高価な株式でも0.000001株から取引できるRobinhoodの1株未満取引

Amazon株は1株1700ドル(約19万円)以上するため、資金力がない投資家は取引から締め出されている。株の取引を身近にするために、Robinhood(ロビンフッド)は「1株未満」取引の取り扱いを始めた。株数で注文する場合、0.000001株から注文可能で、金額は1セント単位で四捨五入される(ただし投資金額は1ドルから)。金額で注文する場合はやはり1ドルから。手数料はかからない。

同社は100万分の1単位による購入を可能にして、Square Cashが最近発表した1ドルから投資できる1株未満取引の魅力を低下させた。Robinhoodのユーザーは、サインアップ後、1株未満取引への先行申し込みが可能だ。「当社のコアバリューの1つは、『参加は力』だ」とRobinhoodの共同CEOであるVlad Tenev(ブラッド・テネブ)氏は述べた。「当社が行うことはすべてコアバリューに根ざしている。1株未満取引は、さらに多くの人々に投資への道を開く可能性があると信じている」。

1株未満取引があれば、誰も株式取引を諦める必要はない。Robinhoodは、これまでに調達した9億1000万ドル(約1000億円)の資金も利用して、現在1000万人のユーザー数をさらに増やせる。Charles SchwabやE*Tradeのような従来の証券会社がRobinhoodの手数料無料の株式取引を真似し始めた今、同社は包括的な金融ツールで先を行く必要がある。ただし今年は、Schwab、Square、Stash、SoFiがすべて1株未満取引を始めたため、この点では追いつかれつつある。Bettermentは2010年から1株未満取引を提供している。

Robinhoodは、資金力に乏しいユーザーに向け多様な新機能を提供している。10月に発表した現金管理機能は、待機リストに入った最初の80万人のユーザーに提供されている。同機能は、Robinhoodに預けた金額に年利1.8%の利息を付与するだけでなく、支払いや幅広いATMネットワークで引き出しができるMastercardデビットカードを提供する。これは1年前に失敗した年利3%のRobinhood Checkingの縮小版焼き直しだ。当初のバージョンは保険が確保できず廃止された。今回のバージョンは付保されている。

さらに、Robinhoodは来年初めに、要望が多い2つの機能をリリースする。「配当再投資プラン」は、ユーザーが受け取る配当を株式やETFに自動的に再投資する機能だ。「継続投資」のほうは、ユーザーが毎日、毎週、隔週、毎月などの一定間隔で株式に投資できる。上記に加えて可能になった仮想通貨取引により、Robinhoodは競合他社によるコピーが難しい総合金融サービスに進化しつつある。

Robinhoodの1株未満取引の仕組み

「投資したいのであれば、手元資金の量は問題にならない。1株未満取引で、Amazon、Apple、Disney、Berkshire Hathawayなどの数千銘柄の株式やファンドへの投資機会を提供する」とRobinhoodのプロダクトマネージャーであるAbhishek Fatehpuria(アビシェク・ファテピュリア)氏は述べた。

ユーザーは、市場が開いている時間帯に、1ドル以上なら0.000001株という小さい単位でリアルタイムで1株未満取引の注文を出せる。時価総額が2500万ドル(約27億円)を超える1株当たり1ドル以上の株式が対象となり、4000種類の株式とETFが手数料なくリアルタイムで取引できる。

「参加は力だと信じている。当初から、誰もが金融システムに参加できるよう、取引手数料や口座維持最低残高などの障壁を打破することに力を注いできた」とファテピュリア氏は言う。「当社には独自のユーザー基盤がある。ユーザーの半分は当社で初めて投資する。ユーザーの年齢の中央値は30歳だ。当社は、新しい世代に株式市場へのアクセスを提供する機会を手にしたのだ」。

Robinhoodは、他のスタートアップや金融大手が追いつく前にフリーミアム投資ツール市場を制覇するつもりだ。来年の英国での立ち上げの待機リストも開設した。同社にとって初の海外市場となる。だが先月、Alpacaが誰でも株式仲介アプリを作成できるAPIで600万ドル(約7億円)を調達し、Atom FinanceはRobinhoodのアプリ内機能と競合する無料の投資調査ツールで1250万ドル(約14億円)を調達した。Robinhoodは、ユーザーが限度額を超えて借入をして取引する事態を招くという恥ずかしい失敗もしている。

「素早く動いて何でも壊してしまえ」という考え方は、金融に適用されると新たな危険を引き起こす。投資の機会を多くの人に提供するという目標を達成するために多くのプロダクトに手を広げるなら、Robinhoodは急ぎたいという衝動を抑えなければならない。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。