5G需要が高まる中、タワー設置場所を探す通信事業者と不動産所有者を効率的につなぐSitenna

5Gネットワークの構築は急速に進んでおり、先進国の多くで大規模な展開が行われている。しかし、カバレッジマップのギャップを埋める上での最大の課題の1つは、5G伝送に対する制約だ。5G技術は4Gに比べ高周波数の帯域を利用するため、通信事業者は、ユーザーが期待する同品質の信号で宣伝されているだけの帯域幅を提供するために、何倍もの数の通信塔を設置する必要がある。

しかし、セルタワーを設置するのは気が遠くなるような作業だ。通信事業者は、ユーザーへの見通し線を配慮してちょうどいい場所を探し、その場所に電源とインターネットアクセスがあることを確認し、さらに土地所有者と交渉して、10年以上にわたってタワーを設置し続ける契約を結ばなければならない。これを何万回(あるいはそれ以上)繰り返すことを想像して欲しい。

Sitenna(site+antenna=サイテナ)は、Y Combinator(Yコンビネータ)の「Summer 2021 Demo Day」で来週発表される予定のスタートアップだ。Sitennaは、タワーやアンテナの設置場所の選定と契約締結のプロセスを大幅に短縮し、不動産所有者、タワー運営者、通信事業者のためのマーケットプレイスを構築することを目指している。

タワーの立地やポールへのアクセスは、場合によっては国家的なインフラの優先課題として浮上している。米国では、トランプ政権下の連邦通信委員会(FCC)が、新たなタワーの設置、そしてそれらの迅速な確保にまつわる課題を最優先事項とし、タワー設置に関する規制を緩和しようと「5G FAST Plan」を立ち上げた。

Sitennaの創業者であるDaniel Campion(ダニエル・カンピオン)氏とBrian Sexton(ブライアン・セクストン)氏は、このようなプログラムにチャンスを見出し、この動きを支援することにした。彼らはこの1年間で、一方では不動産所有者が通信利用を検討する価値のある資産を持っているかどうか把握するのに役立ち、他方ではタワー事業者が設置のための契約を選択してデジタルで締結することを支援するマーケットプレイスを構築した。

Sitenna共同創業者兼CEOダニエル・カンピオン氏(画像クレジット:Sitenna)

同社は2021年6月に英国でサービスを開始したが「これが反響を呼びました」とカンピオン氏は語る。英国では6万5000件の不動産資産と、タワーの約15%がこのプラットフォームに登録されているという。同社は、Vodafone(ボーダフォン)とそのタワープロバイダーであるCornerstone(コーナーストーン)と協力し、2つのパイロットプロジェクトを開始した。また、2022年の第1四半期には米国市場への参入を予定しているとのこと。

Sitennaは今日の多くのスタートアップと同様にマーケットプレイスからスタートしているが、そのマーケットプレイスをB2B SaaSツールで補完している。同社の場合は、通信事業者が新しいタワーの設置場所を確保するプロセスと、その資産を管理するためのツールを意味する。カンピオン氏はこう述べている。「通信事業者はタワーの設置場所を見つけると、メールでピンポンのように行ったり来たりのやり取りをします。そこで、彼らのワークフローを支援するツールを開発しました」。

Sitennaのプラットフォームでは、土地所有者とタワー事業者がタワーの設置場所を検査し、取引することができる(画像クレジット:Sitenna)

現在5Gワイヤレスへの移行にともない、タワー設置の大きな波が起こっているのは確かだが、だからといって、数年後に突然タワーの設置がなくなるということではない。カンピオン氏は、利用パターンの変化やビルの再開発、標準的なハードウェアの交換などの理由から「キャリア側では15〜20%の継続的な更新が行われています」と指摘する。

そしてもちろん、6Gもある。現在はまだ完全に形になっていないコンセプトだが、筆者がカンファレンスに招待されるぐらい現実的なものだ。次世代のワイヤレスは常に存在しており、Sitennaはそのインフラを管理するセンターになりたいと考えている。

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画像クレジット:Pranav Mv / EyeEm / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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