飛行機版Uberの「BlackBird」、“空の移動の民主化”で車の時代に終止符を打てるか

旅行者を飛行機やパイロットとマッチングさせるスタートアップBlackBird(ブラックバード)の誕生の背景にあるのは、フライト関連の経験ではなく“車酔い”だ。

BlackBirdのCEOで共同創業者のRudd Davisは、自身がパイロットの免許の取得を目指していたころ、車だと息子が酷く乗り物酔いをするので、インストラクターに「タホーまでフライトをお願いできないか」と尋ねる。結果、デイビスは思ったよりもリーズナブルな値段で優れた移動ができることに気づく。

同社は2016年に創業。Davisはこれまでの2年間、ビジネスモデルを磨き、パイロットやメンバーを増やすことに専念してきた。だが最近ではNew Enterprise Associates(NEA)から資金を調達。BlackBirdがその翼を広げる時がきたようだ。

BlackBirdは3月12日、NEAがリードするシリーズAラウンドで1000万ドルを調達したと発表。元Airbnbで現在はNEAでパートナーを務めるJonathan GoldenはBlackBirdの取締役会のメンバーとなった。取締役会にはPinterestのCOOでSquareとGoogle出身のFrancoise Brougher、そして元AirbnbのAndrew Swainも参加している。

BlackBirdにはeBayを経てLyftでサプライのバイス・プレジデントを務めたBrian Hsuも参画。Davisは市場開拓の経験があるHsuにBlackBirdの知名度の向上や会員獲得を委ねている。

同社は調達した資金をもとに、ユーザー、パイロット、従業員の獲得を目指す。

BlackBirdには現在、700名のパイロットが在籍。カリフォルニアから、もしくはカリフォルニア内で50から500マイルの距離を旅客を乗せ飛行する。Davisいわく、同社は自主的に対象地域を限定的にしているそうだ。

「我々は“密度”を重視し、他の地域に進出する前にネットワークを拡大し最適化を図ることが重要と考えている」(Davis)

BlackBirdには苦戦している点もある。パイロットや利用者数の状況により、値段が80ドルから900ドルあたりで変動してしまうからだ。なので、BlackBirdは「誰のための何のためのプラットフォームなのか」といったことを強く意識しなければならない。

NEAに加入する前にBlackBirdに対するシード投資を行なったGoldenは「これまでにも多くの起業家がこの領域に注目してきたが、成果を出せずにいた」と話す。同氏にとってBlackBirdの魅力は、その目的が「豪華なフライト」を提供することではなく「自動車での移動をフライトに置き換える」ことにあるから。

「ノンコマーシャルなフライトと聞くと、人はよく億万長者が乗るような豪華な椅子のあるデカイ飛行機を想像する。だが、多くの小さい飛行機も存在することを知って欲しい。これまではあまり利用できる状態になかっただけなんだ」(Davis)

【原文】

(TechCrunch US版の記事を翻訳、編集しました)

投稿者:

TechCrunch Japan

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