30台のRaspberry Piがカメルーンの田舎の中学校でコンピュータ教育に使われる

マイクロコンピュータRaspberry Piは発売後の1年で、合計100万台がメーカーたちや、電子工作マニア、親たち、子どもたちの手に渡った。子どもたちをコンピュータ科学に入門させるための教育玩具として作ったものが、こんなに広い層に売れるとは驚きだ。Pi Foundationはとくに、イギリスの子どもたちがこれでプログラミングを初体験することを意図していた。でもPiの力は実際には、最初に考えた使命よりも大きい: カメルーンでは、Piが中等学校のコンピュータ教育で使われているのだ。

Pi Foundationのブログのゲスト記事で、ベルギーのボランティアが書いている。彼らは資金を募り、30台のPiをスーツケースに詰め込んでカメルーンへ行き、コンピュータ教室を作った。ディスプレイとキーボードとマウスは、ベルギー国内で買った。このPiを使ったコンピュータ教室は、まだ電気が来ていない田舎なので、自家発電を使っている。

その学校、Saint Marcellin Comprehensive Collegeは、カメルーンの北西部のNkambeに近いBinshua村にある。今現在は、Piを使ってオフィスソフトの使い方を教えているが、ねらいは子どもたちにプログラミングを教えることにある:

OSは12月時点のRaspbian〔Raspberry Pi用のDebian Linux〕で、その上にLibreOfficeとCUPSをインストールしている。今は子どもたちにOfficeの使い方の基本を教えているだけだが、先生にはすでにScratchによるプログラミングを教えたし、良い本もあげた。だから次からは、学校のカリキュラムにScratch入門が入って欲しいと思う。

このコンピュータ教室にはまだインターネット接続がないが、この状況もベルギー人たちが変えようとしている:

コンピュータはすべてネットワークに接続している。ネットワークの中心はルータで、それはWANのモデムに接続されるのを待っている。近い将来にはインターネットへの接続を提供したいが、そうなるとこの田舎に小さな革命がもたらされるだろう。インターネット接続のない今でも、この未開発地域に相当高度なコンピュータ教室を作った、とわれわれは自負している。この地方の子どもたちに、より良き未来を切り開く力と機会を与えた。それこそが、われわれの動機だったのだ。

この、小さくて安くて低能力なマイクロコンピュータは、開発途上国の人たちに初めてのコンピューティング体験を与えることができる。Piのハードウェアは多くの場合、携帯電話よりも安い。スマートフォンよりも、もちろん安い。スマートフォンはこれまで、“次の数十億人”に最初のコンピューティング体験を与える、と持て囃されてきた。またPiは、そのほかのLinuxベースのローコストコンピューティングプロジェクト(たとえばOLPCXO laptop)よりも相当安い。もちろん、周辺機器の価格も考慮に入れる必要はあるが。

下のビデオでは、教師が生徒たちにPiを紹介している。彼女はMicrosoftのWindows OSの名も挙げているが、その言及は同社の人たちを喜ばせないだろう: “この小さなボックスはWindowsオペレーティングシステムでは動きません。別のタイプのオペレーティングシステムで動きます。それはLinuxといって、とっても人気があり、しかも無料です”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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