2024年までにLAでの都市型エアタクシー導入を目指すArcher Aviation

特別買収目的会社との合併を通じて公開企業となることを最近発表した電動航空機スタートアップのArcher Aviation(アーチャー・アビエーション)は、2024年までにロサンゼルスで都市航空タクシーのネットワーク立ち上げを計画している。

今回の発表は、ロサンゼルス市長であるEric Garcetti(エリック・ガーセッティ)氏のオフィス、ロサンゼルス市交通局、そしてUrban Movement Labの3者が、都市型航空機を既存の交通網や土地利用政策に統合する方法についての計画を策定するための1年計画である「Urban Air Mobility Partnership」の結成から2カ月後に行われたものだ。2019年11月に立ち上げられたUrban Movement Labsは交通テクノロジーの開発・テスト・展開を目的とする地元政府と企業による官民連携の組織だ。Urban Movement Labsとロサンゼルス市は、人々が「Urban Air Mobility(UAM、アーバン・エア・モビリティ)」航空機に搭乗できる「垂直離着陸飛行場」の設計とアクセスに取り組んでいる。UAMとは、都市や郊外で乗客や貨物を低高度で運ぶことができる高度にかなり自動化された航空機を指す。

Archer Aviationは2週間前に、特別買収目的会社との合併を通じて公開企業となるという発表の中でUnited Airlines(ユナイテッド航空)が顧客、そして投資家となったことを明らかにした。Archer Aviationは2021年2月初めに特別買収目的会社のAtlas Crest Investment Corp.と合併することで合意に達した。この手法はスタートアップが従来のIPOプロセスを回避することを可能にしている最近頻繁に取られているものだ。ニューヨーク証券取引所にティッカーシンボル「ACHR」で上場する合併会社の評価額は、38億ドル(約4008億円)となる。

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ロサンゼルスに主要ハブを置くユナイテッド航空はこの取引の主要投資家の1社だ。合意条件に基づき、同航空は10億ドル(約1055億円)相当の航空機を発注した。5億ドル(約527億円)分の航空機を追加購入するオプションも持っている。

「初のeVTOL(電動垂直離着陸機)をユナイテッド航空のハブの1つで立ち上げるというArcherの約束は、当社の顧客が旅行のあらゆるステージで、座席に座る前から二酸化炭素排出を抑制することに1歩近づいたことを意味します」とユナイテッド航空の経営企画・投資関係担当副社長のMichael Leskinen(マイケル・レスキネン)氏は声明で述べた。「Archerにとってロサンゼルスは始まりにすぎないと確信していて、我々のハブ全体へと拡大するのをサポートすることを楽しみにしています」。

Archerが乗客をシャトル輸送するようになるまで、道のりは長い。同社はフル充電すれば時速150マイル(約241km)で60マイル(約96km)飛行するようデザインされているeVTOLをまだ大量生産していない。同社は以前、フルスケールのeVTOLを2021年後半に披露し、2023年の大量生産開始を目指している、と述べた。

垂直離着陸飛行場ハブのデザインと構築は、今後3年間で終えなければならない数多くのタスクの1つだ。同社の共同創業者で共同CEOのBrett Adcock(ブレット・アドコック)氏とAdam Goldstein(アダム・ゴールドステイン)氏は、短期的にはヘリパッドや駐車場のような既存インフラを使うのに前向きだ。同社によると、「Maker」という名のeVTOLは既存インフラに収まるサイズとなる。Urban Air Mobility Partnershipが仮にその戦略に同意するとして、そうしたフレキシビリティはArcherが2024年という目標を達成するのに貢献するかもしれない。

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画像クレジット:Archer Aviation

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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