高価なコーディングキャンプが徐々に消えていく中で、Codecademyは手頃な価格のサービスとモバイルアプリで進撃

2013年から昨年の間に、ブートキャンプスクールの数は、米国だけでも3倍以上になり90以上を数えるようになった(業界を調査団体Course Reportの報告による)。しかしその一方、The Iron YardやDev Bootcampを含むいくつかは破綻した、コーディングスキルを学ぶために高額の授業料を払いたがる、十分な数の新入生を見つけることができなかったためだ(昨年の14週間のプログラムの平均費用は1万1400ドルだった)。

それと同時に、大規模オープンオンラインコース(MOOC)の場合、非常に高い割合の学生がコースに留まらないことが明らかになってきた

ニューヨークを拠点とするCodecademyは、無料のコーディングコースから始め、コツコツと努力を継続し、業界に吹く逆風にもかかわらず、成長を続けている。実際、同社は現在85人を雇用している。これは2016年に共同創業者でCEOのZach Simsにインタビューをしたときの45人から増えている。収入も前年比65%増だ。

2011年にコロンビア大学を中退して同社を設立したSimsにとって、その道のりは決して平坦なものではなかった。「たくさんの浮き沈みがありました」彼は会社が十分な収益を得るようになるまでに何年も苦労したことを説明した。この状況は数年前に2つのプレミアムプロダクトを投入するまで続いたが、この両製品は意図的に購入しやすいものとされていた。

これらのうちの1つがCodecademy Proである。ユーザーたちが最大10分野(機械学習やデータ分析なども含まれる)までの、より深い知識を得る(そしてCodecademyからの認定証を受け取る)だけではなく、コーディングの基礎を学ぶことを助けることが狙いである。コストは月額20ドルだが、Proユーザーは雇用主からしばしば年5000ドルから1万ドルの昇給を引き出すことができる、とSimsは強調する。彼はこのコースは「フルタイムジョブに転職しようとする人たちのためのものではなく、現在働いている職場で役立つレベルアップしたスキルを学ぶ人たちのためのものです」と述べている。

2つめの製品はCodecademy Pro Intensiveである。これはウェブサイト構築、プログラミング、あるいはデータサイエンスを学ぶための6から10週間(期間はコースによる)の集中学習者のためのコースである。生徒は構造化された詳細なシラバスに従って学習する、それらのシラバスは学習体験を重んじる形に構成された、いくつかの集中ユニットに分割されている。それぞれの学習体験は一斉学習であると同時に共同作業でもある。すなわち、ユーザーたちはモデレートされたSlackグループに参加して、同じ教材を同時に学習する仲間たちとチャットを行うことが可能なのだ。彼らはまた、Codecademyに協力する200人のメンターグループに無制限にアクセスすることができる。そのうちの何人かは、Codecademy自身の「卒業生」だ。

Simsは、Codecademyのコースを受講した4500万人のうち、何%が実際に同社に支払いを行ったのかを開示することは拒否したが、以下のように語った「市場の大きな流れは私たちのやり方に向かっています。人びとは相変わらず仕事を見つける必要がありますし、テクノロジーはそれを実現するための重要なスキルであり続けているのです」。実際、学校におけるコンピュータサイエンスの指導の拡大を推進する、非営利団体のCode.orgによれば、まだ54万以上のコンピューティングのポストが埋められていない。また、昨年コンピュータサイエンス専攻で卒業した学生の数は、5万人未満だった。

Simsはまた、Codecademyが提供する製品が「世界のあらゆる場所で無料あるいは低コスト」であることを保証することの重要性を強調する。そのために、同社は本日(米国時間10月4日)その最新プロダクトの展開を始めた。外出先でも学習できるようにするモバイルアプリである。ただしこれは7日間の無料試用アクセスのあと、有料顧客だけが使えるものとなる(試用するためにクレジットカードは必要ない)。

このアイデアについてSimsはこう語る:「多くの人々が携帯電話を使用しています、なので私たちは、いつでもどこでも学習できるようにする必要があるのです。もし地下鉄でも勉強することができれば、2倍の量をこなすことができます。そして途中で終わったところから、デスクトップで続きを行うことができるのです」。

アプリがどれほど促進効果を発揮するかは、これから見なければならないが、高価なオフラインプログラムに対して受講する余裕が無かったり、興味を持っていない人たちに対してアプローチするCodecademyのやりかたは、競合たちの一部が遠い彼方へ消えて行っていることを思えば、確かに適切なもののように思える。

「私たちが最初始めたときには」とSimsは語る「スキルのギャップの存在こそが、こうしたサービスの必要性を物語っていました。技術的な仕事についての多くの技術レポートがあり、それを埋める人たちがあまりいなかったのです。当時の大学はそうした知識のギャップを埋めることができなかったので、多くのブートキャンプやその他のオプションが、その真空地帯を埋めるために現れました。さらに、学生の借金問題は今でも問題であり、このことによって特に経済的に恵まれない学生たちは、就労するための十分な準備が行えなかったのです」。

だが、それ以来変化したことはあまり多くない、とSimsは語る。巷に溢れる誇大広告は脇に置くとしても、人びとは変わらず急速な技術的変化に適応する手段を必要としているのだ。そして大学のコストはかつてないほどに上昇している ―― 授業料は過去20年の間に200%も上昇しているのだ ―― 人びとは特に手頃な代替手段を必要としているのである。

今のようなサービスを提供していく上で、現在の彼らはさらなる資金を必要としていない。資金調達について尋ねてみたところ ―― CodecademyはUnion Square VenturesやNaspersを含む投資家たちからこれまでに4250万ドルを調達している ―― Simsは現在はVCとは話をしていないと言った。「私たちはかなり良い資本効率を達成しています。私たちはまだ2016年の最後のラウンドからの資金の大部分を、銀行に持っています。そしてかなり持続的に成長を続けてくることができました」。

「もし成長を加速させる機会が現れたときには」と彼は付け加えた「資金調達を行うことでしょう」。

従業員たちのスキルを磨き上げるために、企業たちとより緊密に連携する日が来るのかと尋ねたところ、Simsはそれは大いにあり得ると答えた。しかし「これまでのところは」と彼は言う。「私たちは個人レベルの素晴らしい成長を見てきました。それは結局、どれくらい多くのことに集中できるのかにかかっています」。

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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