高密度な3DグラフィクスやゲームまですべてをWebがリプレースする時代に向けて, OtoyとMozillaが強力なストリーミング技術を発表

近い将来、スマートフォンとタブレットとラップトップの違いは画面のサイズだけ、となる。トップクラスのゲーマーたちは3D要素びっしりのゲームをスマートフォンで十分楽しめる。Michael Bay監督は”Transformers 4″のCGIを自分のiPadで制作する。という未来を目指してロサンゼルスの Otoyは、Mozillaと共同で、どのアプリケーションでもすべての種類のデバイスにWebからストリームできる方法を発明した。どのデバイスもアプリケーションのI/Oインタフェイスは完全にWebブラウザだけになるので、この方法が主流になればプラットホーム別のアプリストアは要らなくなり、また、条件に応じてコンピュータをアップグレードする必要もなくなる。下のデモビデオを見てみよう。

Otoyは前にも、3D要素がぎっしり詰まったグラフィクスを、それがレンダリングできないはずの古い/安価なデバイスで動かして世間を驚かせたことがある。その2009年のときのOtoyのデモ以来今日まで、Onliveのストリーミングビデオによるゲームをはじめとして、さまざまなクラウドサービス企業が繁茂してきた。しかしこれまでは一貫して、ビデオゲームはゲーム専用機、モバイルアプリはそれぞれのアプリストア、そのほかのソフトウェアはそれぞれのオペレーティングシステム、という棲み分けが定着していた。だからすべてのクールなアプリケーションを楽しもうと思ったら、各種ゲーム機、iPhone、Windows PC、Xbox、などなどをすべて手元に揃えなければならない。

しかし同時にまた、今ではどのデバイスにもWebブラウザがある。そしてOtoyは、Webブラウザのあるデバイスならどのデバイスでも自分のソフトウェアが動くようにしたいので、すべてのソフトウェアをJavaScriptで書く。だから、まもなく、“このソフトは(ゲームは)XXXXXでしか動かない(遊べない)”という事態が終焉を迎える。そして、ソフトウェアが、ひいてはユーザが、特定のデバイスに縛られない自由な世界が訪れる。

これまでは、高度なゲームやグラフィクスを動かすためにはラップトップの高級機(3000ドル以上)を必要としたが、それもなくなる。Otoyがサンフランシスコの本社でMozillaやAutodeskと共催した発表イベントでは、iPhoneの上であの凝ったグラフィクスのFPS(一人称シューティングゲーム)Unrealが、なめらかに動いていた。つまり単純に言うと、Otoyはスーパーコンピュータのやることを携帯やタブレットの上に持ち込むのだ。

Otoyの投資家でセレブたちのためのタレントエージェントを経営しているAri Emanuelは、この技術が自分のビジネスにとって大きな意味を持つ、と言う。誰もが映画作家になれるし、短期間低コストで映画を作れるようになる、というのだ。今の本格的な商業映画では、ワンシーンの撮影またはCGI制作に一日を要している。Otoy的な技術を使うと、グローバルに分散したチームがリアルタイムで協働できる(ビーチでタブレットを抱えて仕事に参加するやつもいる)。お互いの時間調整が難しくて、簡単な修正にも丸一日かかる、といった事態はなくなる。

では、3000ドルのラップトップと商用アプリケーションを買わずに済むためにOtoyにはいくら払うのか? 今同社のサービスはもっぱらプロのアーチスト向けだが、その利用料金は概算で300ドルという。

それにまた、OtoyとMozillaが共同開発した新しい高機能なストリーミング技術により、今モバイルゲームや映画等のストリーミングサービス(Netflixのインターネット帯域占有率は最大で32%といわれる)によって生じているインターネットの混雑と渋滞が、緩和されることも期待される。同技術では、同じデータ量に対して従来の3/4の帯域しか使わない。

Otoyのようなクラウドレンダリングサービスがわれわれのコンピューティングニーズの大半をリプレースするためにはしかし、すべての末端ユーザが定常的安定的に、十分に広い帯域を享受できることが必要だ。デモを見たかぎりでは4Gで十分にビデオゲームをストリームできるようだが、ユーザ人口の多い都市、航空機の中、そしてインフラの貧しい農村部などではまだまだだ。クラウドがすべてをまかなうためにはおそらく、合衆国全体としての、インターネットインフラのレベルアップが必要だろう。

というわけでOtoy(+Mozilla)のような、ハイパワーインターネット技術は、数年後というより、十数年後以降が楽しみ、と言うべきか。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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