14.5億円の大型調達を実施したフリマアプリ運営のメルカリ、米国進出へ

スタートアップから大手まで、各社が参入して競争に拍車がかかるフリマアプリだが、ウノウ創業者である山田進太郎氏が立ち上げたメルカリが、大型の調達を実施。米国でのサービス展開を進める。

メルカリは3月31日、グローバル・ブレイン、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(ITV)、GMOベンチャーパートナーズ(GMO-VP)などを引受先とした第三者割当増資を実施し、14億5000万円を調達したことを発表した。今回の発表に合わせて、2013年末より参画していた元ミクシィ取締役の小泉文明氏が取締役に、GCPの高宮慎一氏が社外取締役に就任する。

また、米国に子会社を設立。取締役でRock Youの創業者である石塚亮氏が赴任する。開発は当面国内に集中し、米国ではマーケティングやカスタマーサポートなどの体制を整えるとしており、早期のアプリリリースを目指す。「法律面も含めて複数の弁護士に話をしているところ。米国では夏までにアプリを出したい。UberやAirBnBなども広義でのCtoCサービス。どちらかと言うと(法律面で)きれいにするのに時間かかっているが、市場としては日本の4〜5倍はあるはず。もちろんそんなに簡単ではないが、米国の次はヨーロッパ、その先にはアジアやクロスボーダーな取引にも挑戦したい」(メルカリ代表取締役の山田進太郎氏)。人材についても、石塚氏のこれまでの人脈などを通じて「アンオフィシャルなものも含めて数十人とは会っている。普通の日本の会社に比べるとAクラス、Sクラスの人々にアクセスできている」(山田氏)という。

すでに国内最大規模に——競合の参入には「歓迎」

メルカリは、2013年2月の設立(当時の社名はコウゾウ)。7月にフリマアプリ「メルカリ」を公開した。これはスマートフォンのカメラで撮影したアイテムをそのまま出品できるアプリだ。商品を販売した金額は、メルカリ内での商品を購入するポイントとしても利用できる。現在アプリのダウンロード数はiOS、Android合わせて150万件以上。地方の20代女性の利用を中心に、1日の出品数は数万件、流通総額は月間で数億円となっている。フリマアプリの事業者は、各社とも流通総額などを公開しておらず、メルカリも“数億円”という表現にとどまっている。だが、競合と比較しても「推定ではあるが、国内最大級だと考えている」と山田氏は語る。僕が業界関係者らに聞いたところでも、「大きなサービスでも月間の流通総額は数億円前半ではないか」という回答が多い。ちなみにヤフーの「Yahoo! オークション」は月間流通総額500億〜600億円と言われているので、まだまだのびしろは大きいだろう。

最近はLINEも「LINE MALL」でフリマアプリに参入している。これについて山田氏は「若干怖いが、僕らとしては市場が盛り上がればいい。プッシュ(通知)をフックにユーザーを集める企画(チャンスプライス)なども、LINEのDAUを考えれば理にかなっており、よくできている」と語る。市場全体については、「消費増税も追い風。いいものを安く買いたい、使えるものを誰かに渡したいとは思うが、これまでのオークションでは敷居が高い。そのハードルを下げていければもっと使ってもらえるのではないか」(メルカリ取締役の小泉文明氏)と期待を寄せる。

なおメルカリでは、出品、販売、落札の手数料を「当面無料」としており、落札代金の振り込みのみ有料としているが、今後もこの施策を続けていく予定だという。「今は市場拡大の時、短期的に収益を求めるわけではない。とはいえ社員も30人ほどいる。今回の調達は、厚めに資本を持って市場を開拓していくための施策だ。最終的にはどこかのタイミングでで有料化するつもりだ」(山田氏)

メルカリ代表取締役の山田進太郎氏(右)と取締役の小泉文明氏(左)


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TechCrunch Japan

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