2017年のテクノロジー業界で、圧倒的存在感を示した42人の女性たち

あらゆる場所で働く女性たちにとって、挑戦的で爽快な1年だった。1月にワシントンで行われた「ウィメンズ・マーチ」から元UberエンジニアのSusan Fowlerによる、今や有名になった驚くべきブログポスト、そして#metooムーブメントまで。それらは国全体を覆い、その過程で数多くの性的捕食者たちを、その高い地位から引きずり下ろして行った。

その間にも、ハイテク企業の女性たちは、自分たちの会社を新しいレベルの成功へと導き、難しいプロダクト開発のマイルストーンを乗り切り、多くの場合に意義ある資金調達を果たしてきた。

皆が口を揃えるように、それは必ずしも簡単な仕事ではない。2016年の時点ではCrunchbaseによれば、少なくとも1人の女性創業者を持つ企業が、シード資金調達をした比率は全企業の19%であり、アーリーステージベンチャーからの資金調達を行った比率は14%、そして、レイトステージベンチャーからの調達を行った比率は、わずか8%に過ぎない。

ともあれ、以下にご紹介するのが、今年活躍した数多くの女性たちの中から取り上げた、2018年も引き続きやる気満々の42人だ。

1/39 :Stacy Epstein

Stacey Epsteinはエンタープライズソフトウェアを熟知している。彼女は、人事ソフトウェア会社のSuccessFactorsが、2007年にIPOを行ったとき、グローバルマーケティングを担当していた。その後ServiceMaxのCMOに就任した。ServiceMaxはフィールドサービスワーカー向けのソフトウェアを開発していたが、後にGEによって9億1500万ドルで買収された。現在Epsteinはその経験を活かして、デスクレスワーカーのためのモバイルコミュニケーションプラットフォームを提供するZincを、CEOとして率いている。

投資家たちは、彼女が顧客を熟知していると信じている。Zincは今年の初めにGE Venturesの主導による第2ラウンドの資金調達で1100万ドルを調達した(これまでに合計1600万ドルを調達している)。その一方で9月には、EpsteinはY Combinatorのボードアドバイザーにも就任した。Zincは今年Y Combinatorのアクセラレータープログラムを卒業している。

2/39 :Jini Kim

Jini Kimには自閉症の弟がいて、ずっとMedicaid(医療保険に加入できない低所得者/身体障害者に対して用意された米国の公的医療制度)の支援を受け続けて来ている。彼女がこの制度の限界を理解していたとしても不思議ではない。実際、2010年には、彼女は健康分析会社Nunaを立ち上げた。これは、現在ではMedicaidが、全ての患者集団をどれほど効果的に治療しているかを知るための手助けとなっている。

Google Health(彼女が去ってから程なく、短い運用が終了した)のプロダクトマネージャーであったKimの経歴にもかかわらず、投資家たちにとっては判断は簡単ではなかった。しかし、2013年にKimがHealthcare.govの支援のためにホワイトハウスに招聘されると、投資家たちの興味が集まった(彼女はほどなくTimeの表紙に登場している)。Nunaは2014年に最初の資金調達ラウンドを行っている。今年の初めにはKleiner Perkins Caufield&Byersが主導するラウンドで、さらに9000万ドルの資金を調達した

3/39 :Steph KoreyとJen Rubio

Warby Parkerでコンシューマーマーケティングを務め、元同僚同士であるSteph Korey(写真左)とJen Rubioは、自分たちをそれぞれ「完璧に左脳と右脳です」と表現する。しかしそんな2人の個性が合わさって、勢いが生まれ、設立して2年になるニューヨークの旅行商品ブランドAwayへとつながった。 同社から消費者に直販される、ポリカーボネート製のスーツケースは、耐久性と洗練を期待する旅行者たちの間で好評を博している。しかもバッテリーパック内蔵だ。

今年の初めには、この2人は2000万ドルのシリーズBファンドを成功させた。これによってAwayに集まったベンチャー資金は合計3100万ドルとなった。彼らはその資金の一部を使って、子供向けのキャリーオンラゲッジやその他の製品を発売した。その中には旅行関連アクセサリー、デザイナーコラボレーション、そして季刊の旅行雑誌Hereの刊行などが含まれている。

4/39 :Marissa Alden Evans

Marissa Alden Evansは、会員たちが自分の服装に関するアドバイスを得ることのできる、写真共有アプリを立ち上げたことがある。あるとき、とある結婚式で彼女に出会ったある男性が、式の後で彼自身の写真をアップロードしていることに気が付いた。

写真共有アプリはうまくいかなかったが、この2人は現在結婚している。しかしその後EvansはSawyerという新しい会社を共同創業した。新しい会社のアプリは、親たちが子どもたちのために最高のアクティビティを探す手伝いをするものだ。このハーバード大学出身のMBAは、会社の資金調達のためにさらに2つの資金調達ラウンドを行った。現在はキャンプから課外プログラムまでを含む、米国内の団体が利用するアプリ(サブスクリプションベース)の開発に余念がない。その支援者の中にはChan Zuckerberg Initiativeも名を連ねている。

5/39 :Rashmi Melgiri

Rashmi Melgiriは、保険選びに苦労する友人の姿を見たことで、小規模ビジネスオーナーたちが保険プランを比較して選択できるサイト、CoverWalletを開始したのだと言う。同社はLiberty MutualやProgressiveといったキャリアパートナーたちとも、良い関係を築いている。実際、このMITの卒業生は、既にビジネスのために3000万ドル以上を確保していて、その中には10月に行われた1850万ドルのラウンドも含まれている。会社の目標は、簡単で、迅速で、そして透明性を高めることだ。

これは、昨年の第1四半期にわずか200万ドルのシード資金で始まった会社にしては、悪くない状況だ(現在80人以上を雇用している)。

6/39 :Elizabeth Iorns

元乳癌研究者のElizabeth Iornsが、彼女の会社Science Exchangeを創業した理由の一部は、彼女がマイアミ大学で勤務している際に、遠隔地の協力者と一緒に働こうとして感じたフラストレーションを解決しようと考えたことだ。科学実験をアウトソーシングするためのオンラインマーケットを提供する、この6歳の会社は、多くの研究者たちからの共感も得ている。今年、いまや1000社以上と提携するScience Exchangeは、2800万ドルの資金調達ラウンドを行い、これまでの調達額の合計は5850万ドルとなった。

社長、議長、そしてCEOを兼務するIronsは、激務の合間を縫ってY Combinatorのパートタイムパートナーとしても働いている。実際、Science ExchangeはY Combinatorと提携しているので、アクセラレーターのポートフォリオに属する企業たちは、今や実験サービスを、Science Exchangeが擁する2万5000以上の科学サービスプロバイダーにたいして発注することが可能である。

7/39 :Leslie Trigg

Leslie Triggは、4年前にグローバル透析会社のOutset MedicalにCEOとして入社する前にも、多数の重役ポジションを歴任していた。Outsetにとって、彼女を確保できたことは幸いだった。同社はもともと在宅透析に革命を起こすことを狙っていたが、Triggは違透析クリニックを置き換えることよりも、さらに大きな異なる可能性を見ていた。それは透析クリニックに対しては、人手が軽減され、インフラコストが少なくなるOutsetの製品を供給し、同時にクリニックの患者たちも、自宅での対応が簡単になるようにするということだった。

Triggは、米国の透析市場の大半を支配する2つの企業に、自分たちの技術を使用させることを納得させる必要があるが、投資家たちは彼女がそれを成し遂げる方に賭けている。その証拠に、5月のシリーズCではOutsetは7650万ドルを調達できたのだ。

8/39 :Julie Shoenfeld

もしGMが、あなたが想像していたよりも早く自動運転車を提供したとしたら、それはJulie Schoenfeldのおかげだ。3年前、このベテランの起業家兼エンジニアは、それまで社長兼CEOを務めていたOEwavesから、新しい会社であるStrobeを分社した。OEwavesは現在でもレーダーと通信に特化した製品を製造している。

10月に、GMはStrobeを買収した。Strobeがライダーセンサーをシングルチップ化する技術と、物体の幅、距離、そして速度を測定する技術を持っているからだ。これはまさに、現在GMの自動運転子会社であるCruise Automationが、自社のために探し求めていたテクノロジーと専門知識だったのだ、とCruiseの創業者Kyle Vogtは語る。おそらくこれこそが、最近GMの社長であるDan Ammannが、GMが自動運転車を提供することができるのは「数年ではなく、数四半期のうちだ」と述べている理由だろう。

9/39 :Laura Behrens Wu

ビジネスショッピングプラットフォームShippoが、もともと生まれた理由は、共同創業者でCEOのLaura Behrens Wuが、欲求不満を感じたことにある。Wuはドイツ、中国、エクアドル、そしてカイロで育ち、物品を送るのにかかる時間と手間に悩まされていた。

これに対してShippoがより良い代替手段を発見したことに対して、資本家たちが今年の初めにシリーズBで2000万ドルの投資を行ったと言えば十分だろう。調達した資金総額は合計でおよそ3000万ドルとなった。その魅力は何だろう?中小企業が出荷を追跡したり注文を行うことを手助けすることで、彼らがAmazonなどの巨大企業に対して、より強固な立場で競争できるようになることだ。

Shippoを起動する前に短期間スタートアップのLendUpで働いていたWuは、この猫の飼い主でもある。

10/39 :Julie Wainwright

Julie Wainwrightは、自身が経営していたドットコム時代会社、Pets.comを閉鎖した後、「一種の嫌われ者になってしまいました」と言う。しかし、現在The RealRealの共同創業者でCEOを務める彼女が、除け者ということはあり得ない。The RealRealは、新品同様の中古の贅沢品を、オリジナルの価格に比べて破格に安く販売するオンライン委託販売ビジネスだ。

同社は現在950人を雇用しており、今年は5億ドル以上の収入を見込むことができるとしている。その間に、Wainwrigtは成長を助けるために多額の資金調達を行った。これまでの総額は1億7300万ドルである、その中には6月に行われた5000万ドルのラウンドも含まれているが、その一部は、ニューヨークに、The TralRealの初の実店舗を開くために使われた。

11/39 :Sallie Krawcheck

Citigroupの資産管理部門を率いていたSallie Krawcheckが、その地位を追われたときは、彼女はウォールストリートで最も強力なエグゼクティブの1人だった。彼女は、Ellevest社のスタートアップ創業者として、大きな復活を果たした。同社は女性投資家のニーズ(節税商品から、起業、そして出産に至るまで)に焦点を当てた、オンライン投資プラットフォームを提供する(追加料金を払えば、Ellevestはエグゼクティブビジネスコーチングや個人指導を、エグゼクティブリクルーターや認定金融プランナーから受けることができる)。

投資家たちはKrawcheckが何かを成し遂げると考えている。昨年、彼らはEllevestに1000万ドルを投資し、この秋には、彼らはまた別の3460万ドルを投資した。

12/39 :Maria Bennett

Maria Bennettの名は、世間では知られていないかもしれないが、この訓練された生物医学技術者は、SPR TherapeuticsのCEO、社長、創業者としての重要な役割を果たしている。創業8年でオハイオ州クリーブランドを拠点とする同社は、慢性ならびに急性の痛みのために用いられる神経刺激技術を開発したのだ。注目すべきは麻薬を使わないということである(治療は、皮膚を貫通して配置された糸状のワイヤーを使用し、身体に装着可能な刺激装置に接続して、標的となる神経線維を刺激する)。

同社は、そのシステムがFDAの認可を得た今年、無名のファミリーオフィスとFrontcourt Venturesの主導によるシリーズCで、2500万ドルを調達した。Bennettは現在、この資金を使って、追加研究を行い、SPRが既に開発したものの商品化を行っている。

13/39 :Julia Collins

Julia Collinsが、Zume Pizzaを共同創業したのは、おそらく運命だったのだ。同社は健康的な食品を素早く誰でも手に入れることができるようにすることを目指す企業だ。このスタンフォードMBAは、Danny MeyerのUnion Square Hospitality Groupで働いてきた。2010年には、東海岸に4つ店舗を抱える、タコスとテキーラのレストランMexicueの開業にも協力している。以前彼女が、実業家Richard Parsonsの率いる、Harlem Jazz Enterprisesの元COOだったことは既に言っただろうか?(特にHarlemにあるレストラン、The Cecilを所有している)。

確かに、Collinsと共同創業者のAlex Gardenは多くの資金を調達してきている。Zumeが発表することはなかったが、SECの記録によれば、同社とその半自動ピザ製造会社は、この秋にシリーズBラウンドによって4800万ドルを調達している。

14/39 :Tyler Haney

今月初めに、設立4年のアスリージャー(運動着と普段着を兼ねた服装)ブランドOutdoor Voicesは、新しい店舗をサンフランシスコにオープンした。ロサンゼルス、オースチン、そしてニューヨークに続いての開店だ。それでも、伝説の商売人Mickey Drexlerが主導した8月のラウンドで900万ドルを調達し、今や合計2250万ドルを調達した同社は、ある意味始まったばかりとも言える。

その活動の中心にいるのは創業者の(そしてパーソンズ校卒業者の)Tyler Haney だ。彼女のビジョンは、エクササイズは重要だがそれが全てではないと考える買い物客たちと共鳴しているようだ(それはシンプルなデザインと、自然な色合いにも表れている)。彼女は最近メディアにこう語っている「ステフン・カリー(NBAの選手)とか誰か他の人のことを気にする必要はないのです、大事なのは自分の個性なのです」。

15/39 :Kathryn Petralia

Kathryn Petraliaは、融資ビジネスのKabbageを共同創業する前に、クレジット、ペイメント、そしてeコマースに特化した大小の企業で10年以上働いてきた。その職歴の中には、クレジットカードスタートアップのRevolution Money(後にAmexが買収)での戦略担当や、上場取り立て企業であるCompuCredit(現在はAtlanticus Holdingsと呼ばれている)との共同開発などが含まれている。

こうした役割は、現在のPetraliaからみると奇妙なものに映るかもしれない。その融資サイトは、金融危機の最中に開始され、11万5000以上の小規模ビジネスや個人に対して様々なデータに基づいて融資を行ってきた。そして勢いは増すばかりなのだ。実際8月には、KabbageはSoftBankから、新しい市場の開拓と製品の拡大に向けて、2億5000万ドルの新たな調達を行った。11月には、同社はまた別の大規模な資金注入を発表した。現在はリボルビング払いをローンにも使用している、Credit Suisseから2億ドルを調達したのだ。

16/39 :Amy Errett

米国女性の4分の3が髪を染めている。現在ではその規模はL’OréalやClairolといったブランドたちに対して180億ドルにも及ぶ機会を与えている。その中で、Amy Errettによって4年前に設立された、お手頃価格の「プレステージ」(高級)ヘアプロダクトのメーカーMadison Reedも、徐々に売上を伸ばしている。

10月に2500万ドルの新規資金を提供した投資家たちの目から見れば、Errettはだれでも乗ることのできる安全な賭けである。彼女は「連続CEO」であり、これまでに旅行会社のOliviaを含む、多くの企業を率いてきた経験を持つ。Errettは、Maveronの元ゼネラルパートナーとしてVCにも精通しており、過去数年の間、True Venturesの特別顧問を務めている。実際、日々の仕事で忙しい中でもなお、ErretはTrueの名で小切手を書くこともしている。

17/39 :Audrey Gelman

Audrey GelmanはPRの世界で働いていた。2008年には、後に大統領候補となったヒラリー・クリントンの報道補佐官として働き、そして最近では代理店であるSKDKnickerbockerの仕事をしていた。この間ずっと、Gelmanはそのスタイルとユーモアセンスのために、ファッション記者たちから注目を集めていた(Gelmanはまた、有名な作家/女優のレナ・ダナムの親友でもある。実際、Gelmanはダナムの長期間にわたる舞台”Girls”の、登場人物Marnieのモデルと言われている)。

そして昨年、Gelmanは彼女のキャリアを、本気でオーバードライブポジションに切り替えた。女性専用のコワーキングスペースとソーシャルクラブであるThe Wingを共同創業したのだ。現在、ニューヨークには2つの拠点があるが、ほどなくワシントンと西海岸のクラブが続く、これはWeWorkが主導した先月の資金調達ラウンドによる3200万ドルのおかげだ。

18/39 :Jennifer Hyman

Jennifer Hymanは、10年以上前に、主要な傾向のいくつかに気が付いた。ソーシャルメディアの発展(その上では皆が自分を良く見せたいと思う)と、プロフェッショナルたちが「物」を介した経験を重視しはじめたということだ。その気付きは最終的彼女をハーバードビジネススクールへと導き、そしてRent the Runwayの共同創業へと結びついた。この会社は現在800万人以上の顧客を抱え、高級なドレスをレンタルするというアイデアを普通のものにした。

これはささやかな業績ではない。実際、初期の投資家たちは、その資産を倍増させることができた。Rent the Runwayはずっと黒字運営を続け、成長企業には2億ドル以上の資金が集まった。Hymanは現在、女性たちにハイエンドの仕事服をレンタルして貰おうとしている。

19/39 :Whitney Wolfe Herd

3年前Whitney Wolfe Herdは、自らが共同創業しマーケティング担当副社長を務めていたTinder社を相手取り、セクシャルハラスメントと差別を受けていたという訴えを起こしたことでよく知られていた。

そして現在、Wolfe Herdは、Tinderのユーザーの多くや、それ以上に多くの人びとを彼女の新しい会社Bumbleに惹き付けることで、ある意味最高の復讐を成し遂げた。実際、今年は2200万人以上の登録ユーザーと1億ドル以上の売上を見込んでいて、さらにはLinkedInの領域まで進出しようといる。すなわち、先月同社は、顧客たちに将来のメンターや同僚の検索も行うことを促し始めたのだ。

20/39 :Melonee Wise

8歳のときのMelonee Wiseは、他の8歳児たちと同様に、レゴブロックで遊ぶことを楽しんでいた。多くの8歳児たちと異なっていた点は、Wiseは機械工学の学位を取得し、先駆的なロボット会社Willow Garageでロボットオペレーティングシステムを開発し、現在は急速に成長している会社を経営しているということだ。実際、Tetch Robotics、のロボットは、狭い場所でも棚から物を掴み出し、必要な場所へ移動することができる。今月シリーズBで2500万ドルを調達し、Fetchの資金調達額の合計は4800万ドルとなった。eコマースが成長を続ける中で、物流企業はこれまで以上に人手が必要とされている。今回の調達がこのスタートアップの最後の調達ではないことは請け合いだ。

21/39 :Edith Harbaugh

Edith Harbaughの最初の仕事は、エンタープライズスタートアップでのエンジニアリングだったが、6ヶ月から9ヶ月のサイクルで回るエンジニアリングに、欲求不満が溜まったために、彼女は「製品の人」になったのだという。エンジニアリングチームがリリースを祝う一方で、エンドユーザーたちはいつもそれほど熱狂的な様子を見せているわけではない。それが時間を無駄にしたくないウルトラランナー(ウルトラマラソンの選手)のHarbaugh’sを悩ませたのだ。実際、3年前に立ち上げたスタートアップLaunchDarklyは、誰も使わないようなものをエンジニアが作らされることのないようにするために設立された会社だ。

投資家たちは彼女の思考が好きだ。その結果現在3歳の会社が生まれた。同社のプラットフォームは、企業たちが選択した利用者グループごとに、機能を絞り込んでテストすることを可能にする。同社は今月初めのシリーズBで2100万ドルを調達した。

22/39 :Shanna Tellerman

Shanna Tellermanは、大学から直接起業を行った人物だ。彼女の母校、カーネギーメロンから、3Dゲームの開発を民主化することに焦点を当ててスピンアウトした会社だった(Autodeskはそれを2010年に買収した)。

実際、Autodeskで数年を過ごし、2年に満たない期間をGVのベンチャーキャピタリストとして過ごした後、Tellermanはデザイン、3D、そしてコマースに対する彼女の情熱をひとつに組み合わせて、Modsyを共同創業した。これはユーザーが家具を買う前に、自分で試すことのできるホームデザインツールである(顧客が送信した画像と寸法に基づいて部屋の3Dモデルを作成する)。会社は立ち上がり、投資家たちの興味を集めている。今ではWest ElmやDesign Within Reachといった、小売業のパートナーたちも投資を行っているし、今月初めにはシリーズBの資金調達で2300万ドルを獲得した。

23/39 :Cindy Mi

Cindy Miは、中国の農村部の若い学生としては、オーディオカセットや雑誌に多くのお金を使ったと語る。その理由:英語を身に付けるためだ(彼女が最初に学んだ英語の歌はカーペンターズの「イエスタディ・ワンス・モア」だったという話だ)。

こうして生まれたのがVIPKIDだ。同社はMiが4年前に起業し、現在は32以上の国の20万人以上の初等教育年齢の生徒たちを、2万人以上のネイティブ英語スピーカーとマッチングさせていると言う。学習内容は子供に応じて調整される。急成長を遂げている同社は、その将来を信じる投資家たちから既に3億2500万ドルを調達している。おそらく、彼らはVIPKIDが今年見込んでいる7億5000万ドルの収益も気に入ることだろう。

24/39 :Laura Weidman Powers

ほぼ6年前、スタンフォードのMBAであるLaura Weidman Powersは、Code2040を設立した。この非営利団体は10週間に渡るプログラム(特に大学生や大学院生たちを憧れのハイテク企業のインターンとして送り込むことなど)を通して、マイノリティたちに対して教育で、職業で、そして起業場での成功に続く道を提供することが目的だ。

それは明らかに目的を達することができている。組織は昨年オバマ政権の注意を引き、Weidman Powersに対して、当時の米国のCTO であるMegan Smithの上級顧問として6ヶ月の任期を務めるように求めた。先月、Code2040は、The Knight Foundation、The Sara and Evan Williams Foundation、その他からさらに560万ドルを調達した。これによって調達額の合計は700万ドル以上になった。

25/39 :Joyce Kim

コロンビア大学で訓練を受けた弁護士のJoyce Kimは、数年前、非営利のオープンソース決済ネットワークStellarを創業した。行政のサービスが行き届いていない層に対して、より簡便な送金手段を提供するためだ。Freestyle Capitalの顧問としても短期間働いていたKimは、SparkChain Capitalによってさらに大胆な行動を起こした。これはブロックチェーンや暗号通貨(通貨の取引)に関連する製品やサービスを開発する企業に対して、資金提供を行うベンチャーファンドだ。それを行うために1億ドルの資金調達を計画している。

彼女がこんなに忙しい理由は、Kimが10月にTCに語っている「私はシリコンバレー、アジア、そしてアフリカで働いています。そして、金融取引を行う際に個人が直面する本当にたくさんの課題を目撃して来ました。チャンスは本当に無限です」。

26/39 :Katrina Lake

Katrina Lakeは、何年も前に季節ごとの野菜が届けられるサービスに感銘を受けたと語る。このため、顧客宅に厳選した商品が届くサービスには可能性があると気付いたのだ。

彼女がそのアイデアを、データを活用したオンライン・スタイリング/小売会社のStitch Fixとして実現したのは2011年のことだった(毎月利用者の好みだと思われるものが送られて来て、気に入ったものを購入し、残りのものは無料で送り返すビジネスモデル)。そのときはまだハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の学生だったが、会社は設立以来順調に成長している。実際、今年ハイテク企業たちが公共市場で投資家たちから受けた不公平な評価にも関わらず、彼女はなんとか同社の上場を果たした。その株価は驚くようなものではないが、会社は成長を続けている。この四半期での収益は2億9500万ドルとなり、これは1年前と比べると25%高い数字だ。Stitch Fixはまた、現時点で5000人以上を雇用していることでも注目に値する。

27/39 :Stacy Brown-Philpot

2016年に、Stacy Brown-Philpotは、オンライン「タスク」マーケットプレイスTaskRabbitのCEOに任命された(それまで3年間COOとして勤務していた)、それ以前はGoogleで、7年間に渡り様々な役職を果たしていた。

このスタンフォード大学MBAは、この秋に同社をエグジットへと導いた。独立した会社で9年間営業する中でおよそ5000万ドル以上を調達した会社を、スウェーデンの家庭用品の巨人IKEAグループに売却したのだ(条件などは公表されていない)。

これはしっかりとしたマッチングに見える。IKEAは、徐々にホームサービスを拡大するアマゾンなどのライバルと競争するために、カスタマーサービスを強化する必要に迫られていた。とはいえ、TaskRabbitは独立した子会社としてBrown-Philpotの下で営業を続ける。彼女はHPとNordstromの取締役会にも名前を連ねている。

28/39 :Wang Xiaoyu

Wang Xiaoyuは北京大学で学び、CastBoxを起業するために2015年に退職するまではGoogleで働いていた。CastBoxはTED talksのような教育的ポッドキャストから人気のあるポッドキャストに至る、様々なオーディオコンテンツを提供するモバイルアプリである。リリースから数時間の内に聴くことができるようになる。

このサービスはヨーロッパと米国で特に人気がある。実際、AppleやXiaoyuの以前の雇用者であるGoogleからによるよる激しい競争にも関わらず、CastBoxは現在米国で10番目に人気のあるニュース&雑誌アプリだ(分析会社AppAnnie調べ)。現在までに、IDGキャピタルやGSRベンチャーなどから、1600万ドルの資金調達を行っている。リスナーと広告主の両方からのコンテンツの需要が高まるにつれて、より多くの投資家たちが集まって来るだろう。

29/39 :Elizabeth Stark

おそらくElizabeth Starkの名前を聞いたことがない人の方が多いだろう。しかし徐々にその名前を目にすることになるだろう。ハーバード大学で法学の学位を取得したStarkは、Bitcoinのような若いプロトコルであるLightning Labsの、共同創業者兼CEOである。同社はまだ資金調達を発表していない(シードラウンドは静かに行った)が、Starkは、例えば2012年のオンライン海賊行為防止法案反対運動の、初期の組織者といった顔を持つ、影響力のある人物だ。またオンライン動画での表現の自由を守る組織Open Video Allianceの共同創設者であり、スタンフォードのStart Xの元起業家メンバーであり、イェール大学のコンピュータ・サイエンスの元講師でもある。

30/39 :Anne Boden

Anne Bodenは、COOとして働いていたアイルランド最大の金融機関であるAllied Irish Bankを退職した直後の2014年に、モバイル専用銀行Starlingを設立した(彼女はまた、Royal Bank of Scotland、ABN Ambro、そしてAon Corpの役職も歴任している)。

3年後、物理的な店舗を持たないこの銀行は、100人余りの人員を雇用している、おそらくこれは、Starlingが銀行を経営するコストを下げ、顧客の資産を保全するためには程よい規模なのだ。

Bodenは、資金調達についても、できるだけシンプルにしている。これまでのところ、データを駆使する投資家Harald McPikeただ1人から、7000万ドルを調達しているだけだ。

31/39 :Abby Kearns

Abby Kearnsは、昨年末に非営利団体Cloud Foundry Foundationのエグゼクティブディレクターに就任した。そして事情を知る者たちによれば、今日のオープンソース界の最高の人物の1人である。

しかしそれは、Kearnsの昔のキャリアを知っている者たちを驚かせることはないだろう。Kearnsによれば、彼女はいつでも数学を楽しんでいて、高校生のときには学校のコンピュータの周りを離れず、大学でもコンピュータサイエンスを専攻したとのことだ。テクノロジー企業に勤めて、サポート業務から開始し、後にeコマースプラットフォームを立ち上げる前にはデータセンターの設計を行い、長期間にわたってVerizonのプロダクトマネジメント責任者を務めた。

最近のインタビューでは、Kearnsは以下のように語っている 「沢山の技術が、過去20年間で変化したり進化したりしてきましたが、変化していないものも沢山あります。そしてそれら全てが現在の私たちに関係しているのです」。

32/39 :Jean Liu

Jean Liuはゴールドマンサックスで12年間を過ごし、ついに2012年にはマネージングディレクターに就任した。しかし、彼女の最大の役割は、LiuがCOOとして2014年に加わった、Uberのライバル、Didi Chuxingでのものだ。現在Didiの社長を務めるLiuはUberを中国から追い出しただけでなく、会社の巨大な成長を指揮し、資金調達も行ってきた。

Didiは今週、新しい資金調達で40億ドルを獲得した。これには日本のソフトバンク、アブダビのMubadalaファンドが参加したと言われている。この取引ではDidiは560億ドルと評価されたとニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

Apple、Alibaba Group、Tencent Holdingsのような他の支持者たちがすでに投資を行っている。新しいマーケットへの参入の野望を胸に、LiuはUber CEOの、Dara Khosrowshahiの動向を見張っているに違いない。

33/39 :Ankiti Bose

Ankiti Boseはそれを上手くやり遂げたのだろう。彼女はMcKinseyの経営コンサルタントとして2年を過ごした後、Sequoia Indiaのアナリストになった。しかしBoseは自身の起業家精神で挑戦をしたくなり、タイ、シンガポールそしてインドネシアで、ファッションセラーたちのためのマーケットプレースZilingoを共同創業した。これまではファッションを小さな店舗でオフラインで買うしかなかった人びとに、普及の進むスマートフォンでアクセスを行わせるという賭けに出てみたいと考えたのだ。

その賭けには勝てたようだ。ビジネスを急加速させたいストアオーナーたちが、Zilingoを利用する数の増加という意味でも、Bose自身にとっても。9月に行われたシリーズBの1800万ドルも含んで、Zilingoのこれまでの調達額は2800万ドルに達している。

34/39 :Radhika Ghai Aggarwal

Radhika Ghai Aggarwalは、6年前にインドのGurgaonで、オンライン電子商取引市場ShopCluesを共同創業した。同社のチーフビジネスオフィサーとして、彼女は今、遥かに多額の資金を調達しているFlipkartのようなインドのライバルに先んじて、上場を果たそうとしている(CrunchBaseによると、ShopCluesは約1億3900万ドルの資金調達を行っているが、Flipkartは40億ドル以上を調達している)。

彼女の会社は、こうした他の巨大企業たちに対抗して、どのように成長してきたのだろうか?近隣の地域ブランドに注目することによってだ。Aggarwalが、かつてインドのBusiness Timesに説明したように、ShopClueの大部分のビジネスは、収益も少ない小さな街から得られている。そうした地域では有名な名前かどうかということはあまり影響がないのだ。

「私たちが注力しているのは、マッキンゼーの中産階級ではなく、インドの中産階級なのです」と彼女は語った。

35/39 :Natalya Bailey

Natalya Baileyは、MITの宇宙推進研究所(Space Propulsion Laboratory)で博士号を取得したときには、自分はやがて教授になると考えていた。だがその代わりに、学校でのとあるプロジェクトが、Baileyを研究室仲間のLouis Pernaとパートナーを組ませ、小さな人工衛星のための推進システムを作る道へと導いた。その10セント硬貨ほどの大きさのロケットエンジンのために設立された会社、Accion Systemsは、Shasta Venturesを含む投資家たちから、1250万ドルの資金を調達している。

設立5年のこの会社は、今後も順調に進んでいけそうだ。世界は、防衛と商用アプリケーションのために、世界を70年にわたって利用して来たが、そうして最初に打ち上げられた巨大な衛星たちは、現在は遺物となっている。今日作られている、遥かに小さな人工衛星たちのことを思えば(数年のうちには毎年宇宙へ、数十万個も打ち上げられることになる)、その製造業者たちは安価で、信頼性が高く、そして丁度よいサイズのエンジンが必要になるのだ。

36/39 :Niniane Wang

今年は多くの女性たちが、セクシャルハラスメントについて発言をしてきた。しかしEvertoonの創業者兼CEOのNiniane Wangが、投資家Justin Caldbeckによってつきまとわれれ続けた話を公表することがなければ、他の発言たちもこんなに迅速に浮上して来なかったかもしれない(彼女の語ったところによれば、その話を公表しようと決心したことで、100時間にも及ぶ作業が必要になったということだ。そのなかには証拠集めから、タイムラインの構成、そしてCaldbeckのベンチャーファームに投資したリミテッドパートナーたちへの連絡作業などが含まれている)。

彼女の話はすぐにCaldbeckを止めただけでなく(彼はすぐにその職を辞した)、スタートアップにはびこる他の悪い輩(やから)を止めるために、他の人びとにも自分自身の話をすることを促した。

追加のボーナスとして、先月Wangは、携帯ゲームPokémon Goを開発するNianticに、彼女の5人の会社を委ねることにした。Ninanticが彼女のチームを将来のプロダクト開発のために、非公開の条件で買収したのだ。

37/39 :Sophie HersanとFanny Moizant

2009年にパリで創業されたVestiaire Collectiveは、ヨーロッパの代表的オンラインマーケットプレイスである。シャネル、セリーヌ、エルメスといったデザイナーブランドの、中古の服やアクセサリーの売買を通して、消費者たちに安いブランドの代替手段を与えている。

その背後には6人の創業者がいる。その中の1人Fanny Moizant(写真右)は以前ジョン・ガリアーノに勤務しており、もう1人のSophie Hersanは現在同社のアートディレクターを務めている(Hersenはこの春に女優のクロエ・セヴィニーを誘い、セヴィニーのお気に入りヴィンテージ部門を立ち上げた)。

投資家たちは彼らのビジョンに好感を抱いている。もちろん服やアクセサリーを売買する500万人の会員をVestiareが抱えていることを信頼しているのは言うまでもない。Vestiaireは先の1月に行われた、シリーズEでの6200万ドルの巨額の資金を含み、これまでに1億3000万ドルを投資家たちから調達している。

38/39 :Emmanuelle CharpentierとJennifer Doudna

2012年初めの頃、当時ほとんど知られていなかったフランスの微生物学者であったEmmanuelle Charpentier(写真左)は、卓越した生物学者であるカリフォルニア大学のJennifer Doudnaと、生物学上の巨大な発見についての共同研究を行っていた。任意の生物のDNAを変更(あるいは編集)する比較的簡単な方法についてだ。

引き伸ばされたDNAがスライスされ、ある塊へと刻むことができることを見出したのは、彼らだけではなかった。実際、彼らはまもなく、ハーバード大学やブロード研究所の、他の科学者たちとの激しい競争に晒されたのだ。

CRISPRという名前で知られるこの技術を巡って、それから様々な組織が関連した会社を起業してきた、その中にはDoudnaとCharpentierも含まれている。彼らはまだ友人だが、それぞれ競合する組織を経営している。それでも両者は依然として、いわゆるCRISPR技術とその進展に大きな責任を持ち、前進を続けている。例えば、Charpentierの会社であるCrispr Therapeuticsは、現在βサラセミア病の治療のための、最初の治験を計画している。

39/39 :Susan Fowler

Uberのセクシャルハラスメント問題を公表したソフトウェアエンジニアSusan Fowlerのストーリーは、圧倒的な力をはね退けただけではなく、スタートアップ業界全体に衝撃波を送った。もうすぐ映画化もされる。バーン!。

[原文へ]

(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。