AC Venturesがインドネシアのスタートアップ向けに84.4億円の初のファンドを発表

インターネット経済が急成長(Googleレポート)している。世界で最も人口の多い国の1つであるインドネシアは、スタートアップに多くの機会を提供している。AC Venturesがそのシーンに、8000万ドル(約84億4000万円)のACV Capital III LPファンドで参加しようとしている。同社はインドネシア時間10月12日、ファンドの最初のクローズを発表した。すでに5600万ドル(約59億ドル)がコミットされている。

資本は今後3年間で、30社のインドネシアのスタートアップに投資される予定だが、最初は最大300万ドル(約3億2000万円)の小切手が、シードもしくはシリーズAステージの企業に渡される。

12人のチームでジャカルタを拠点とするACVは、AC Venturesとインディーズキャピタルによる戦略的アライアンスだ。ACVの創業パートナーは、AC Venturesの創業者でマネージングパートナーであるAdrian Li(アドリアン・リー)氏とMichael Soerijadji(マイケル・ソリジャジ)氏、並びにIndies CapitalのマネージングパートナーであるPandu Sjahrir(パンドゥ・サジャリア)氏だ。サジャリア氏また、インドネシアの2つのユニコーン、Gojek(ゴジェック)とSea(シー)の取締役も務めている。

同アライアンスはすでに、Shipper(シッパー)、Kargo(カーゴ)、Stockbit(ストックビット)、BukuWarung(ブクワルン)、ESB、Co-Learn(コラーン)、KitaBeli(キタベリ)、Aruna(アルナ)、Soul Parking(ソウル・パーキング)の9つのスタートアップに投資を行っている。同アライアンスはeコマース、金融技術、MSME(零細および中小企業)にサービスを提供するスタートアップ、ならびにデジタルメディア対応サービスに焦点を当てる予定で、リー氏はTechCrunchに対して、エンターテインメントに加えて教育やヘルスケアなどのセクターを網羅できると語った。

ACVはまた、投資先の企業と緊密に連携し、事業開発、主要な幹部の採用、その後の資金調達を通じて企業を指導していく予定だ。また、グロースハッキングや資金調達などのスキルについて創業者たちを指導するために、AC Academy(ACアカデミー)などのプログラムを立ち上げた。

インターネットの普及とオンライン決済は過去5年間で大幅に進んだが、eコマースは依然として、インドネシアの小売市場全体(JPモルガンレポート)のごく一部を占めているのに過ぎない。このことは、スタートアップにとってイノベーションを起こす余地が十分にあることを意味する。たとえば、インドネシアには600の無人島があるため、物流は非常に細分化されている。ACVの投資先であるShipperは、異なるプロバイダーを介した複数の出荷を売り手が一度に管理するのに役立つプラットフォームを提供する(未訳記事)。

ACV Capital IIIの資金調達は、COVID-19のパンデミックの前に始まったが、リー氏によればインドネシアのような国々では、危機がもたらした経済的犠牲にもかかわらず、多くの種類の技術の採用が加速する可能性があるという。たとえば、個人商店やその他の中小企業のデジタル化業務に焦点を当てているBukuWarungは、最近オンライン注文や非接触型決済の需要に応えてデジタル決済を開始した。別のACVポートフォリオ企業であるESBも、レストランに対して同じことを行っている(Deal Street Asia記事)。リー氏は、ソーシャルディスタンスの流れの中で、食品および飲料事業がオンライン注文とデリバリーに目を向けるにつれ、デジタル決済サービスへの関心が高まったのだと語る。

「私たちはインドネシアでいくつもの素晴らしいチャンスを見ています、そして私たちはインドネシアのスタートアップに世界から今まで以上の関心が集まっているのを知っています」とリー氏はいう。「インドネシアは世界で4番目に人口の多い国で、テクノロジーを通じることで、より良くより効率的に提供できる製品やサービスがたくさんあるのです」。

カテゴリー:
タグ:

画像クレジット:ACV

原文へ
(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。