチップ市場で20%のシェアを獲得したいと考えている。

Samsungは2019年末にBaiduのAIチップ大量生産パートナー(Samsungリリース)となり、次世代チップの生産を倍増させた。7月にSamsungはチップとAIに取り組むスタッフを新たに1000人雇用することを発表した(The Korea Herald記事)。SK hynixは中国企業Horizon Roboticsに出資して手を組んだ。Horizon RoboticsはAIチップデザインを手掛けていて、直近のバリュエーションは30億ドル(約3200億円)だ(未訳記事)。

基礎研究よりAI応用に長らく注力してきた中国は、米国による基幹テクノロジー関係での制裁に苦慮する中で、韓国と同じように自国の半導体企業に金を投じている。問題は、国の支援を受けたいくつのスタートアップがNvidia(エヌビディア)やQualcomm(クアルコム)のような世界的大企業との競争で生き残るかだ。

「韓国の動きは本当に賢いものです」とKneron(クネロン)のCEO、Albert Liu(アルバート・リュー)氏は話した。同社はAlibaba(アリババ)やHorizons Ventures(ホライゾン・ベンチャーズ)、Qualcommの支援を受けた資金潤沢な最先端AIスタートアップだ。

「Tesla(テスラ)からトースターに至るまで、あらゆるものが今後数年のうちに最先端AIチップを必要とします。マーケットそのものが巨大な機会であるため、新興プレイヤーはかなり大きなチャンスを手にしています。5G、AI 、IoTの時代が到来し、これらは安全でプライベートな方法で我々の暮らしを向上させるテクノロジーエコシステムを可能にします」と同氏は述べた。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:韓国半導体

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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