音声素材のクラウドソーシングVoip!が本日リリース

ここ数年、スマートフォンの普及によりソーシャルゲームはよりリッチな機能を必要とされている。昔ならゲーム機とテレビを接続し、家の中でしかプレイできなかったゲームも今ではスマートフォンひとつあれば、どこに居ても楽しめるようになった。最近では、実に多くのソーシャルゲームがリリースされ、ストーリー・イラストはクオリティが高く、すでに差別化が困難になってきている。

そこで、ゲーム内の音声に目をつけ、音声での差別化を支援するために音声素材のクラウドソーシング「Voip!」を本日Groodが正式にリリースした。

Voip!は音声素材に特化したクラウドソーシングで、声優事務所や専門学校に所属する声優、フリーランスなどと提携し、企業のニーズにマッチした音声を提供する。

Voip!では発注者が欲しいフレーズとキャラクターのイメージを伝え、オーディションを開催する。声優はそのフレーズを自分で録音し、提出する。そして、応募された音声をチェックし、発注者が声優を選び実際に契約する。契約をしたら、音声をオンラインで納品するか実際にスタジオで収録を行うそうだ(案件によって変わる)。オーディションを開催するとことまでは無料で行えるため、イメージに合う声優が居なければ使用料を払う必要はない。

声優は自分で音声を収録しなければいけないため、設備を揃えるのは大変ではないかと感じたのだが、Voip!を運営するGrood代表取締役社長の原口悠哉氏によると「事務所や学校に所属している声優はそこの設備を使えるし、そうでない場合もVoip!の声優の多くは自宅にある程度に設備を持っています。」という。「ニコニコ生放送」で放送をしていたり、カヤックが運営する音声専門のコミュニティ「koebu」を使っている声優が多いため、すでに設備を揃えている方が多いそうだ。

そもそもVoip!を始めた理由はGroodが運営する「全国告白白書」を作成している際に声優の悩みを聞いたことがきっかけだという。このアプリでは色々な告白フレーズを聞けるのだが、その中で声優にも協力してもらった。その時に、声優業界は実力があっても年功序列で若い人には、あまり仕事がなく、声優業のみで生活費を稼ぐことは困難だということを知ったそうだ。

そこで、Voip!ではオーディションの段階では発注者に声優の名前は伝えずに音声だけを提供し、契約が結ばれた後に名前も公開するなど実力勝負ができるようにしている。

また、声優業は有名声優となると時給数十万も費用がかかり、ひとつのソーシャルゲームにそこまでのコストをかけれない企業多いこともサービスを始めたきっかけだ。声優は1フレーズごとに報酬を支払うのではなく、収録時間ごとに1時間数十万といった形で費用が発生するため、詳細な打ち合わせをすると、そのコストは莫大なものになる。

この状況だと、大企業でないとゲーム内に音声を入れることが困難になってしまう。なので、クラウドソーシングで安価に音声を提供したいと思ったそうだ。

Voip!はすでにクローズドでいくつかの案件を実施しており、声優の登録者数は450名を超えている。実際に私も納品された音声を聞いてみたが、普段テレビやゲーム内で聞いている声と比べても違和感は無かった。

今後の展開としては、まずソーシャルゲーム、恋愛・乙女ゲームの音声を中心に活動し、将来的にはゲーム以外でもナビゲーションの音声や海外サービスのローカライズなどにも対応していきたいとのこと。

なお、Voip!を運営するGroodはIncubate Fundから300万円のシード資金を調達している。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。