(米国の)携帯キャリアが邪悪であることを忘れてはならない

本日の「米国携帯キャリアはアホ」シリーズは、 携帯キャリアとCTIA(セルラー通信工業会)が貴重な収入源を守るために、どうやってスマートフォン盗難防止機能を妨害しているかについてお送りする。

2012年、米国消費者160万人以上がスマートフォンを盗まれた。米国における窃盗の3件に1件がモバイル端末がらみだ。CBS This Morningのインタビューに答えたサンフランシスコ司法長官は、同市の盗難の50%にスマートフォンが含まれるていと言った。これは異常事態であり、携帯キャリアは解決方法を見過ごしている。

ニューヨークのEric Schneiderman司法長官によると、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、およびフィラデルフィアの各当局は、携帯電話業界に解決案の提示を求めた。Samsungは今年、自社端末にこれを実装したが、米国の5大携帯キャリアはこれを顧客に提供しない。

CBSが入手したメールによると、AT&T、Verizon、T-Mobile、Sprint、およびU.S. Cellularの全5社は、自社で販売するSamsung端末にその機能を内蔵しないことを決定した。一方、携帯電話会社の業界団体であるCTIAは、FCCおよび一部の警察署と協力して、盗難携帯電話機のオンラインデータベース作成に協力した。

理論的には、このリスト ― 各キャリアが独自に作成、管理される ― によって盗まれたスマートフォンが再アクティベートされるのを防ぐことができる。しかし、データ盗難には無効であり、海外に持ち宗された電話にはほぼ使いものにならない。必要なのはキルスイッチであり、スマートフォン所有者の手に置かれなければならない。

今年、SamsungとAppleの両社は自社端末にキルスイッチを実装した。AppleはSamsungより幸運だった。Samsungスマートフォンの大半は米国内で販売され、Androidが走っているため、携帯キャリアは端末を消費者に売る前にソフトウェアを変更できる。米国キャリアは単にキルスイッチを外した。

Appleの解は完全ではないが、大きな一歩だ。Find iPhoneアプリを使えば、ユーザーはiPhoneの場所を見つけてデータを消去できる。最新のiOS 7では、端末を再アクティベートするためには、元の持ち主の認証情報を入力しなければならない ― 完全リセットした後であっても。Googleも同様の機能をAndroidに導入しており、盗難電話の位置の特定やデータ消去が可能だ。しかし、リモートで消去された後、新しいアカウントで再アクティベートできてしまう。

なぜ携帯キャリアが、このよく考えられたセキュリティー機能を顧客に提供することを拒んでいるのか、正確なところはわからないが、利益を守るためという説が有力だ。各キャリアはスマートフォン盗難のための保険を提供している。では、自分の携帯電話が盗まれた時、人は何をするべきだろうか。拘束されずに1995年のように歩き回る? ではなく、新しい端末を正規の値段で買うか、新規契約して安く端末を買うか、保険の免責金額を払うかだ。

CTIAの全国データベースがスマートフォン盗難を防ぐかどうか、結論を出すにはまだ早い。しかし論理はそれを不可能だと言っている。盗人たちは、CTIAデータベースもそれを作った携帯キャリアも手の届かない海外に売るだけだ。外国に売るのは難しいとお思いだろうか? 違法なワークフローの中のCraigslistをeBayに変えるだけ ― 盗人たちは再び準備OKだ。

携帯電話業界全体として、端末所有者にもっと力を与える必要がある。持ち主に内蔵キルスイットを与えること。盗まれた電話機をアクティベートしようとすると、端末の中核部分に組み込まれたソフトウェアが、携帯電話をレンガに変えてしまう。

自動車業界は、一時ラジオの盗難に悩まされた。この問題は、自動車メーカーが強固な姿勢を取り、盗まれたラジオが元の車の外では使えなくすることによって解決した。しかし、携帯電話業界がそうした強硬路線を取ることを期待してはいけない。窓ガラスを割られてラジオのなくなった車のオーナーは、高価な新車を買いに行ったりしない。新しいガラスとラジオを買うだけだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)