2013年のタブレット出荷台数は42.7%成長の見込み。従来型PCは11.2%の減少か

タブレット機がますますPCの市場を侵食しているようだ。但し、この市場というのはなかなかの規模であるので、PCの方もまだ命脈を保ってはいる。そうしたレポートをとりまとめているのは、市場分析サービスなどを手掛けるGartnerだ。全世界における今年のタブレットの出荷は53.4%の伸びを示す見込みで、台数にして1億8400万台ということになる。一方でPCの方も台数ベースで言えば、タブレットよりも多く売り上げる見通しだ(今年は3億310万台)。しかしこれは2012年比で11.2%減の数字となっている。PCの出荷台数は年々減少する傾向にある。

ちなみにGartnerは、4月時点では今年のPC出荷台数を昨年比7.3%減と予測していたのだが、どうやらこの値も下方修正されることとなった。

尚、デスクトップOSと同様のOSを搭載するMicrosoftのSurface Proや、ウルトラモバイル(軽量ノートPC)などの普及が、従来のデスクトップPCの市場を奪う傾向もある。ウルトラモバイルをPCから外す統計もあるが、これをPCとして扱っても今年の出荷台数は8.4%の減少となっている。Gartnerの予測によると、2017年にはタブレットが、デスクトップとウルトラモバイルを合計した台数を上回るとしている。

出荷台数の接近傾向は急激であり、2014年には、PCとタブレットの出荷台数の差は1800万台程度となるのではないかと予測されている。但し、ウルトラモバイルは4000万台程度にまで伸びるだろうとも予測されている(今年は1860万台程度と見込まれている)。

ひとつのデバイスで仕事と遊びの両方をこなそうとする人が、ウルトラモバイルを選択することになるのでしょうと、Gartnerは言っている。してみるとウルトラモバイルは、タブレットスタイルで、PCの要素を持つといったハイブリッドな方向に成長していくことになるのだろう。

ところでタブレットについて、小型化および低価格化が時代の要請ともなっている。7インチタブレットの人気が高まり、高機能タブレットの価格も下がっていく方向にある。AmazonのKindle FireシリーズやGoogleのNexusシリーズなどの低価格タブレットが、iPadなどの高額製品のシェアを奪いつつ、そしてタブレット市場を拡大させている。

小型化したタブレットは、スマートフォン利用者からも熱い視線を浴びることになる。Gartnerの調査によれば、今年のホリデーシーズンには「ここしばらくの間ホリデー時期のプレゼントとして一番人気であったスマートフォンの人気を凌駕して、小型タブレットが一番人気となる」ことになりそうだとのこと。これはGartnerのリサーチ部門Vice PresidentであるCaroline Milanesiの言葉だ。

もちろんモバイルフォンの市場は順調に成長は続けていくだろう。しかしGartnerは平均販売価格(Average Selling Price:ASP)の高いものについては成長が鈍化するだろうと見ている。市場の成熟が進み、そのような中ではミッドレンジが市場を引張、そして新興市場ではローエンドのAndroidデバイスが主導権を握っていく。販売規模を拡大するには、安価なデバイスが必要となっていくのだ。先進国の市場が飽和状態となる中、市場の規模を拡大し続けるには、発展途上の市場に向けて、低価格なデバイスを提供していくことが必要なのだ。

今年および来年における、全世界でのOS毎の出荷台数予測をみると、安価なタブレットおよびスマートフォンを提供するAndroidの普及が、さらに進みそうな状況が見て取れる。2014年には、全種類のデバイスにおいてマーケットシェアの半分を握ることとなりそうだ。Windows/Windows PhoneおよびiOS/Mac OSの成長度合いはさほどでもないと予測されている。

2013

  • Android 38%
  • Windows 14%
  • iOS/Mac OS 12%
  • RIM 1 %
  • Others 35%

2014

  • Android 45%
  • Windows 15%
  • iOS/Mac OS 14%
  • RIM 0.8%
  • Others 26%

ウェアラブルについてGartnerは、スマートフォンと一緒に用いる「コンパニオンデバイス」が徐々に普及し始めると予測している。2017年までに、ウェアラブル+スマートフォンの組み合わせを捨てて、ウェアラブル+タブレットという組み合わせを選択する人は1%未満に留まるだろうとしている。

また、少なくとも、ウェアラブルが直ちに「must have」のデバイスとなることはなさそうだ。ウェアラブルが必須となる時代がくるまでは、生活をナビゲートしてくれるのはスマートフォンということになるだろうと、Milanesiも言っている。ウェアラブルが市民権を得るには、既存デバイスが提供しているエクスペリエンスを拡張し、さらに今ではコンピュータ化されていないような分野にも適用範囲を広げていく必要がある。また、実用的であることは当然としても、スタイリッシュな要素にも気を配る必要が出てくるだろう。もちろん、価格戦略も非常に大事なポイントだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。