学校が”教える/教わる場”から”創りながら学ぶ場”に変わるとどうなるか–MIT出身者たちによるNuVu Studio

マサチューセッツ州ケンブリッジの中高生たちが、実験的な教育事業の一環として、3DプリンタとArduinoとグループのコラボレーションによって現実世界の問題を解決する、という課題に取り組んでいる。

この教育実験が行われているNuVu Studioは、 Saeed AridaとDavid WangとSaba Gholeの三名が、学位論文にしたいと考えている理論を実証するために作った、新しい形の学校的施設だ。その理論は、これまで修士課程レベルとされていた設計や生産技術のプロジェクトを13歳ぐらいの子どもでもできる、と主張している。

実際にいくつかのプロジェクトを見てみると(医療器具、減量を助けるゲーム、リモートコントロールできるモジュール構造のテレプレゼンスロボット、など)、その理論は正しいと思える。

この事業はエンジニアリングやデザイン〜設計に関する既存の原理原則もいくつか取り入れている。しかしAridaによると、その授業を単なる工学と数学の教科としてでなく、クリエイティブな学習過程として生徒候補たちにプレゼンしたところ、彼ら全員がエキサイトしたそうだ。

“エンジニアリングの側面は、あまり強調しなかった。生徒たちには、クリエイティブなやりかたをきみたちに教えたい、そして、きみたちがプロジェクトを自分でクリエイトしたい、と思って取り組んだときに、そのための道具としてたくさんのエンジニアリングが必要になるんだ、と教えた”、とAridaは言う。

[生徒たちは錯視を作り出すデバイスを作ってモアレ効果を試している。]

この事業は子どもたちに3Dプリントや、デザインとエンジニアリングの原則を教えることだけが目的ではないが、しかし結果的に、Arduinoはどのプロジェクトでも使われている。

“今とは違う学校、未来の学校を、実際に目に見える形にしたいんだ”、と語るAridaのMITの学位論文は、K-12におけるクリエイティブな問題解決とコラボレーションがテーマだった。

NuVuの生徒たちは3か月から9か月ぐらいこの事業に参加して、いくつかのクリエイティブなプロジェクトでコラボレーションする。生徒のSam DiatzmanとChristopher Smithがボストンマラソンのテロ事件のあとにプロデュースしたセキュリティ関連の映画制作では、脚本の書き方や映画製作者の仕事についても学んだ。

この事業が地元の私立校でスタートした4年前には、ほんの数名の子どもたちが参加しただけだった。今では子どもたちのグループも複数になり、私立公立が入り乱れている。今年のクラスでは28グループ、そのうち20が地元の公立校(やチャータースクール)の生徒たちだ。ここでは、工学==男子という先入観は誰にもなく、男女ほぼ同数だ。

Aridaによると、このクラスを経験した子の多くがハーバードやMITやスタンフォードに進学している。ただしみんな理工系に進んだのかというと、そうではない。“NuVuでやったようなことを、大学では修士課程にならないとできないことを知って、みんなびっくりしていた。大学の課程は、彼らを欲求不満にするだろう”。

AridaとNuVuの協同ファウンダたちは、学校を変えたい、もっと多くの子が、NuVuのようなクリエイティブラーニングで勉強していけるようにしたい、と願っている。全国展開も考えてはいるが、それには時間がかかりそうだ。これまで10校が、NuVu Studioのプロジェクトを採用している。

要件は、子どもたちがこの事業に前向きの関心を持つことだけで、そのほかの要件はない。学習に必要なものは、本人の意志だけなのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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