40億円調達のラクスル、クラウドソーシングを使ったチラシ制作の新サービス–リアルワールドと連携

ラクスル代表取締役の松本恭攝氏

先日40億円の大型資金調達を発表したばかりのラクスル。同社は3月3日、東京・虎ノ門で事業構想発表会を開催。クラウドソーシングを活用したチラシ印刷の新サービス「ラクスルデザインラボ」を発表したほか、今後の事業戦略を語った。

資金調達の発表の際にも話していたとおり、1年で登録会員が5倍にまで成長したというラクスル。会員の9割は100人未満の中小企業ということもあって、ただ印刷機を効率化して安価なサービスを提供するだけでなく、チラシを集客ツールと定義して、「印刷を通じて集客の支援をしている」と説明する。

クラウドソーシングと印刷を組み合わせた新サービス

そんなラクスルが本日から提供するのがラクスルデザインラボだ。このサービスは「デザイン制作」と「印刷前デザイン比較」の2つの機能があるのだが、まずデザイン制作パートでは、ユーザーの要望(テキストや手書きのイラストにも対応する)をもとに、クラウドソーシングでネットワーク化されたデザイナーが複数のデザイン案を提案する。

複数のデザインが集まれば、今度は印刷前デザイン比較を行う。クラウドソーシングでネットワーク化された主婦や学生などにどのデザイン案がいいかアンケートを実施して、どういったエリアのどういった属性のユーザーに好評だ、という情報を取得できる。「これまでは事後にしかできなかったチラシのデザイン評価が事前にできる。インターネットらしいアプローチだ」(ラクスル代表取締役の松本恭攝氏)

サービスはリアルワールドと連携しており、デザイナー、アンケート回答者はともにリアルワールドのクラウドソーシングサービス「CROWD」の会員だという。

ラクスルではこのラクスルデザインラボのほかにも、オンラインで申し込めるポスティングサービスの「ラクスルポスト」も提供。これらのサービスによって、チラシのデザインから印刷、さらには折り込みチラシやポスティングまでをワンストップで実現できる体制を作った。同社ではこれを集客支援プラットフォーム「チラシラクスル」と銘打って展開していく。

今後は地方需要にも対応

中小企業の支援をうたうラクスルが今後注目するのは「地域経済の活性化」。東京や愛知、大阪といった都市部以外に拠点を持つ企業は日本全体の約8割。行政や商工会議所に働きかけ、これらの企業との連携を図るという。また、地方の印刷会社との提携を拡大し、雇用創出に寄与するとした。

将来的には日本全国だけではなく、世界進出ももくろむ。「ラクスルの使命は商売革命。ベンチャーの立場から商売を変えていく」(松本氏)。同社では今後早期の100万会員達成を目指す。


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TechCrunch Japan

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