2016年度のUberの赤字は30億ドルに拡大へ―収入も拡大中

FILE - In this Dec. 16, 2015 file photo a man leaves the headquarters of Uber in San Francisco. Uber and advocates for the blind have reached a lawsuit settlement in which the ride-hailing company agrees to require that existing and new drivers confirm they understand their legal obligations to transport riders with guide dogs or other service animals. The National Federation of the Blind said Saturday, April 30, 2016, that Uber will also remove a driver from the platform after a single complaint if it determines the driver knowingly denied a person with a disability a ride because the person was traveling with a service animal. (AP Photo/Eric Risberg, File)

The Informationその他の情報によれば、 Uber赤字は昨年の22億ドルからさらに増え、2016年は30億ドルになるという。Uberといえばすでに確立された世界的なブランドというイメージが強いが、ビジネスとしての収益性には分かりにくい点が多い。

ドレイクやウィズ・カリファといったヒップホップのスターは歌詞で始終Uberに言及している。ハリウッドのビッグネーム、ウィル・ファレルはUberのドライバーをテーマにしたコメディを製作し、主演することも決まっている。

Bloombergの推計によれば、リムジン、タクシー配車サービスのパイオニアは2016年の純収入は55億ドルで昨年の20億ドルから大幅にアップしている。こういった金額や伸び率は普通なら驚くべき数字のはずだが、30億ドルの赤字が予想されるということはUberは1ドルの収入を得るたびに1.55ドルを支出している計算になる。

Uberの広報担当者は財務情報に関してコメントしないとしている。

Uberの赤字がどこから来ているのかだが、少なくとも次ような支出先がある。自動運転車の開発、食品配達ビジネスの拡大、ドライバーと社員の人件費、訴訟多数、ロビー活動、等々。Uberではここ昨年コスト削減のために報酬体系の見直しを行ったが、それでも人間のドライバーに対する支払いは大きなコストセンターになっている。

ドライバーへの支払の他に、Uberはライバルとの競争にも多大の費用を必要としている。つまりインセティブ、ボーナス、広告、ドライバー側アプリの改善などだ。またUberは契約者ではなく雇用者であることの確認を求めるドライバーのグループを始めとして多数の訴訟にさらされている

またUberは外部のパートナー企業に運転のためのナビゲーションを頼らなくてもすむよう、数億ドル地図テクノロジーの開発につぎ込んでいるという。

今年、Uberは引き続き企業買収を行ってきたが、特に 人工知能のスタートアップ、Geometric Intelligence自動運転トラックのスタートアップ、Ottoの買収が目立った。自動運転とロジスティクスの分野でもリーダーになろうとする戦略的投資なのだろう。

しかしこうした買収の一方で、20116年の下半期は配車回数が減少傾向だ。もっともこれはUberが中国でライバルとの競争を諦めたことから予想されたことだった。Uberは中国での事業を最大の地域的ライバルであるDidi Chuxing(滴滴出行)に売却し、両社を統合した会社の持ち分を得るという戦略に転じている。しかしこれは世界的にみてUber自身による配車回数の減少という結果をもたらしている。ただし中国市場から撤退したことにより、リソースを他の有望分野、料理の配達のUberEATSサービスを世界50都市に拡大するために振り向けることが可能になった。

ビジネスの観点からすると、一番重要なのは、ピッツバーグ、最近ではサンフランシスコにおける自動運転タクシーの実験だろう。将来、自動運転車が実用化されれば、Uberは膨大な人間のドライバーを必要としなくなる、少なくとも大幅に減少させることができる。株主はUberがこの分野に投資することを引き続き支持するだろう。

ただ同時に、スマートフォン配車ビジネスに多数のライバルが参入中だ。これによりドライバーの採用と引き抜き防止のための費用は大幅に上昇した。またGoogleはWaymoという新会社を設立し、自動運転テクノロジーの全面的なビジネス化を図ろうとしている。

ところが、Uberの内外のライバルはアメリカのLyft、インドのOla、東南アジアの Grab、ヨーロッパのGettを含めて、ほとんどが非公開企業であるためビジネスの内情をUberと正確に比較することが非常に難しい。しかし配車サービス事業に詳しい情報源によればUberはライバルのLyftなどより賢明な支出を行っているという。両社の財務内容に詳しい人物がTechCrunchに語ったところによれば、顧客サービスのための割引やドライバーへのインセティブを含めて、Lyftのコストは1配車ごとにUberより50%も高いという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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