2万人登録のデイワークアプリ「ワクラク」運営が1億調達、資格が必要な業種での活用も視野に

Wakrak代表取締役 谷口怜央氏

デイワークアプリ「ワクラク」運営のWakrakは11月22日、オプトベンチャーズ、ANRI、ドリームインキュベータを引受先とする第三者割当増資による総額1億円の実施を発表した。調達した資金をもとに同社は導入企業・利用者拡大に向け開発・体制を強化するとともに、現在サービスの中心は東京となっているが地方への展開も実施していく予定だという。

ワクラクは「1日単位のワーク探し」「面接なしで雇用契約締結」「給与振込申請」が行えるデイワークサービスだ。ユーザーは「アプリのダウンロード」「プロフィールの入力」「契約書の発行」の3ステップで仕事が決定できる。要するに、履歴書や面接を受ける必要がない。登録者は学生やフリーター、主婦がメインで、登録者数は2万人を超える。Wakrakのミッションは“いつでも、どこでも、なんでも、好きなことができる世界を作る”こと。そんな風に自由で楽しく働けるワークスタイルを実現できるようなサービスとなっている。給与も最短で翌日振込なのも魅力的だ。

活用している企業は飲食店、ホテル、物流企業、EC企業、IT企業など。Wakrakいわく導入の目的には「即時性」と「コスト削減」などがあげられるという。初期費用や月額費用が一切かからず、Wakrakはユーザーの給与の10%分を求人企業から徴収するのみ。手数料の平均は600円なのでコストカットにつながる。また、ユーザーの大半はリピーターとなり2回3回と同じ企業でワークを行うことから“スポットでの雇用は合わない”という企業も利用しているそうだ。

競合として、人手が足りない飲食店などのお店と暇な時間を有効活用したい人たちをマッチングするサービス「タイミー」などもあるが、月に数千件のワークが行われているというワクラクは今後どのような方向を目指しているのだろうか。Wakrak代表取締役 谷口怜央氏は「次のフェーズはデータを貯めていく段階だ」と話した。

Wakrakは2017年6月に設立された。当時の企業名はSpacelookでサービス名は「Spacework」だった。正式ローンチした2017年9月以降、サービスへの「ニーズがあるかどうかは確信が持てた」と谷口氏は話す。需要が明らかになり、これからは「誰がどこで働いたことがあって、何が得意で不得意だったかなどのデータを作らなければならない」という。これまでのワクラクは簡易なものだったが、データを取る仕組みを構築するために「裏側をしっかりと作り込んだ」そうだ。

「一人が3、4回働いたデータには価値がないと思っている。これが10、20回となってきたときにやっと価値があるものとなる。そのためには仕事の数が必要なので、事業者・ユーザーを増やすことを徹底して行なっている」(谷口氏)

それを経て谷口氏が目指しているのが、資格やスキルが必要となる業界でのワクラクの活用だ。サービス業以外の専門性が必要となる仕事でもワクラクを通して求職できることを目標としている。

「A社で自分が築き上げた価値や役職は、B社に移った瞬間にまた1から積み上げなければならない。だが、アプリやサービスの中に自分の評価が溜まっていくならば、どこで働こうが関係がない。ブルーカラーだけではなくてホワイトカラーも、ありとあらゆる仕事をこのサービスを通して行える、かつ、やりたくないことをやめられる。そのような世界観を僕たちは持っている」(谷口氏)

そんなWakrakは2018年10月30日、01Boosterと愛知県庁が主催の「あいちアクセラレーター」に採択されたと発表している。これを通じて、愛知県内の企業に向けて今後の人手不足解消の新たなサービスとしてワクラクの導入がさらに加速することとなるという。単に愛知県内の飲食店やホテル、清掃会社、物流企業、イベント会社などへ導入を進めるだけでなく、自動車関連技術を有する技術者のデータ登録を実施することも併せて発表している。これは「サービス業以外の領域での展開を検討するための実証実験」なのだと谷口氏は説明した。今後は他の領域でも実証実験を行う予定だ。

取材中、谷口氏は「“やりたくないこと”をやっている人たちが“やりたくないこと”をやめて、“やりたいこと”をできるようにしたい」と話していた。近い将来、専門性が強い仕事に就く人でもより自由に簡単に働ける未来が到来することに期待したい。

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TechCrunch Japan

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