500 Startupsとマレーシア政府の起業家支援プログラムMaGICが協力して、東南アジアでのグロースプログラムをローンチ

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アメリカに拠点を置くVCの500 Startupsは、東南アジア地域で資金調達を行った企業を次のレベルへと進む手助けをする、新たなアクセラレータプログラムを創設した。

同社は、このプログラムをクアラルンプールで8月にローンチするに辺り、マレーシア政府が運営するスタートアップと起業家支援プログラムMaGICと提携している東南アジア向けの「500 Durians」ファンドに500万ドルを追加した。各「Distro Dojo」と呼ばれるバッチでは、ASEAN地域のスタートアップ10から20社を募集し、10週間に渡るプログラムを行う。参加企業はメンターや500 Startupsのネットワークを活用して、ユーザーベース、収益、その他のビジネス要素を拡大していく。

このプログラムは、500 Startupsのポートフォリオ企業のために構成したサポートネットワークを基盤とし、各社に対してオーダーメイドのコンサルティングを提供する。500 Startupsが投資している企業に限らず、東南アジアの全ての企業に対して正式に公開された。アメリカのこのVCは、先月「Distro Dojo」をロンドンでもローンチしたが、コンセプトは東南アジアで始まったものだ。MaGICと協力し、マレーシアでは昨年から、累計700万ドルを調達した4社との試験運用が開始されている。

「資金調達をした後どうするか?資金を使う必要がありますが、賢く使わなければなりません」と500 Startupsの東南アジア拠点のマネージングパートナーを務めるKhailee NgがTechCrunchのインタビューに答えた。「このプログラムは、特定のグロース目標をスタートアップが達成する手助けをします。全てのスタートアップが世界規模のカスタマー獲得に卓越しているわけではありません」。

目標はスタートアップ企業100社

東南アジアのDistro Dojoは、8月に開始予定だ。500 StartupsとMaGICは3年前からパートナーシップを結んでいる。Ngは100社がこのプログラムを卒業することを目指すと話した。内容としては、500 Startupsが各社に5万ドルを投資し、半分はプログラムの受講料で、残りの半分はその額で得られる各スタートアップの直近の資金調達でのシェアと交換し、スタートアップの資金となる。MaGICは、自社の100スクエアフィートほどのビルをこのプログラムに提供し、「他の事務コスト」も負担する。

Distro Dojoは、東南アジアのような新興市場で特に必要とされる役割を果たすとNgは話した。

「新興市場ではより大きな問題です。パブに行って、親しみやすい近所のグロースハッカーに会うことは難しいのです。このプログラムは他のものとは異なります」。

「企業はそれぞれグロースに関する課題を特定し、10週間で達成すべき目標を設定します。プログラムに参加する専門家は、各社の中で共に仕事をします。授業で座学をするような形式ではありません。ファウンダーが自ら関わることができるプログラムだと思います」とNgは話した。

この取り組みは500 Startupsにとって理にかなうものだ。彼らのポートフォリオ企業の成功確率を高め、同社は優秀なスタートアップや起業家とのネットワークと連携を強めることができる。起業家は、将来新しいプロジェクトを立ち上げた際にも500 Startupsにサポートを依頼することにもつながるだろう。

魔法を加える

政府が支援するプログラムであるMaGICにとってもこれは興味深い取り組みとなる。彼らは、マレーシアに起業家精神とスタートアップの文化を根付かせようとしている。MaGICの名前は、「Malaysian Global Innovation & Creativity Center (マレーシアのグローバルイノベーションとクリエイティブセンター)」の頭文字から来ている。彼らは発足から1年を迎え、これまでの実績はここから見ることができる。彼らは一般的な政府機関とはやや異なる。

まず、MaGICは起業家が運営している。マレーシア人でアメリカに渡ったCheryl Yeohは、起業家となって立ち上げたスタートアップを売却した。500 Startupsの企業で、Reclipitという名前のスタートアップを2013年にWallmart Labsに売却したのだ。Yeohは、コーネル大学への奨学を認められ、昨年の6月にサンフランシスコからクアラルンプールへとMaGICを立ち上げるために渡った。

2014年4月、オバマ大統領がクアラルンプールのMaGICに訪れ、Yeohに会った時の様子。

彼女とMaGICの役割はマレーシアを東南アジアのスタートアップのハブにすることだ。MaGICの独自に開催するアクセラレータプログラムMAPは、最初のバッチを今月の終わりにキックオフする。また、YeohはTechCrunchにDistro Dojoと協力することは、MaGICとマレーシアにとって有益なことだと話した。

「マレーシアをASEANのスタートアップのローンチに最適な場所というポジションにしたいと考えています。ASEANでのコミュニティーを構築することに最も注力しています」とインタビューに答えた。

Ngもマーレシア人であり、シンガポールといったスタートアップの印象がある場所ではなく、クアラルンプールをDistro Dojoの拠点に選んだ主な理由はMaGICとYeohの存在があったからだと説明した。

500 Startupsの目標は「Distro Dojoを世界中の全ての大陸」で立ち上げることであり、その地域での最適なパートナーを見つけることがローンチを左右すると話した。

東南アジアで初のDistro Dojoに参加したいと思う企業はここから応募できる。プログラムは8月にキックオフの予定だ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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