4倍速有機ELと240Hz駆動タッチパネルを搭載のAQUOS zero2、ゲームは快適か?

シャープは、SIMフリースマートフォン「AQUOS zero2 SH-M13」を2月28日に発表、3月13日より販売開始した。もともとAQUOS zero2自体は、1月30日にドコモ、au、ソフトバンクのキャリアモデルとしてリリースされており、SIMフリーモデルはそれから約1カ月遅れて市場に投入されたことになる。

シャープはSIMフリーモデルに特設サイト(https://jp.sharp/k-tai/mvno/)を作るぐらい力を入れているが、キャリアとの関係性を踏まえて時期をずらして販売開始しているのだと思われる。iPhoneはSIMフリーモデルとキャリアモデルが同日に発売されているが、これはアップルがキャリアより強い立場にいるからできることだ。

AQUOS zero2 SH-M13の実売価格は10万5000円前後

SIMフリーモデルはDSDVデュアルSIMスロット

AQUOS zero2 SH-M13はSoCにSnapdragon 855を採用。メモリーは8GB(LPDDR4X)、ストレージは256GB(UFS type)を搭載している。microSDメモリーカードスロットは非搭載だ。ディスプレイは4倍速(毎秒240回)の約6.4インチ有機ELフルHD+(1080×2340ドット、HDR対応)。カメラは、標準カメラ(約1220万画素、F値1.7、78度、光学式手ぶれ補正)、広角カメラ(約2010万画素、F値2.4、125度、電子式手ぶれ補正)、インカメラ(約800万画素)が搭載されている。

本体サイズは約高さ158×幅74×厚さ8.8mm、重さは約141g。6インチ以上、3000mAh以上、防水(IPX5以上)対応という条件において世界最軽量がうたわれているが、バッテリー容量は3130mAhと少なめ。バッテリー駆動時間は、連続通話時間がVoLTE約2170分、3G約1900分、GSM約870分、連続待受時間(静止時)がLTE約550時間、3G約615時間、GSM約530時間とされている。

急速充電規格にはUSB Power Deliveryに対応しているが、2つの充電ICを積んだ「パラレル充電」仕様となっており、発熱源を分散することにより充電しながらでもコンテンツを楽しめるという。なおボディーは防水・防塵仕様(IPX5、IPX8、IP6X)だ。

キャリアモデルはシングルSIMスロットだが、SIMフリーモデルはデュアルSIMスロット仕様でDSDV(Dual SIM Dual VoLTE)に対応している。また、SIMフリーモデルにもおサイフケータイ機能が搭載されており、キャリアモデルのように不要なアプリがプリインストールされていることもない。

本体前面と本体背面

本体上面にはSIMカードトレイ、本体下面にはUSB Type-C端子が装備されている

本体右側面には電源ボタンとボリュームボタンを配置

SIMカードスロットはnanoSIMカードのデュアルスロット仕様。microSDメモリーカードは装着できない

4倍速、240Hz起動でゲームが快適

さてAQUOS zero2 SH-M13最大の売りの4倍速(毎秒240回)の約6.4インチ有機ELフルHD+ディスプレイだが、非常に表示が滑らかだ。今回バトルロイヤルゲーム「PUBG mobile」をプレイしてみたが、1回目でいきなり「ドン勝」をゲットできた。タッチパネルも240Hzに高速化されていることもあり、ゲーミングスマホと比べてもトップクラスのディスプレイ品質を備えていると言える。

ワンプレイ目でいきなり「ドン勝」できた。ただしクオリティを「HDR」、フレーム設定を「極限」、演出を「MOVIE」、アンチエイリアスを「有効」にすると、「fpsが不安定です」という警告メッセージが表示された。それでもプレイに大きな支障はなかったが、勝敗を優先するのならデフォルト設定がやはり無難だ

「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreは2692、3DMarkのSlingshot Extreme – OpneGL ES 3.1は5674。「iPhone 11 Pro Max」のGeekbench 5のMulti-Core Scoreは3498なので、ベンチマークスコア上AQUOS zero2 SH-M13は約77%の処理性能ということになる

締まった黒の表現、豊かな発色は有機ELディスプレイならではの美しさだが、残念なことがひとつある。現時点では「Netflix」アプリでHDRコンテンツを再生できないのだ。実際、NetflixのサポートページのHDR対応Android端末にシャープ製品は1台も含まれていない。これではせっかくの美しいディスプレイも宝の持ち腐れだ。シャープからNetflixにHDR対応Android端末に加えてもらうように強く働きかけてほしいところだ。

黒が漆黒として表示されるのは有機ELディスプレイならではの特性だ

NetflixでHDR対応コンテンツを再生しようとしても、「HDR」のアイコンが表示されない

AQUOS zero2 SH-M13の弱点はカメラ。少し雲が出ている晴れの日にテスト撮影してみたが、全体的に露出が暗めで、なおかつ明るい部分が白飛びしていた。また、いまどきのスマホとしては夜景モードが搭載されていないことも残念。夜景はそれなりに明るく撮れるが、照明が当たっている看板などが強く白飛びしてしまっている。本製品にはF値1.7と明るく、光学式手ぶれ補正に対応した標準カメラが搭載されている。伸びしろがあるはずのカメラ画質については、ファームウェアアップデートで向上されることを強く期待したい。

標準カメラで撮影

標準カメラで撮影

広角カメラで撮影

標準カメラで撮影

標準カメラで撮影

「海外で現地SIM」ならSIMフリーモデル

AQUOS zero2はドコモ版が8万7912円、au版が8万2100円、ソフトバンク版が9万5040円のところ、SIMフリーモデルはiPhoneと同様に実売価格10万5000円前後と割高だ。しかし、海外で現地SIMを使う機会が多いのならデュアルSIMスロット仕様のSIMフリーモデルがオススメ。iPhoneも物理的なSIMとeSIMでデュアル待ち受け可能で、いまではeSIMも地域ごとに複数販売されている。しかし、それでも現時点では現地SIMのほうが選択の幅が広い。デュアルSIMスロット仕様のAQUOS zero2 SH-M13は、海外の通信コストをできるだけ抑えたいという方にもってこいの端末と言える。

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TechCrunch Japan

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